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乙女ゲームのヒロインに転生、自分なりの「シナリオ」を作る

作者: ゆき100

初投稿です!完全ノリで書いたので多分グダグダだしそもそも話が序章かな?みたいなところで終わってます汗

それでももし良ければ読んでくださると嬉しいです!


追記

改訂版かつ連載の方も載せたので、これから読む方はぜひそちらをご覧下さい!

リンク︰ https://ncode.syosetu.com/n3724gz/



「カナ!カナ!!」


ふと目を開けると、見慣れた深緑の瞳から大粒の涙が零れてくる。


「…ジークか。怪我はない?」


私は確認するように彼の頭を撫でる。


「…なんで、なんで僕の心配なんかするんだよ!?このままじゃ…このままじゃカナが!!」

「いや、私はいいんだよ。しかし…ジー…が無事で…良かった…」


手から力が抜ける。いよいよ潮時らしい。このゲームに転生した当初の「シナリオ」とは違うが悔いはない。今度こそ救えたのだから。前回のような無意味な人生では無い。


「…カナ……?カナ?ねえってば!!カナっカナ!!!」


私の意識はここで途絶えた





―――――――――ずっと前に遡る――――――――――――



ふと目を開けると、そこはベッドの上だった。


普通寝るときはベッドで寝るものだ。それはなんらおかしくない。


問題は天井に見覚えがないということである。白いレンガに木の柱が通してある。これは明らかに私が昨日まで大学生として生きていた21世紀日本のそれではない。


――ではここはどこだ?

周りを見渡す。同じくレンガと木でできた内装、木製のドアと家具たちが目に入る。夢にしては鮮明すぎるし、あの世にしては質素すぎる(想像の域をでないが)。とすると可能性としては……


コンッコンッ!

「カナ?起きてる??」


突如ドアを叩く音と、私の名前を呼ぶ声が聞こえる。だれだ?なぜ私の名前を知っている?なぜ慣れた雰囲気なのか?と考えるうちに声の主が部屋に入ってきた。


「あら、カナったら起きてたのね!朝ごはんできたから食べましょう! 」


声の主は茶髪に紫の瞳をして、エプロンを身につけた女性だった。既視感はあるがまず間違いなく初対面だ。しかしこの問いかけはまるで私の母親であるかのようではないか。だが私の記憶の中の母親とは似ても似つかない。


「ねえねえ?ずっと黙ってるけど具合悪いの?大丈夫??」


そう言われてハッとする。なにか返事をせねば。


「……いや、なんでもないよ。えっと、お母さん?」

「なんで疑問符なのよ!それにいつもお母さんじゃなくてママって呼んでるでしょ?もうカナったらねぼすけさんね〜 ささっ!ご飯にしましょ!」

「ハハハ…ごめんって!うんそうだねママ、着替えてすぐ降りるよ」


私がそういうと彼女は満面の笑みで私に笑いかけたあと、先に下に降りていった。私はタンスから適当に漁り出した服に着替えながら考えを巡らせる。


どうやらこの女性が私の母親らしい。やや賭けだったが当たっていたようだ。そして先程思いついた可能性がより現実味を帯びてきた。


――それはここは21世紀日本とは違った異世界であり、私は最近流行りの異世界転生をしたということ。


さらに言えば、私はこの女性を見たことがあることを思い出した。


……3次元ではなく2次元のキャラクターとしてだが。


この人は乙女ゲーム「Amour Tale(アムールテイル)」の主人公(ヒロイン)の母親、名はマドレーヌである。すなわち予想と既視感が正しければ私はこの「Amour Tale」の世界にヒロインとして転生したことになる。


「Amour Tale」は中世ヨーロッパ風の剣と魔法の世界を舞台にした、「the ファンタジー乙女ゲーム」である。ヒロイン(名前はプレイヤーの設定に依存する。苗字は一律「ベルナール」)はこのリアムール王国で母親と暮らすしがない一平民だった。しかしある日特異な魔法適性があることが発覚し、魔法学園に入りなんやかんやあってこの国の王子(皇太子)や宰相の息子、侯爵家の長男や金持ち商人などの攻略対象者と親密になっていくのである。


私はこのゲームをプレイしたことがある。ただ、知的好奇心でやってみた程度なので、ざっくり話の流れは覚えているがそんなにやりこんでいたわけではない。確か王子のnormal endとbad endをクリアしたところでやらなくなった気がする。どうせならtrue endもやれよと思うが、飽きてしまったものは仕方がない。


さて、私はそのヒロインとなったので、順当に行けば攻略対象者のうちの誰かと恋愛しゆくゆくは結婚することとなる。だがそれはあまり私の好む展開では無い。前世にはさほど未練はないし、恐らく戻っても死体と化すだけなので転生自体はいいのだが、1人の男性に迎合し従順し、その脛をかじる中世ヨーロッパや乙女ゲーム特有の状況(偏見も偏見だが)は好かない。それなら自力で生きて食いっぱぐれて餓死した方がマシかもしれない(やっぱりそれは大袈裟かもしれない)。それに選択肢が (攻略対象者の数)×(endの種類) 分しかない人生などつまらないでは無いか。あとそもそも「ヒロインのカナ」の今日以前の記憶は無いし、恋愛ゲームの内容も詳しくは覚えていない。


それならやることは1つ。


乙女ゲームのヒロインとしての本来のシナリオを無視し、自分自身の「シナリオ」で生きよう。そのためにはまず――――


「カーナー!!はーやーくー!!大事な日なのに遅れるわよ〜」


ここでハッとする。母親を待たせているのを忘れていた。急いで下に降りる。


「ほら、ご飯よ!いっぱい食べていっぱい大きくなるのよ〜」

「おか……ママ、私もうこれ以上はほとんど成長しないよ、既に身長165cmだし」

「あらそうだったわね、もう15だものね、でも食べて!」

「うんありがとう、いただきます」

「……?」


そう、ヒロインは齢15、身長165cmのスリム体型で、髪は父親譲りの青みがかった黒髪、目は母親譲りの紫色をしている。父親は平民ながら成り上がって王国の騎士として勤めていたが、「今」から3年前、ヒロインが12のときに勤務中殉職した。理由は残念ながら忘れてしまった。


父親の死後、ほんわかした雰囲気だが実はそれなりの商才がある母親が商店を開き、食いっぱぐれない程度には生活できている。


ヒロインは魔法適性が確定する15歳までは特に頭角を見せることなく一般の学校に通いつつ、時々母親の店の手伝いをしていた。その後この世界では珍しい水属性・光傾向の魔法適性と膨大な魔力量が発覚した彼女は貴族が多数を占める魔法学園に入学するのである。


この世界の魔法は「属性」と「傾向」が存在する。「属性」は多い方から順に土・火・風・水属性、「傾向」は光・闇である。属性はほぼ完全にランダム、傾向は本人の人格や価値観、取り巻く環境、多少の遺伝に依存する。属性は一生変わることがないが、傾向は変化することもある。


「属性」は字の通り土属性は土を操り、火属性は炎を出し…という塩梅である。


一方「傾向」はそれ自体がなにか力を持つ訳ではなく、属性を持った魔法の使い道が変わる。

例えば火×光なら周囲を明るく照らしたり、炎の壁で人を守ったりすることが得意なのに対し、火×闇は敵を黒い炎で焼きつくしたり、炎を纏った剣を生成したりといった具合だ。


ざっくり言うと攻撃が得意なのが闇、それ以外が得意なのが光だ。ただ逆の立ち回り(黒い炎で壁を作ったり)もやろうと思えばできるので、あくまで「傾向」である。それと闇=悪という訳でもない。


水×光のヒロインは、ゲーム内で力を振るうことこそなかったものの、水による城を覆うほどの防御壁(魔法耐性付き)、強力な回復ポーションやバフ付与のポーションの生成、挙句は治癒効果のある雨を降らすなど支援系魔法でチート級の力を保持していた。それほどの力を持ちながら作中ほぼ攻略対象者に頼りきりだったのは実にムズムズしたのを覚えている。


…とRPG好きが講じてダラダラ説明してしまったが、そんなわけで私の属性と傾向は………まてよ。先程母親は私が15歳だと言った。国民みんなが必ず受け、受けることによって属性・傾向が分かって初めて魔法が使えるようになる「神の啓示」(仰々しい名前だがこれが無いと魔法が使えないのであながち間違いでもない)も15歳の時にある。


「ねえママ、私の神の啓示っていつだっけ?」

「あらカナったらほんとにねぼけてるのね!今日この後行くんでしょ??」


――マジか。完全に失念していた。思えばさっきママが大事な日に遅れるとか何とか言っていた気がする。まあ、どの道避けられるものでもないし避けるものでもない。ここは素直に行くとしよう。


―――――――――――――――――――


「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい!」


朝食と支度を終え、私は神の刑事を受けに教会へと向かった。


―――――――――――――――――――

ママの説明を思い出しながら、無事目的地の教会へたどり着いた。というか、大勢の同世代の男女の波があったので、それに着いて行ったら着いた。そのまま列に並ぶと、どんどん流れ作業で列が進んで行く。どうやら神の啓示は年に一度みんなまとめてやるようだった。ちなみに今はリアムール歴1198年6月らしい(リアムール王国の初めから数えていることを除き、概ね太陽暦と同じようだ)。


そうこうしているうちに列は教会の中へと入っていった。


「○○○・○○、魔力75、属性土、傾向弱光!」

「△△・△△△△、魔力60、属性火、傾向強闇!」

「ジーク・ロバン、魔力220、属性風、傾向極光!」


他の少年・少女への啓示が聞こえてくる。これを聞いて魔力量が数字で示されることと、傾向には極・強・弱という程度の違いがあることも思い出した。ヒロインは魔力750、極光だったはずだ。ちなみに魔力量の平均はおよそ80、歴代最高値は750でヒロインは1位タイである。


「カナ・ベルナール、ここへ。」


私の番だ。優しいが威厳のある男性の声が私を呼ぶ。恐らく司教だろう。私は言われた通りに前へでる。司教が言葉を続ける。


「緊張するかい?」

「いいえ、大丈夫です」


これは嘘ではない。なぜなら私は知っているからだ。彼の口からでる単語は「水」と「極光」である。だが理由のない不安感にも襲われる。


「では神の啓示を伝える。」

「カナ・ベルナール、魔力270、属性水、傾向極闇!」


今日中が一瞬静まり、そしてどよめきが起こる。平均の3倍以上の魔力量、しかも珍しい水属性だ、当然と言える。だが私が驚いたのはそこではない。


魔力が「ヒロイン」の約3分の1、そして何より傾向が極闇だ。何故だ?


考えられることは1つ。「私」が介入したからだ。恐らく「私」の魔法適性が「ヒロイン」より無いことと、「私」が「ヒロイン」の極光を打ち消してあまりある程の闇の傾向を持っていたのだろう。魔力の方は知らないが、傾向の方は何となく理解できる。あれで光でいる方がおかしい。


「これは『神』ではなくあくまで私の言葉だが」


司教が続ける。


「おめでとう、カナ・ベルナールよ。魔力量、属性共にとても稀有なものです。その才大事にするといいでしょう。……その才にも、心にも潰されぬようお気をつけなさい。神の御加護がありますように。」


見透かされている。そのように感じた。私は恐怖とも感動ともつかない感情を感じながら、司教に答える。


「ありがたいお言葉をありがとうございます。これから精進していく所存です。」

「ハハ、そう固くする必要はありません。さあ、帰ってママにこの話をして差しあげなさい。」


そこは「ご両親」じゃないのか。片親だと言った覚えはないが…まあきっと名簿にでも書いてあったのだろう。ママとは書いてないと思うが。

………私は言われた通りお礼を言ってその場を立ち去る。教会の門を出た。そして私は思う。早速運命が変わってきている。だがそれは私の本望だ。「ねえ君!」 ヒロインの劣化版と化している気がしないでもないが、まあ究極的には死ななければ割と何でもいい。「ねえ!!」前よりはマシなはずだ。


「ねえってば!!!」


そこで私はハッとし声の方を向く。


「あ!やっとこっち向いた!さっきからずっと声掛けてたんだよ??」

「あ、ごめんなさい、えっと…」

「自己紹介がまだだったね!僕はジーク・ロバン、君の1つ前に啓示を受けてた人だよ!」

「ロバン君か、よろしく。私は…」

「カナ・ベルナールさんだよね?僕のことはジークでいいよ、僕も君のことカナって呼ぶね!」

「えっと…うん、よろしくジーク」


…押しが強い。第一印象はこれに尽きる。とはいえこういうタイプは嫌いじゃない。それにどことなくママに通ずるものを感じる。見た目は薄い黄緑色の髪に吸い込まれるような深緑の目をしている。身長は私よりやや大きいくらいだ。私の前に啓示を受けたと言っていたので、恐らく魔力200、属性風、傾向極光の少年だろう。確かにロバンとかビート板とか言っていた気がする。それにこの陽キャぶりは確かに極光だ(傾向と性格の因果がどの程度かはよく分からないが)


「それで、私になにか用事が?」

「あ、そうそう忘れてた!カナって魔力量も属性もすごいんだね、驚いて珍しいから声掛けちゃった!」

「それをいうならジークもすごいよ、風と光は相性が良いしね」

「僕の家は代々魔力が高めなんだよ!僕は特に高い方だったけどね。カナもそうなの?」

「いや、うちはそういう訳ではないと思う。多分私は突然変異。」

「そうなんだ!自分の家族以外で魔力が200超えてる人、まして270なんてなかなか見ないからつい声掛けちゃった、ごめんね!」

「いや、私も同い年の知り合いができて嬉しいよ」

「へへ、なら良かった!ところでカナはどこに進学するか決めてるの?」

「私は…」


そう、ママの話によればこの国の少年少女は神の啓示を受けたあと、余程貧乏な家を除きどこかしらに進学する。そして魔法適性が高い者の進学先は「魔法学園」と…どこだっただろうか


「やっぱり僕達みたいなのは魔法学園か魔術学院だよね」


そう、「魔術学院」だ。「魔法学園」は貴族主体で、魔法の扱いも習うが、その多くは生活魔法な上に、どちらかと言うと教養や政治についてなど貴族向けの授業が多い。それに対し「魔術学院」はやや平民が多めで教養よりも魔法理論、実践演習、武術などの魔法を使う技術を学ぶのを主体とした場所である。


「ヒロイン」は魔法がすごいのだから魔術学院に行きそうなものだが、確か魔力量が異常すぎて野放しになると国のパワーバランスがおかしくなるとかいう理由で王国で管理しやすい魔法学園に半強制で入学したはずだ。もはや存在が天災である。


「ヒロイン」が魔法学園なら、「私」は。


「私は魔術学院がいいかな…まだちゃんと決めたわけじゃないけど。」


「ヒロイン」が入学し、攻略対象者達とであった魔法学園を避ける。それにまだ使えもしないこの私の魔法についてもっと知りたい。この魔力量ならまあいないことも無いはずなので半強制入学も免れるだろう。


「そうなんだ!僕も魔術学院行くつもりだよ!家族も大体そこ出身だしね」

「お、それなら学院行ったらそのときはよろしくね」

「うんよろしく!」

「じゃあ私はそろそろ失礼しようかな、ママに色々話さなくちゃ」

「あ、そうだね僕も帰らなきゃ!それじゃあカナ、またね!!」

「うんまた」


そう言って私たちは別れた。ジークは去り際ずっとこっちに手を振ってきたので、私もできる限りそれに応えた。見えなくなると、私は向き直して家へと向かった。


――――――――――――――


家に帰ると、相変わらずの満面の笑みでママが迎えてくれた。


「あらおかえりなさい!どうだった?お話聞かせて!」

「ただいま。うんそうだね」


これが前世には無かった「実家のような安心感」かなどとくだらないことを考えながら家へと入る。そして朝ごはんを食べたダイニングへと腰を落ち着け、先程の出来事を話す。


「まあまあまあ!魔力量270に水属性!?すごいじゃないカナ!さすがはママとパパの娘ね!」

「ありがとう」

「傾向は極闇なのね!魔法剣士にでもなっちゃう??こう、スパスパっと!」

「ハハ、それもいいかもね」


極闇のことについて深くツッコまれなかったのは助かった。何か思ったが気を使っているのか、それとも何も考えていないのか。……ママの場合後者な気がする。そもそも昨日までの「ヒロイン」と「私」はだいぶ違いそうだがそれすら気づく気配がない。


「学校はどうする?ママお仕事頑張ってるから貴宝学園以外ならどこでも行けちゃうわよ」


貴宝学園とはいわゆるお嬢様・お坊ちゃま学校で、貴族と金持ち商人のボンボンしかいない。そんなところに行っても意味が無いので問題ない。



「私はその、――――


急に前世を思い出し息が詰まる。私の考えはどう言われるか。


――――魔術学院に行きたいな…魔法について色々勉強してみたい…その、まだ何がしたいかは決まってないけど…」

「あらいいわね、パパとママも魔術学院だったし嬉しいわ〜まあカナの行きたいところならどこでも歓迎だけどね!」


その言葉にややグッとくる。いや、この「ママ」ならいかにも言いそうなことだと気を取り直す。


「…うんありがとう、嬉しいよ」

「さて、そうと決まったら準備しなくちゃね!」


――――― 3ヶ月後 ――――――


時は流れリアムール歴1198年の9月。いきなり吹っ飛んだが今日は魔術学院の入学式である。ママとの生活にはだいぶ慣れてきた。この世界に関する教養のなさはママや店のお客さんの話や読んだ本でだいぶカバーできてきた。ちなみにこの学院にも日本の高校大学同様入学試験がある。だがそれは――――


「新入生代表より挨拶。推薦合格者カナ・ベルナール、前へ。」


意図せず推薦で合格した。推薦人は神の啓示でお世話になった司教殿(本当に司教だった)である。本当にあの人は何者なのか。と思いつつ前へ出る。


「木々の葉が色づき始める頃、私たちは魔術学院へと入学致します。本日は…………」


――――――――――――――――


「……………以上を持ちまして新入生代表の挨拶とさせていただきます。」


私は席に戻る。内容は端折るが至って当たり障りのない内容である。生徒や先生達も普通に拍手する。ただし私への目線は非常に痛い。恐らく推薦合格者への興味関心だろう。…そう思うことにしよう。


入学式が終わり、先生に誘導されながらクラスごとに教室へと移動する。何となく周りに避けられている気がする。さっそく学校デビュー失敗か?…と思っていると見覚えのある黄緑色の影がこちらに近づいてきた。


「やっほーカナ久しぶり!やっぱり魔術学院に来てたんだね!」

「ジーク!久しぶり、会えて嬉しいよ」

「へへ、僕も!同じクラスだよね、よろしく!」


神の啓示のときに居合わせたジークだ。誰とも話せていなかったので知人の登場に安堵した。


「にしても推薦合格なんてすごいや!さすがカナ!」

「それを言うなら一般首席合格のジークもね」


あの後調べたところ、ジークは現王国騎士団団長の息子であり、ロバン家は騎士の一族だとわかった。通りで代々魔力が高いわけだ。そしてジークは特に優秀なようだ。


我々の話を聞いていた周囲がまたどよめき始めた


「同じクラスに推薦合格者と一般首席が?すげーな」

「しかも2人とも知り合いなんて…」

「どっちも気さくそうだし後で話しかけてみようかな」


後で話しかけてくれるらしい。これでもう少し知り合いが増やせそうだ。「気さくそう」と思われたのは明らかにジークのおかげなので感謝しなくてはならない。


そうこうしているうちに教室へと着いた。指定された席へ座ると隣の女の子が話しかけてきた。


「ベルナールさん!…でよかったよね?推薦合格の。私はマリー・スオーロ、少ない女子同士よろしくね!」

「うんスオーロさん、よろしく」


そう、この学院の女子は少ない。男女比はおよそ19:1、女子は全体の5%である。この世界は基本男性優位、貴族優位で、ただし女でも平民でも優秀なら個別に取り立てるというスタイルなので、魔術学院にも余程優秀でなければ娘を入れようと思う親は少ない。裏を返せばこの学院の女子は大体優秀だ。ちなみに魔法学園は貴族社会の縮図となることを意識してか、乙女ゲームを成り立たせるためか、魔術学院に行かせない選択の結果か、むしろ女性の方が多い。


さて、そんなこんなで始まった学院生活、既に乙女ゲームの筋書きは見る影もない。これからどうなるかは検討もつかないが、せいぜい楽しむとしよう。前世の二の舞にならないように。


――――――――――――――――


ここはカナの知らない場所。誰も知らない場所。重い扉が開く音がする。


「おい、ここに来るまでに誰かにつけられてないだろうな」

「ああ、もちろんでさあ。あっしこれでもそういうとこはちゃんとしてやすよ」

「ならいい。では全員集まったし、会議を始めよう」

「今日の議題はあれっすね?」

「そう、『計画M』だ。」

「しっかし大胆なこと考えやすねえ〜あんたも」

「ふん。そうかもしれんな。だが私の目的を果たすためには良い策だ。」

「確かにね。それじゃあ改めて始めやしょうか、会議」


――――――――――― to be continued


読んでいただきありがとうございます!もしよろしければ感想いただけると嬉しいです✨(あくまで趣味程度なのでやさしめ評価してもらえると嬉しいです笑)

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