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にゃ神転生 噂のあの子は元猫  作者: 月野片里
3/5

私の過去語り

これは邪神に出会う前の私の過去の話

私、隆美蔵 澪は3年前までどこにでもいる普通の女子校生だった。

友達もいて、部活にも入ってて、勉強だってそこそこできる方だったと思う。

そんな私はある日突然、自分の世界が変わってしまったのだ。

それは本当に突然の出来事で、今でもよく覚えている。

その日は学校から帰る途中で、いつものように幼なじみの結城 直也と一緒に家まで道のりを歩いていた。

時間は夕方くらいだろうか? 空を見上げると雲一つない綺麗な夕焼けが広がっていたのを覚えてる。

「きれい……」

思わず見惚れてしまったほどだ。

そしてそのままぼーっとしながら歩いていると、不意に視界の端を何かが横切ったような気がした。

気になってそちらの方へ視線を向けるとそこには……

『おいで』

真っ黒な人型の影のような物が立っていた。

それはまるで私がついてきているのを知っているかのようにゆっくりとこちらを振り向く。

その姿を見た瞬間、全身に鳥肌が立ち、体が硬直して動けなくなってしまった。

(何……あれ……)

目の前にいる存在が何なのか分からなかったけど本能的に理解できた。

アレはヤバイものだと……。

そう認識すると恐怖心からか足が震えてきた。

だけどそれでも目を逸らすことができなかった。

黒い影はそのまま真っ直ぐこちらに向かってくる。

「澪?」

様子がおかしいと思ったのか隣にいた直也が声をかけてくる。しかし今の私にはそれに答える余裕はなかった。

そして黒い影は私のすぐそばまでやってくると口を開いた。

『次に死ぬのは、2人うちどちら?1人は死に、1人は生きる さあ選んで?』

何を言っているんだろうこの影は? 意味が全く分からない。

そもそも冗談ではなく私たちがこれから死ぬと言うことうぃ知ってるのだろう? 疑問が次々と浮かんでは消えていく。

その間も影はじっと私を見て動かない。

どうしよう?このままだと私たちは死んでしまうらしい。

でももしそれを選んだらどうなるのだろう? いや、それ以前にこの選択によって生き残ることができるのは誰なんだろうか? 私ではないことは確かだが、そうなると直也になる。

それがどういうことを意味するのか、この時の私は深く考えていなかった。

ただ漠然と直也が助かるならそれでいいと思っていただけだ。

「ねぇ……あんたは一体何者なの?」

沈黙に耐えきれず問いかけるが影は何も答えない。

しばらく待ってみたが何も言わないので仕方なく私は別の質問をすることにする。

「じゃあさ、選択肢っていうのは何のこと?」

今度はすぐに反応があった。

『あなた達が選ぶことのできる唯一の未来 どちらか片方は必ず死ぬことになる』

やはり意味がわからない。

「どうして?どっちか必ず死ななきゃいけないの?」

『そう』

「どうして私たちなんだ?」

『それは言えない』

結局これといった情報は得られなかった。

しかしこれ以上ここにいても仕方がないと思い、帰ろうと直也に声をかけようとすると先に直也が言葉を発した。

「俺は……澪のことを愛してる、俺の恋人になってほしい」

直也の言葉を聞いた時、心臓がドクンッと跳ね上がるような感覚に襲われた。

まさかこんなことを言おうとしているのか!? それだけの衝撃が私の体を走り抜けた。

そして同時に胸の奥底から湧き上がってきた感情に突き動かされるように、気がつけば私も同じ言葉を紡いでいた。

「うん……私も直也が好きだよ だから……恋人になろう!」

2人で見つめ合うと自然と顔が近づいていき、やがて唇同士が触れ合った。

キスなんて初めてだったけど不思議とその感触はとても心地よかった。

ファーストキスはレモンの味とか言うけれど全然そんなことはなかった。

むしろ甘酸っぱくて美味しかったくらいだ。

それからしばらくしてお互い名残惜しげに顔を離すと、また会えるようにと願いを込めて手を握りあった。

そうしてお互いに笑いあうと、また明日と淡い想いを胸に秘めながら別れた。

そして次の日……

いつものように学校へ行く準備をしているとインターホンが鳴る音が聞こえてきた。

おそらく直也が迎えに来てくれたのだろう。

玄関へ向かい扉を開けると予想通り直也の姿が見えた。

だけどその姿を見た瞬間、違和感を感じた。

直也がどこかいつもと違って見えるのだ。

具体的にどこが違うかと言われても困ってしまうのだが、何となくいつもとは違う感じなのだ。

そのせいで少しだけ緊張してしまい、声をかけるのを躊躇ってしまった。

「おはよ、今日は早いね」

それでも何とか平静を装いながら挨拶することに成功する。

「ああ、おはよう。ちょっと早く目が覚めたから早めに出てきたんだ」

そう言って笑う直也だったが、やっぱり何か違うような気がしてならない。

そこでふと気づいた。

そう言えばいつもなら私よりも遅く起きてくるはずなのに、今朝に限っては早かった。

これはひょっとして……

「ねえ直也……何か良いことでもあったの?」

「え?あーまぁな……」

照れくさそうに頭をかきながらも肯定してくれた。

その様子から本当に嬉しいことがあったのだということが分かる。

だけど……

(ズルイ……)

心の中で嫉妬にも似た気持ちが渦巻く。

昨日あんな事があったからといって自分だけが置いてけぼりなのは納得できない。

だから私は直也の袖を引っ張ってこう言った。

「私も直也と一緒にいる時間が欲しいな ダメかな?」

上目遣いでお願いすると、直也は頬を赤くしながら私を抱き寄せてくれた。

「当たり前だろ!ずっと一緒にいようぜ!」

「うん!」

こうして私たちはほんとうのいみでの恋人になった。

今まで幼なじみという関係だったので、付き合うと言ってもほとんど変わらなかった。

放課後は一緒に下校し、休日にはデートをしたり家でイチャイチャしたりとそれなりに充実した日々を送っていたと思う。

そしてそんなある日のことだった。

「あのさ、俺たちそろそろちゃんとした交際を始めて一年経つだろ? だからさ……ちゃんとした大人になったらさ結婚しないか?」

「けっこん?」

直也の突然の提案に思わず聞き返してしまった。

確かに私たちは付き合い始めてから1年近くになるが、結婚というのはいくら何でも話が飛びすぎではないだろうか? それに……

「いきなりどうしたの?別に私たちまだ高校生だし、そこまで焦る必要はないんじゃないの?」

そう言うと直也は苦笑しつつ理由を話し始めた。

「それはそうなんだけどさ……ほら、よく漫画やアニメであるじゃん 結婚した男女がいつまでも幸せに暮らしましたとさってやつ あれって現実でも結構あるんじゃないかなって思うんだよ だから……俺もいつかは澪とそういう風になりたいなと思って……

もちろん無理にとは言わないけど、俺の将来の夢みたいなものだから……できれば考えておいてほしいな 澪とならきっと幸せな家庭を築けると思うんだ」

そう言い終えると直也は恥ずかしくなったのか、少し顔を背けた。

しかしそんな直也が可愛くて愛おしくて……

「うん……わかった 私もその話すごくいいと思うよ じゃあさ、将来どんな家にするか考えないとね それで子供は何人ほしい?男の子と女の子どっちがいい?名前はどういうのにする?あとは……

それからそれから……」

直也のことが大好きだからこそ次々出てくる質問に直也は戸惑っていたが、嫌がっているわけではなくむしろ嬉しそうに答えてくれるのだった。

「えっと……澪がそうしたいっていうんだったら俺は何人でもいいぞ 名前も澪が決めたいなら澪がつけてくれればいい 俺も澪との子供が欲しいからな」

「もう、直也ったら気が早いよ」

「悪い、でも本音なんだ だから澪も本気で考えて欲しい」

「うん……分かった ありがとう、凄く嬉しいよ」

直也の言葉を聞いて、私は改めてこの人と一緒になれる喜びを噛み締め。いつもの家までの帰り道を歩くのだが、私と直也の手はしっかりと握られていた。何かが、視界の端で動くのを感じた、動いたものを見ようと視界の中央に入れた、入れた瞬間にゾッとした1年前の黒い影がいたのだ、黒い影は『選択の時間だよ』と言うとスーッと消えて言ったのだ、私は隣の直也を見た一瞬が永遠に感じるくらい引き伸ばされるようだった、私は直也を突き飛ばした、そして私は車に轢かれ跳ね飛ばされて壁にぶつかった。

目の前には、仔猫がいた....私はこうしてしんだのであった。

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