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第1話 ボロボロになったコレクション

移しました。

..そこはこの世で最も重要な遺物が並ぶコレクターにとっては楽園と呼ぶに相応しい光景だった...。


古今東西ここんとうざいに渡り、ありとあらゆる玩具や娯楽グッズが並ぶ幾つもの棚を眺めながら、この壮観な光景に私は感動していた...。


...例えば、私の目の前には昭和初期に人気だったブリキのロボット人形や今は名前が変わってしまった国の兵隊人形が置いてあり、それらの保存状態も良いためか人形自体の錆が少なく、まるで新品のように綺麗さを保っている...。


しかし、この独特の錆び臭い匂いと古くからあるような佇まいをしているような並び方も、この玩具屋にある独特な雰囲気を醸し出している...。


私はこの雰囲気に呑まれ、まるで、幼少期に戻ったかのような心地になった...。


目に見えるすべての棚の並びとその上に載せられている玩具数個を確認しながら、整っている様子に満足した...。


私の満悦した様子を見た店長は、ニヒルな笑顔を作り、こう述べた...。


「クッククッ...、いつ見ても壮観な光景だろ...?今回もお前や常連の出資してくれた費用でメンテナンスができている...。本当にありがとう...。これを維持するのに結構、金かかるんだよな~~...。


最近では、不穏なことに古いカルチャーショップ業界の解体が始まってから、さらに全商会に政府が新しい取り立て条項を追加してくれたおかげで俺たち、商売人の家計も火の車だよ...。」



そう...、最近はこのような珍品がお目にかかれないほど、厳しい現状であり、やっと入手したら、役人が来て取り立てる際に家中を隈なく捜索されるため、見つかり没収と高額な罰金を食らうはめになった商人が多い...。




しかし、そうすると、マニアたちの血が騒いだのか、暴動事件、強めなデモ活動が多く行われた...。




最近、そのデモ活動を含めた暴動は鳴りを潜めてはいるが、噂では爆弾を製造し、抗争を仕掛けようとしている、だの、闇市場が都市中心で開かれ、マニアたちご用達のオークションが行われているだとか、正直、後者はまあ、あの熱の入り込みようを見ればあり得るだろうが、政府の目が特に集中する都市で何やってんだか、と思っている...。




しかしながら、勇気がある若い彼らがこうも派手に動いてくれたおかげでこっちにもとんだ珍品を目にする機会が得られたのも事実である...。


彼らには今のところ正直感謝しかない...(暴動を含まないデモ活動の構成員にだが...)。


...まあ、馬鹿なようなことに大金と時間を費やしている私であるが、妻と子に何度、言われてもこの趣味だけは辞められない...。


...現在、これまで得てきたコレクションは共に同じ趣味を歩む仲間とともに共有しているが、私たちが出資したコレクションの一部が盗難の被害にあう問題が生じていた...。


今回、私が出資したコレクションである21世紀を風靡したとある機能を搭載した万能型人型アンドロイドは盗難の被害にあい、他のコレクターからも何体か出資されていたブツのうち、時代の流れによってほとんど忘れ去られた経歴がある...。



しかし、今はそれがここに置いてないことが分かったが、それに代わる代用品と目的のもの以外の珍しいものを見つけたとの連絡が入ったので、フラリと此処に立ち寄った次第だ...。




そして、そうこう自身のここに来た経緯を思考の中で振り返っていた際に、店主が突然こちらに振り返り、声がかかった...。




「...おい、旦那。考え中済まないが、急いで目的の場所に行くぞ...。早めにしないと、役人の方々が来ちまうし、それでアイツ等の努力が水の泡になるのは本当にやめてほしいからな...。」


「...確かにそうだな...。急いでその場所にいこうか...。」



....5分後......




「...ふむ。いい品々が多いが、特にこの真鍮で作ったロボット人形と木彫りのブロックパズルがいい味を出しているな...?」


「ああ...、そうだな。しかしながら、ここまでのコレクションを集めるのに丸20年分かかってんだ...。若い奴らの手伝いもあってか、何とか、ここまで玩具を集めてきたが...。」


そう、彼は自身の頬に生えている自慢のひげをかゆそうにさすりながら、自身の目の前にある棚に目を向けてそう言い放った。




「...まあ、ここまで来てくれたから話すが、お前に紹介したいやつはここにはないが...、代わりの品がこちらだ...。」


言い放った直後、彼はフーッと息を吐いた後、目の前に見える棚にかけられた布に手をかけて、勢いよく引っ張った...。


そこには...。




「...ふむ?これは...。」




「...ああ、これはなあ...。」




彼が自身のあごひげを摩り、言いにくそうに口ごもりながら自身の目の前にあるものに関して、こう言い放った...。


「...訳アリの旧式人工知能搭載のお手伝いロボットだが、言い値で買っていかないかい...?」


...そこには、錆びた人型のお手伝いロボットが棚の上にその存在感を強く誇張するように鎮座していた...。


錆びてはいるが、見た目が小学生高学年くらいの身長で体のところにはところどころヒビは入っており、顔にある両目の双眼鏡のような両目に口や鼻、耳はないが、かなりの高性能であったロボットだったということが私にはわかった...。


そして何やら、この寂れたような悲壮感を漂わせる様子で当時どのような状態でこのロボットが発見されたのかが予見できた...。


「...なあ、常連であるお前さんの商品を入荷できない俺も俺なんだが、これで手打ちにしといてくれねえか...?最近、玩具の修理パーツの物価も高騰したしよ...。」



気づいたら、店主である彼の声は聞こえてはいなかった。私がいま見ているのはこのロボットに起きたであろう管理体制の杜撰さによる利用と当時の廃棄処分に関するパターンが頭をよぎり、ふと、私はこのロボットを家に迎えてみようと思った...。


「...買う。」


気づいたら、私はそれに対して指をさし、店主に対してそう言っていた...。



「えっ??」


「買うといったのだ...。私はこれが気に入った...。」


...3分後、私はそのロボットを店主に頼み、この時代では古い文明のガソリンを使用したトラックにそのロボットを乗せてもらい、家に送ってもらった...。



ロボットと田舎のじいさんの出会い

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