Black Art × White HeArt
辺りに響く爆発音と怒号
周りに散らばる瓦礫と仲間だったモノ
耳から離れない自分の心臓の鼓動
それなのに弱まってゆく右腕の中の友人の吐息
あぁ 僕の悪い癖だ
思考が止まると何も出来なくなる
こんな時あの2人が側にいてくれれば
そんな僕の視界に駆け寄って来たのは2人ではない友人
彼女の能力なら治療が出来る こいつを助けられる
「ファエル!こっちだ助けてくれ!」
辺りの音に負けず届くように何度も最大限で叫んだ
彼女と目が合う
こっちへ駆け寄ってくる
良かった助けられる
「おいケルム!もう少し頑張れ!助かるぞ!」
そう言いながら友を見る
返事をしたのだろう小さく口を開けて少しだけ微笑んだ
ファエルに視線を戻した僕が見たのは
上官に腕を掴まれ何処かに連れて行かれるファエルだった
彼女が腕を伸ばし僕に何か叫んでいる
聴こえない 伸ばした腕も到底届かない
あぁ ダメだ待ってくれ 待ってくれ頼むから
無意識にファエルへと伸ばしていた左腕を掴まれる
ケルムの腕だった
視線を落とすと口が動いてる 聴こえない
彼の口元に耳を近づける
分からない
何か伝えようとしているのに聴き取れない
掴まれていた腕が離れ そのまま地面へ無気力に落ちた
口元から胸元へと耳をずらす
彼からは何も聴こえなくなった
顔を上げた
戦いは終わってなどいない
彼の死を誰も気にしてる余裕などない
僕は叫んだ
この戦場で聞こえない叫びを叫んでいた