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茶店の歌姫 3  作者: 渋谷かな
18/20

エヘッ! 18

「私の名前はテスラー総統! 全宇宙の支配者だ! 私は地球を支配するべくカミラス星からやって来たのだ! ワッハッハー!」

 現れたのはテスラー総統。

「テスラー総統!? 大怪獣コシラがやられました!?」

 子分が報告を入れる。

「なんだと!? 忌々しい地球の支配者おみっちゃんめ!」

 激怒するテスラー総統。

「よし! 早速、茶店に次の刺客を送り込め!」

「はい!」

 こうしてテスラー総統の手下が茶店に送られるのであった。


「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」

 おみっちゃんは茶店の看板娘として真面目に働いている。

「毎日行列! ガッポリだね! イヒッ!」

 茶店の女将さんは笑いが止まらない。

「私の名前はおみっちゃん! 夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」

 いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。

「おみっちゃん、お客さんだよ。」

 女将さんがおみちゃんを呼ぶ。

「は~い・・・・・・え!?」

 返事をして振り向き驚くおみっちゃん。


「私の名前はウルドラマン、! 全宇宙の支配者テスラー総統の配下である! 地球を支配しにやって来た!」

 現れた宇宙からの侵略者。

「おみっちゃん、知り合いかい?」

 女将さんは尋ねてみた。

「宇宙人にお友達はいません。」

 否定するおみっちゃん。

「地球の支配者である茶店の歌姫のおみっちゃんを倒して我々が地球をいただくのだ!」

 宇宙からの侵略者は地球を支配しに来た。

「おみっちゃん、あんたいつから地球の支配者になったんだい?」

 女将さんは尋ねてみた。

「知りませんよ。地球の支配者になったつもりはありません。」

 否定するおみっちゃん。

「おみっちゃん! 私と勝負だ!」

 地球の支配者の戦いを挑む宇宙からの侵略者。

「仕方がありません。女将さん、少し遊んできます。」

 おみっちゃんは相手をすることにした。

「行っといで。おみっちゃん。サボった分は給料から引くからね。」

 守銭奴な女将さん。

「そんな!? 殺生な!?」

 ショックを受けるおみっちゃん。


「かかって来なさい! 宇宙人!」

 おみっちゃんは侵略者を迎え撃つ。

「くらえ! ウルドラ・ビーム!」

 侵略者はビームをぶっ放す。

「ギャアアアアアアー!」

 おみっちゃんは倒された。

「やったー! 倒したぞ! これで地球は私のものだ! ワッハッハー!」

 勝ち誇る侵略者。

「それはどうかな?」

 そこに死んだはずのおみっちゃんが現れる。

「なに!? バカな!? おまえは確かに死んだはず!? なぜ生きている!?」

 戸惑う侵略者。

「いいえ。生きてませんよ。私は既に死んでいる。だって私、幽霊ですから。エヘッ!」

 おみっちゃんはエヘ幽霊だった。

「幽霊!? そんなのありか!?」

 侵略者に幽霊という概念はなかった。

「愚かな宇宙人よ! 地球の支配者の恐ろしさを教えてやる!」

 遂に地球の支配者を認めたおみっちゃん。

「私の歌を聞かせてやろう! これがおまえへのレクイエムだ!」

 おみっちゃんは歌を歌うつもりである。

「歌? 戦闘中にふざけているのか?」

 侵略者は戸惑う。

「1番! おみっちゃんが歌います! 曲は蝉時雨! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 おみっちゃんは極度の音痴でゴットボイスの持ち主であった。

「み、耳が潰れる!? なんだ!? これが歌声なのか!? 騒音だ!?」

 おみっちゃんの歌声に苦しむ侵略者。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 更におみっちゃんは気持ち良く歌を歌い続ける。

「頭が割れる!? テスラー総統! 万歳! ギャアアアアアアー!」

 侵略者の他人に危害を加えようという邪神がおみっちゃんの歌で追い払われた。

「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」

 ご満悦なエヘ幽霊。

「ここはどこ? 私はだあれ?」

 侵略者は良い子になった。

「ウルドラマン。美味しいお茶とお団子を食べたくない?」

 おみっちゃんの悪魔の囁き。

「食べたい!」

 釣られる侵略者。

「じゃあ、茶店に一緒に行こうね。エヘッ!」

 新しい茶店のアルバイトを手に入れたエヘ幽霊。

「わ~い! お茶とお団子が楽しみ!」 

 改心した侵略者は茶店に連れていかれる。

「地球の平和は私が守る! エヘッ!」

 地球の支配者のエヘ幽霊。


「は~い! エヘ幽霊と宇宙からの侵略者の戦いが生で見れる茶店はここだけですよ! おっと!? お客さん! 特等席は1万円ですよ! サイン付きの席は5000円アップです! 残念ですが地球の支配者との握手会は安全上の注意のために行っておりません! イヒッ!」

 ちゃっかりおみっちゃんの給料は減らしているのに、茶店の看板娘と宇宙からの侵略者のショーを茶店のお客に見せてお金を儲けている女将さんであった。

「私の一人勝ちだね。イヒッ!」

 この物語のオチである。

 つづく。


「zzz。」

 おみっちゃんは幽霊なのに夜に温かい布団で寝ます。

「・・・・・・人間界、魔界、天界、地球、宇宙。全てを支配した私。いつになったら歌姫になれるやら。うおうお・・・・・・。」

 夢の中でうなされるおみっちゃん。

「二毛作で小説家でも始めるか?」

 夢の歌姫になれなかった時のために保険で創作活動も始めるおみっちゃん。

「夢の中の小説家。」

 新しいエヘ幽霊の誕生である。


「まずは一かけらの勇気? 違うな。一兵卒の勇気を考えてみよう。」

 これをおみっちゃんの中で行えるように辻褄を合わせると夢オチになった。

「仮に名前は12か月にしよう。」

 気軽に当てはめていこう。

「主人公はジャニュアリー。ただの兵士。」

「ライバルであり友であるがフェブラリー。これも兵士。」

「主人公のお友達マーチ。これも兵士。」

「アホな隊長がエイプリル。」

「おお~。主人公の彼女が私と。エヘッ!」

 ちゃっかり自分を入れてエヘ幽霊の物語だと正当化するおみっちゃん。これはドラえもんでもクレヨンしんちゃんでもワンピースでも、どんな作品でもやっている映画版とかの話と同じであるので問題はない。

「じゃあ、女将さんって何だろう? エリザベス女王みたいに君臨するのかな?」

 女将さんの名前は蛍だったはず? これを英語にするとファイアフライ女王。

「まあ、女将さんは置いておこう。エヘッ!」

 それか女将さんはおみっちゃんの母親役でいいだろう。可哀そうなおみっちゃんは母子家庭? 若しくはシスター女将に拾われて育てられた孤児にしておこう。

「ジュン?」

 あれ? 5月を飛ばしたな。

「メイ。」

「ジュン。」

「ジュライ。」

「オーガスト。」

「セプテンバー。」

「オクトーバー。」

「ノーベンバー。」

「ディッセンバー。」

 とりあえず、後8人は名前が使える。


「ああ~戦争なんかしたくないな。就職先がないから生きていくため、お金のためには兵士になるしかない。」

 ジャニュアリーは平凡な兵士でした。

「そうだな。俺もどうでもいいわ。戦争に行って死んだら嫌だもんね。」

 マーチも戦う気はありませんでした。

「バカ野郎! 俺は戦争で手柄を立てて家を建てるんだ!」

 ジャニュアリーは戦争に意欲的だった。

「はいはい。」

「頑張ってくれや。」

 ジャニュアリーとマーチは呆れていた。

「集合!」

 そこにエイプリル隊長がやって来る。

「これより我々は村周辺の敵を倒す! いくぞ!」

「おお!」

 エイプリル隊は出動した。


「マップはどうしよう? なんも考えてなかった。」

 カタカナの名前だから日本や韓国、中国はおかしいよね。

「世界・・・・・・慣れて使ったイギリスにするか?」

 とりあえず、それでいいや。

「村の名前はトレント。陶器の村トレント。」

 久しぶりに帰ってきた感がある。

「ということは、エイプリル隊はトレントの村の義勇軍。」

 ここから伝説の部隊になっていくのかな?

「エイプリル隊は結成からやり直しか?」

 それは面倒臭いので結成されて出撃する所から始めよう。


「エイプリル隊! 突撃!」

「おお!」

 エイプリル隊がスライムの群れに戦いを挑む。

「スラスラ!」

「ギャアアアアアアー!」

 戦いの初心者のエイプリル隊より歴戦の兵の魔物たちの方がレベルが高く戦上手だった。

「こうなったら全軍! 死んだふり!」

「・・・・・・。」

 エイプリル隊は地面に寝転がり魔物が去って行くことを待った。

(マジか!? こんなことで生き残れるのかよ!?)

 ジャニュアリーはエイプリル隊長の戦術を疑った。

「キャアアアアアア!」

 その時、女の子の悲鳴が聞こえてくる。

「危ない!」

 ジャニュアリーはエイプリル隊長の戦術に歯向かい勇気を出して女の子を助ける。

「大丈夫?」

「はい。ありがとうございます。」

 この時、ジャニュアリーと女の子は初めてであった。

「僕の名前はジャニュアリー。」

「私はおみっちゃん。」

 ジャニュアリーとおみっちゃんの運命的な出会いである。

「良かったら、この剣を使ってください。」

 おみっちゃんは剣を差し出す。

「これは!? なんて立派な剣なんだ!?」

 ジャニュアリーは剣を見て驚く。

「この剣は聖剣エクスカリバー。きっとあなたを守ってくれるでしょう。エヘッ!」

 エヘ幽霊は聖剣の使いであった。聖女? エヘ聖女。

「おお!? なんて強い光を発しているんだ!?」

 聖剣エクスカリバーの強さに驚くジャニュアリー。

「ジャニュアリー。いいですか。決してあなたがエクスカリバーを持っていることを誰にも知られてはいけません。時に強い力は他人から妬まれ、恨まれてしまうのです。」

 おみっちゃんはジャニュアリーに警告する。

「分かりました。そうですね。確かに他人の僻みは怖いですからね。剣を使う時以外はボロボロの鞘に入れておきます。」

 ジャニュアリーは聖剣を隠すことを誓った。

「聖剣エクスカリバーよ! 俺に力を貸してくれ!」

 ジャニュアリーは聖剣エクスカリバーを天にかざす。

「エクエク!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 エクスカリバーは聖なる光を放ちまくる。

「ギャアアアアアアー!」

 魔物たちは倒された。

「やりましたよ! おみっちゃん! ・・・・・・あれ? いない?」

 喜ぶジャニュアリーだがおみっちゃんの姿はなかった。

「ワッハッハー! 見たか! 魔物どもは恐れをなして逃げて行ったぞ!」

 生き返るエイプリル隊長。

「はあ・・・・・・死ぬかと思った。こんな隊長は嫌だな。」

 マーチはゲッソリしてダイエットに成功した。

「怖くないぞ! 怖くないぞ! 魔物なんか怖くないぞ! アハハハハー!」

 フェブラリーは狂喜乱舞した。

「まあ、生きてて良かったね。」

 ジャニュアリーはなんだか照れる。

(あなたが聖剣エクスカリバーを持っていることはない署にして下さいね。他人の妬みや嫉妬は怖いですからね。)

 ジャニュアリーの脳裏におみっちゃんの言葉が走る。

「そうだ。エクスカリバーは鞘に入れて隠しておかないと。」

 ジャニュアリーはエクスカリバーを鞘にしまった。

「凱旋だ! 我々が魔物を倒したのだ! 堂々と帰還するぞ!」

「おお!」

 これがエイプリル隊であった。


「いや~いいお話だわ。エヘッ!」

 創作活動に自画自賛のエヘ幽霊。

「でも、おみっちゃん。あんた、どこでエクスカリバーを手に入れたんだい?」

 夢の中にも現れる女将さん。

「それはですね。この前、茶店に現れたアーサー王を歌殺で倒しました。アーサー王の持ち物を女将さんが「戦利品! 戦利品!」と漁っていました。ので女将さんの倉庫の中から聖剣エクスカリバーを貰っちゃいました。エヘッ!」

 窃盗は十分な犯罪である。

「人の倉庫から勝手に持っていくんじゃないよ! 倉庫には聖剣だけでなく魔剣も入っているんだからね。危ないだろう。」

 女将さんの倉庫は伝説のお宝の山。

「いいじゃないですか。どうせ私が歌殺した人から戦利品なんですから。エヘッ!」

 泥棒の手助けをしているエヘ幽霊。そもそも幽霊に刑法が適用されるのだろうか?

「ダメ! 私の物は私の物! おみっちゃんの物は私の物なんだよ! イヒッ!」

 ジャイアン思考の女将さん。

「ええー!? ズルい!?」

 抗議するおみっちゃん。

「文句を言うなら給料を減らすからね!」

 パワハラ経営者の女将さん。

「それだけは勘弁してください! お許しください! 悪代官様!」

 おみっちゃんは知能が弱いので給料計算ができないので謝るしかなかった。

「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ! エヘッ!」

 いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。

 つづく。

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