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久しぶりに子どもみたく遊んだなって思います

「ああ、すみません。つい話し込んじゃって……このリサって悪魔さん、私と故郷が近いらしくて。つい、昔話をしちゃいました」」



カノンはぽかんとしている一行を見て、自分が無意識に”調律”を介さず話していることに気付き、皆の方を振り向いて意識して伝わるように言った。



「同郷の悪魔、ね」

「きっと、あそこの魔王は態度がデカイから嫌だなぁ、とか、そういう話をしていたんじゃないですかねぇ」



リリカは勝手な偏見から二人の会話を想像する。



「あぁ、なんですかね……どっちかっていうと、神の悪口言ってましたね、はい。私達、悪魔なので」

カノンがそう言うと、リサはにいと笑って口を閉じたまま返事をする。



『大抵ジョーシって何かとウザいがちだけどさ、ウチらのジョーシってなんつか、リスペクトできるじゃないスか。細かい連絡にもなるはやで返してくれンし、面倒見いいっツゥか?』



一行の脳内に、この言葉が直接流れ込んできた。デイジーは素直にわぁっ驚き、ルーティは一瞬はっとしたもののリサの能力の一種であると理解した。フェーベは水平線の向こうにぼう……と視線を伸ばし、リリカは驚きと恐怖からルーティの腕にしがみついていた。



「リサさん、今のってリサさんの能力的なやつですか?」

『そそ、ウチら海の中じゃこの"超音波"で会話してるんス。驚かせちゃったっスかね?』



言うとリサは、様々な反応を見せた一行を一瞥(いちべつ)する。どうやら、言語の壁を超えることの出来る悪魔はカノンだけではないようだ。



「凄いの、凄いの!他にはどんな事ができるの!?」



デイジーはリサの目を真っ直ぐ見つめ、彼女に対する好奇心を剥き出しにする。



『お、グイグイ来るっスね〜。じゃあ、こんなンはどォッスか?』



リサは手のひらを空にかざすと、リサの手を中心に周囲の海水が集まってきた。その海水はぬるりとデイジーの周り半径1mほどを包み込むと、ポン!という音とともにシャボン玉のように変化し、デイジーはその中に閉じ込められる形になった。



「わ、わ、わぁ!何、これ、ふわふわ浮かんで、楽しいの!」



デイジーが水で出来たバランスボールのような球体の中でぽよぽよと跳ねると、球体もデイジーの動きに合わせてぐにゃあと歪み、その反動で跳ね回った。



『アハ、気に入ってもらえた感じスかね?これ、”銀輪シルバーリング”ッつうんスけど、ケッコーいろんなコトに応用効いて便利なンすよね。一度作っちゃえば、大体3ティモ?は持つンで』

「あ、あのっ!私もやってみたい、です……」


カノンはデイジーが楽しそうにぴょんぴょん跳ねている様子を見て、居ても立ってもいられなくなり、手を挙げてリサを懇願するような上目遣いで見つめる。


『いいッスよ、もちろん!よォ~~~し……はいっ』



カノンはリサの手により、先程のデイジーを包んだものと同じ手順で作られた”銀輪”に包まれると、船の上をぴょこぴょこと跳ね回って遊んだ。



「おぉ~……っと、っと。これ、なかなかコツがいりますね!よっ、と……ほう……わ、わぁ!!」


カノンが勢いよく跳ねたその先に、デイジーが同じくらい勢いをつけながらこちらに向けて飛びかかってきていた。


「あ、カノン!危ないの~~!!うあぁ」

「あぅあ!へぁあぁ~」



夢中で遊んでいたカノンとデイジーは、挙動の予測できない”銀輪”同士でぶつかり、そのまま”銀輪”の持つ不思議な弾力に弾かれ、力のない声とともに海上へと投げ飛ばされた。



「……ははは、この”銀輪”って、あの高さから落ちても全然へっちゃらなくらい丈夫なんですね!すごいです」

「楽しかったの!」



“銀輪”は不思議なことに海面にも浮かび、そこを支えとしても反発して飛び跳ねることができるようで、しばらく海面を飛び跳ねて操作に慣れていく過程で簡単に船の上に戻ってくることができた。


『へへっ、喜んでもらえたようでなによりッス』

「私から、もう一つ頼みたいことがあるんだけど……この後、クエストの討伐証明に手伝って欲しいの。代わりに、私達がおすすめするレストランに招待しようかと思うのだけど」



ルーティは自分で言っていながらこの交換条件はかなり大胆であると思ったが、先程クロッシュから聞いたここに棲む悪魔の話だともしかしたらこれで呑んでくれるかもしれないとダメ元で提案した。



『お、デートのお誘いスか?クエストの討伐証明か~、どーりでいつもより人間が寄ってくるなって思ったンすよね。気持ちはありがたいンすけど、ウチに恨みがあるヤツに見つかったらヤベぇンす』



リサの体には背びれや胸ビレの名残のようなものがあり、この姿形はクエストの依頼書にスケッチとして残っていたのを一同は記憶していた。



「うーん……あ、はい!私ならなんとかできるかもしれません!私、L.I.S.A.のファンだったので、それそのものの姿に出来るかなって思います」



そう言うとカノンはキーボードの蓋を開き、”調律”、”変化”ボタンを押した。魔力の残りを確認するために念の為ステータス画面を開くと、「星魔法 LV3」というものが加わっていたが、ここでは一旦置いておくことにした。魔力の残りはMP13000/18000と表示されており、まだまだ余裕があるようだった。



「お、それは……”変化”ってヤツっスね?”水鏡”に表示されてる限りだと何が起こるかよくわからないンで、楽しみッス」

「よくご存知で!私ならL.I.S.A.のイメージが明確なので、えと……絶対っ!やれるって思います」



そう言いながらカノンはブルネルスキの別荘でやった”変化”での失敗を思い出しており、かなりのプレッシャーがかかっていた。


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