7.ピンクの石のペンダント
「これを見せれば、何か起こると思ったのですが…」
顎に手を当てながら悩んでいる。
そう言われましても、何もわかりません!すみません記憶がなくて。
ブルーノは怪訝そうな顔で佇んでいる。
「魔法処理がうまくいかず、全て忘れた、もしくは別人格……の可能性もあるか。」
「ではこのカードはどうですか?」
1枚のキレイな魔法陣がかかれたカードを出してきた。これは今では消えた古代魔法で、ラスが作った。オリジナルの一枚。
「これ、見たことある。前に、似たような柄のトランプで遊んだことがあります。」
以前の記憶の中で、学校の教室でババ抜きや恋占いやってたっけ。楽しかったなー。占いは結構当たるって流行ったんだよね。でも前世は猫なんです!
「遊び用ではなく、魔法を注入するカードで現世界には存在するのは、この1枚限りです。」
よく分からないがトランプではないってこと。
あのカードがあれば魔法をつかえる?
ちょっと興味あります。
また次の日。バルコニーで紅茶を飲みながら草原を見渡していたら、
「そうだ、そろそろ国王陛下に報告に行きますか。外に行きましょう。」
え?外に、いるけど…下に降りるってこと?
「外界に行くってことですよ。ゲートを通ります。」
「行っていいの?だって私、何も思い出してないけど。」
外だ!古城には数人しかいないので、街にいける!何もないここも美しい世界だけど、外界には美味しいものもあるかも。
猫の時に見た景色があるかもしれない。期待しちゃうよね!
「まず着替えましょうか!」
その声に反応して、すばやく侍女さんたちが現れた。わっ知らない人だ、どこから来たの?
白のワンピースくらいしか着てなかったけど、侍女さんたちが、薄い水色の可愛いドレスを着せてくれた。
鏡を見ても、いまだ自分とは思えない10才くらいの少女が、どこかのお嬢様に見えてくる。
髪も編み上げてもらい、オシャレだ。
人だった時は、たぶん女子高生くらいで制服のイメージしかない。こんな可愛いいドレスは初めてでワクワクする。
「可愛いですよ。ライモン。
これを最後につけてください。」
ピンクの石がついたペンダント。ブルーノがもっていた私の欠片。
「これはあなたが持つべきです。」
優しい眼差しに、少しドキドキした。
外界に行くための鏡は、普通の部屋に立てかけてあった。不正侵入を防ぐため、幾重にも結界が張ってある。そもそもこの部屋にたどり着くのも困難。
鏡は高さ2メートルほどあり、縁は可愛いデザインがされてあって、大きめの姿鏡がただあるだけ。
彼の少し後ろにたって鏡に映っている姿を見た。
振り返って腰を屈めながら手を差し伸べて、
「さぁ行きますよ。お手を。」
2人の体がほのかに光り始めて、手を引かれながら鏡をすり抜けた。
鏡を抜けると、どこかまた別の部屋。
普通の寝室にみえますが、家具が豪華すぎ!
見渡したが誰もいない。
「何度も試したのですが、この鏡…石を持つもの、そして触れているものしか通れません。」
だから手を繋いだのね。でもそれってブルーノが帰れないんじゃない?と思ったら、また別のピンクの石がついた指輪があった。
説明を受けていたら、ドアをノックする音が聞こえた。ドアが開くと、
「ブルーノ様お待ちしておりました。帰城されるのは久しぶりですね。」
金髪のいかにも騎士のような格好の男性が立っている。
「ルキナ、出迎えありがとうございます。」
「こちらのお嬢様が、ラス様でしょうか?なんとも可愛らしい!」
「初めまして。私…ラスではなく、今はライモンとお呼びください。」
ん?ってなるよね。少し説明をしましたが、なんか複雑なお顔。金髪のイケメンが困っておりますよ。
王の間では、
「あのブルーノについていた猫が、まさかのラス様でしたとは、可愛らしい展開だな。」
国王陛下が笑ってる。
「なんどか転生しているらしく、私が知っているラスではありません」
残念がってる、すみません。
「こちらではルキナを護衛に付けよう。滞在中はのんびりすごし、何か思い出したら報告してくれるかな?」
「畏まりました。私は一度研究所によりますので、ライモンは部屋でお待ち下さい。」とだけ伝えてブルーノは先に退室してしまった。
ルキナと部屋にもどる途中、
中庭が見える通路があった。長い廊下を歩きながら眺めていたら、白い猫が見えた。
「ベル。おいで。あそぼ!」
なんとなく口から出た事にびっくりしたのはライモンだった。
初めてきた場所の、たまたまいた猫の名前を呼んだから。
「なぜ名前がわかったんですか?」
なぜ?なぜだろう?なんとなくそう呼びたくなったから。
「よくわかりません。名前合ってますか?」
抱き上げてナデナデした。
白いフワフワの毛並み。なんだか懐かしい。
たぶん前世の記憶かな?
通された部屋は、鏡のある部屋ではなく、大きめの丸いテーブルがある陽当りの良いサロンだった。
花の香りがいっぱいで、ここも懐かしい。
椅子に座ってベルを膝にのせてナデナデしながら至福の時間を過ごしていた。




