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第6話 賢者たち

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

ハーミット1(アイン)

全長:10m(狙撃管制装置含む)

全高:18m(頭頂高)

全幅:11m


欧州連合軍初の実戦型人型機動兵器として開発された。

小型核融合炉と第二世代量子コンピューターを搭載し、バッテリー駆動かつ第一世代量子コンピューター搭載型の人型機動兵器アルマダートに比べ、段違いの性能を持っている。

射撃型に設定されており、4機のハーミットの中で最も射撃能力が高い。実質ギルベルト専用機


☆マインクラフト詳細☆

YASUDE氏が作っていた天狗という機体を、この小説用に私がプロトタイプという設定で小改造した機体です。元の天狗では組み込まれている当サーバー独特の稼働回路は組み込んでいない機体です。

=ドイチェス・ライヒ(ドイツ国)首都ベルリン 欧州連合本部にて=


 コンカルノーでの戦いの数日後、ヴェルドゥラたちの戦いと、クレーターで発見された隕石の分析結果について議論されていた。


「ハーミットはヴェネツィアの人型機動兵器アルマダートに対し、十分な有用性があることが確認できましたな。これならば量産を急いでも問題ありますまい。」


「左様、大災厄フレアカタストロフィで疲弊しているとは言え、我が国が技術的に後れを取るわけにはいかぬ。早期に量産し、関係国へ配備を進める手はずを進めよう。」


 議長席に座る欧州連合ドイチェス・ライヒ(ドイツ国)代表、ヴォルフガング・キルンベルガーは他の議員たちに目をやり意思決定を伝える。


「それにしましても、クレーターより採取された隕石の成分の方が驚くべきものですな。サンプルとして持ち帰った小さな欠片だけでも、一定の圧をかけるだけで原子炉1基以上に匹敵するエネルギーを作り出す可能性がある上に、既存の金属と合金化すれば未知の金属をも精製できることも可能であるとか・・・。」


 議員の一人が興奮気味に発言し、机に置かれた水を飲み干した。各議員たちも手元の資料を見ながらざわつく。


「残り僅かなウラン原料の代替えとして、夢のような資源であることは間違いない。ヴェネツィアが我らに宣戦布告までして回収を推し進めようとするのも解る。が、しかし。アイリス合衆国も疲弊し、ロシア帝国が瓦解した今、彼の国に覇権を握られるわけにもいかぬ。他のクレーターの隕石回収は勿論のこと、コンカルノーの隕石は早急にこちらへ移送させねばならん。」


 ヴォルフガング議長が発言し、議会は全会一致して終了した。


 放射線を完全遮断できる技術は確立し、原子力を安全に活用できるようにはなっていたが、肝心の原料であるウランが世界中であと僅かしかなく、エネルギー事情が危機的な状況であった。その代替え策が星の欠片フラメントステラによって簡単に手に入ることが解った今、その資源をめぐり世界はまた戦乱の世に進むことになるのである。



=アルスター基地 司令室内=


 コンカルノーの戦いから帰還したヴェルドゥラたちは、ヘンスラー司令に呼ばれ全員で司令室に来ていた。


「まずは先日のコンカルノーでの戦い、よくやってくれた礼を言う。おかげでヴェネツィア共和国の侵略の足掛かりを阻止できただけではなく、今後の戦略に大きな影響を及ぼすであろう隕石を回収する事ができた。」


 整列しているカーダー・シュナイデン全員の前で、ヘンスラー司令が葉巻を吸いながら全員へ労いの声をかけた。


「隕石でありますか?」


 ギルベルト大尉が自分たちの戦いの他に出てきた単語に質問した。


「うむ、サンプルを本部へ送ったところ、隕石に含まれる未知の成分が、原子力をも超える莫大なエネルギーを生み出す可能性があるらしい。そこでだ、君たちの次の任務はもう一度コンカルノーへ戻り、そこからフランス西部のレンヌへ残りの隕石を運ぶ部隊の護衛をお願いしたい。」


「了解であります!」


 隊長であるギルベルト大尉が代表して答える。


「そして先日の戦いでの功績と、近々予定していた昇格も併せて今辞令を下す。ギルベルト大尉は少佐へ、ワカバ少尉は中尉へ、リリアーヌ軍曹は曹長へ、ヴィクター伍長は軍曹へそれぞれ昇格とする。」


「「ありがとうございます!」」


 辞令を受けたそれぞれが礼を述べた。


「コンカルノーへの駐留基地への出発は本日18:30だ。遅れるなよ?以上。」


 退出した俺たちは事務室へ戻る廊下で、それぞれの思いを口にしていた。


「やっと昇格できたー!これもハーミット様様ね!」


「あなたはその年齢で既に十分エリートコースですわよ。嫌味に聞こえますのよ。それよりもギルベルト大・・・いえ、少佐もご昇進おめでとうございます。」


 ワカバに冗談交じりで苦言を呈したあと、ギルベルト少佐にリリアは祝辞を述べた。


「ありがとう。俺だけではなく君やワカバ、ヴィクターも昇進できて良かった。ロジャーは最近昇進したばかりだし、ヴェルドゥラに至っては特例中の特例で中尉スタートだからな、今回は見送られたのだろう。まあお前たちの働きなら今後すぐにでも昇格するだろうさ。」


「ですね!俺たちも実戦で活躍してどんどんとのし上がってやろうぜ!」


 いつも気さくなロジャーが俺の肩に手をかけてノリノリで言う。


「そうっすね、ぼちぼちやっていきます。」


 そう答えた俺の肩を、でかい手で嬉しそうにバンバンと叩いたロジャーが続けて言う。


「しかし、隕石の輸送なんてハーミットの垂直離発着できる輸送機を使えばすぐに終わるんじゃないか?」


「フランス国内だから自分たちで運ぶんだってさ。」


 横にいたヴィクターがそれに答える。


「運ぶのは自分たちで、護衛だけあたしたちにやらすの?」


 ワカバも今回の作戦には疑問があるようだ。


「隕石の今後の利用などで利権が絡んでいるのでは?資料によると小さな欠片一つで小国の全電力を賄えるかもしれないとか。」


「俺もそう思います。小さなサイズでとてつもない有用性がある物体なら、世界の勢力図が抜替えられる可能性がありますもんね。」


 リリアの予想に俺も同調した。


「だな。何にせよ俺たちの任務は無事にその搬送を終わらせることだ。次も気を抜かず行けよ。」


 先頭を歩いていたギルベルト少佐が皆に任務を再確認させた。


「でもそんなエネルギーにもなるし、新素材にもなるような物質があるなんて未だ信じられねぇぜ。やっぱ宇宙は広いんだなぁ・・・宇宙人もいたりして。」


「あんたってたまに子供っぽいわよね。」


 両手を頭の後ろで組み、天井を見ながらつぶやく俺にワカバが呆れたように呟いた。


「なんだよ!いるかもしれねーだろ!宇宙人!!」


「はいはい。」


 ワカバの適当な返事と皆の笑いが廊下に響いた。



=コンカルノー駐留基地=


 翌朝、俺たちはクレーター付近の駐留基地に到着していた。監視衛星や防空レーダー網などもほぼ無くなった今では、夜間が敵に知られることなく移動できる手段の一つになっていた。

 環境改善装置アンチディザスターのおかげで付近の汚染なども無く、天気も良好だったので移動にもってこいな日だった。


「・・・であるからして、ここを全隊引き上げる。環境改善装置アンチディザスターも隕石と一緒に鉄道へ載せるので低速での移動となる。そこで諸君には随行し周囲警戒に当たってもらう。10:00に出発とするので各々それまでに準備を終えるように。以上。」


 仮設の作戦室ブリーフィングルームで駐留基地司令が作戦概要を説明した。

 隕石の回収作業を終えた駐留基地部隊は、必要最低限な資材などのみを貨物鉄道へ積み込み、絶対勢力圏内の都市レンヌまで運ぶこととなっていた。そこまでの約200kmの道のりの護衛が俺たちの任務という訳だ。


 線路沿いに続く大きな幹線道路に出た時は、フランス軍が用意した巨大なトレーラーにハーミットを載せ、俺たちもコックピットから降りて休憩できたので割と楽な移動だった。僻地とはいえ、ヴェネツィア共和国からすれば敵国の内陸部にあたるので、そう易々と部隊は送れないだろうと思っていた矢先、指揮車輛のリリアから緊急通信が入った。


「1時と7時の方向にそれぞれ人型機動兵器アルマダートが3機の計6機、機種はGolem-Mk2(サイクロプス)。他にもTENGUHMU戦車が数輌を確認。」


「奴らも空輸で来たようだな。石ころに対して執念深いもんだ。全機応戦体制!ハーミット3(ドライ)は遠距離からチャフや砲撃で援護しろ。貨物車輛からなるべく距離をとって戦え。視界が開けている1時は俺とワカバが、反対はロジャーとヴェルドゥラで行け!」


「「了解!」」


 全員が応答すると同時に、コックピットや自分の持ち場についた。

 待機状態スタンバイモードにしていたハーミット0(ゼロ)の操縦桿を握り、一気に起動させる。トレーラーから降りると、隣の前方の車両にいたロジャーも同時に降りて、ハーミット2(ツヴァイ)に準備万端といったポーズをさせていた。


「よっしゃ!一気に行くぜ!」


 勢いよくロジャーは敵の方向へ向かって突き進んでいくので、俺も慌ててついて行った。

 A.B.C-Soldato(ソルダート)に対して小型で小回りの利くGolem-Mk2(サイクロプス)は、点在する木々や民家に隠れながら、貨車へとうまく距離を詰めてきていた。ハーミットの出撃に気づいたサイクロプス3機は、こちらへの警戒の姿勢をとった。


「ヴェルドゥラ!そのまま後方から支援してくれ!」


「了解!」


 俺とロジャーはやり取りをしながら、一気にサイクロプスへ距離を詰めようとした。

 その時、俺たちの機体に向けて複数の照準用のレーザー照射を受けているアラームが鳴った。その直後にミサイル接近を知らせるアラームが、コックピット内にけたたましく鳴り響いた。


「ちっ!」


 今回の作戦から配備された、ハーミット用の40mm機関砲を左手に構えながら俺は急速後進し、機体に搭載された第二世代の量子コンピューターのFCS(火気管制システム)の補助もあり、向かってきていたミサイル2発を打ち落とした。

 ロジャーの方を確認すると、うまく近くにあった農業用サイロに隠れミサイルを避けていた。安心したのも束の間、サイクロプス2機がこちらへ向けて今度は105ミリライフル砲を撃ってきた。咄嗟に回避行動をとるが、4発のうち1発を左肩に受けてしまった。


「うお!くらった!?しかし損傷は軽微か・・・。」


 モニターに表示された機体へのダメージ情報を即座に確認しながら俺はあることに気づいた。2機なのに4発砲弾が飛んできていた。同時にモニターに映し出されているサイクロプスを見ると、両手にライフル砲を持っていた。今まではは片手にしか武器を持っていなかったが、今回は両手に武器を持ち、肩には先程発射したであろうミサイルの発射装置が装備されていた。


 ヴェネツィア共和国軍もこれまでのハーミットとの戦闘データから、対ハーミット用に武装の強化を行ってきていたのだ。


「おい!ライフル砲は次を撃つまでに多少の時間がかかる!機動力を生かして一気に仕留めろ!」


 ロジャーはそう言うと同時に農業用サイロから飛び出し、残りのサイクロプス1機に対してうまくフェイントをかけライフル砲を撃たせた。2発とも外したサイクロプスは慌てて後退するが、機動力で勝るロジャーのハーミット2(ツヴァイ)に追いつかれ、次弾を撃つまでに両肩を切断された。


「よし!俺も!」


 右手のライフル砲を右の1機へ向け、左手の40ミリ機関砲をもう1機へ向けてそれぞれを発砲した。


 ライフル砲は腰に当たりかなりの損傷を与えたが、活動停止には至っていないようで再度攻撃する必要もあった。もう1機も機関砲が何発か当たり、左腕を大破させることが出来たが、右手に持った武器は健在なので危険な状況だった。


 俺は近い方のライフル砲を当てた方の機体へ狙いを定め、右手に持っていたライフル砲を腰部のアタッチメントへ固定し、プラズマソードに換装した。


 もう1機の攻撃を警戒するために全速力で接近し、サイクロプスの右腕を一気に切り抜いた。その後サイクロプスを圧倒的に上回る旋回能力で一気に振り返り、残りの左腕も肩から切り落とし、1機を完全に無力化させた。


「ロジャー!」


 俺がそう呼びかけると、言わんとすることをを即座に理解したロジャーは、残りの1機に急速接近を始めた。俺もそれに合わせ、距離を詰める。別々の方向から急接近するハーミット2機に狙いをつけきれず、見当違いな場所にサイクロプスが砲撃をした直後、サイクロプスの左右の肩を俺とロジャーがそれぞれの近距離攻撃で破壊した。


 時を同じくして、ギルベルトたちは線路を破壊され、足止めをされていた貨車付近で砲撃戦を行っていた。敵勢力はヴェルドゥラたちが戦った同様の装備ををしたサイクロプス3機、TENGUHMU戦車が4両いた。対してギルベルトとワカバのハーミットが2機と、貨車に随行していた戦車5両が護衛隊の戦力だった。


 敵も隕石を積んでいる貨車には攻撃出来ずにおり、戦況は膠着状態に陥っていた。その状況を打開すべく、早急にサイクロプス2機は撃破すべきと判断したギルベルトは、その結論に至ったと同時にワカバへと指示を出した。


「ワカバ、射線支援しろ。」


「了解!」


 指示を出した直後に操縦桿にあるボタンを押し込むと、ギルベルトの眼前に狙撃用モニターが下りてきた。各ハーミットは大型の演算機を搭載したワカバのハーミット3(ドライ)とリンクすることにより、照準補正や敵火線からの回避支援などを受けられるようになっていた。この機能は射撃特化機であるハーミット1(アイン)と最も相性が良かった。


 操縦桿を握り、演算で導き出された数値と自分の勘を合わせ、ギルベルトは引き金を引いた。


 ライフル砲とロングレンジキヤノンが同時に火を噴き、2機のサイクロプスをめがけ、それぞれが飛んでいく。1kmにも満たない射線ゆえ、砲撃後すぐに各の胴体に着弾し、ライフル砲を受けた機体は大穴が空いて沈黙し、ロングレンジキヤノンを受けた機体は爆発して大破した。


 しかし、その間に味方の戦車2輌が、最後の1機のサイクロプスの狙撃機により中破されていた。更にその流れで肩のミサイルを発射しようとしているところだった。


「ワカバ!チャフだ!」


「了解!」


 周囲の状況を冷静に見ていたギルベルトはワカバに指示を出した。指示を受けたワカバがコックピット内で素早く操作すると、ハーミット3(ドライ)の左肩から小型の砲弾が発射された。それは敵味方のやや味方側で炸裂し、キラキラとした金属片をまき散らす。この金属片には、レーザー照射を乱反射により狂わせるだけでは無く、画像認識を紛らわす効果があった。


 チャフ散布直後にサイクロプスより発射された2発のミサイルは、当然の如く照準が狂い、空を切ってどこかへ飛んでいくのだった。


 しかし、戦車への攻撃は回避出来たが、チャフの効果は敵味方に関係無く続くので、効果が消えるまでは、誘導兵器や精密射撃が双方で制限される状態となった。


 その時、グリーンとレッドの機体がギルベルトとワカバの目の前を横切っていた。リンクされている戦況を確認し、こちらへ援軍に来たのだった。


「早かったなお前たち。」


 こちらへ来たということは、貨車の反対側での戦闘を終えていると確信しながらギルベルトはヴェルドゥラたちに声をかけた。


「向こうはサイクロプス3機だけでしたから。」


「7時方向の敵勢力は完全に沈黙していますのよ。問題ありません。」


 俺の言葉にリリアが補足してくれた。


「よし、チャフの効果が消えない内に一気に決めてこい。接近開始直後に俺とワカバで援護射撃を行う。」


「「了解!」」


 チャフの影響下では接近戦をこなせる俺たちの機体の方が、ギルベルト少佐たちの機体よりも有利に戦闘を行えるので、急いでロジャーと駆けつけたのだ。


 俺とロジャーが敵戦車に向けて左右に分かれて接近を始めたとき、ギルベルト少佐とワカバが40ミリ機関砲で援護射撃を行った。チャフの影響下と油断していたのか、回避行動をとらずにこちらへと向かってきていた戦車2輌が何発か弾を受け、中破してその足を止めた。移動しながら俺はそれを横目で確認し、残りの2輌に向けて、相手の砲塔がこちらを補足するよりも早く両手の武器を斉射した。


 近距離からなのでコンピューターの支援無しで2輌とも砲塔を打ち抜いて無力化し、最後のサイクロプスへ向かう。ロジャーが先に到着し、右手で左肩を破壊しようとしていたが、紙一重でそれをサイクロプスがかわしていた。ライフル砲の砲身でハーミット2(ツヴァイ)を殴打しようとするが、ロジャーが左手で砲身を破壊した。


「今だ!」


 俺がプラズマソードに武器を換装し、サイクロプスに向けて刺突しようと向かっているのを見てロジャーが声にした。


 ハーミット2(ツヴァイ)が身を引いた直後に、サイクロプスの頭部をプラズマソードで刺し貫いた。その後、コックピットが開きヴェネツィア兵が両手を上げて降伏してきたのだった。


「敵勢力、完全に沈黙。敵の増援の動きもありませんのよ。」


「よし、状況終了だ。」


 ギルベルト少佐のその言葉で皆が沸き返った。


 味方戦車2輌が中破したものの、死者は無く大きな怪我を負った者はいなかったようだ。破壊された線路もすぐ後ろに控えていた工兵部隊が迅速に復旧させ、戦闘開始から一時間足らずでその場からの移動再開の準備ができた。


 敵の捕虜や中破させた機体などは、随行部隊の一部と直近のフランス軍基地から回収部隊が来て対応するそうだった。






「あれが欧州連合の『作品』か。」


 戦闘が行われた平原から少し離れた小高い丘に建つ小民家の窓に、電子双眼鏡を片手にしながら、端正な顔立ちだが無精ひげのある白衣姿の男が立っていた。


「出力はサイクロプスよりも30%ほど高く、内蔵されたコンピューターもおそらく第2世代かな。」


 男は双眼鏡を持った反対の手に持った情報端末に映し出されている数値を見ながら呟いた。満足したような表情を見せ、それらを鞄に仕舞い部屋の奥へと消えていった。






 線路の修理が完了して再び移動を開始した後は、襲撃を受けることもなく夕刻には無事に目的地のレンヌへ到着した。隕石はここからは航空機で別の場所へ移送されるらしく、今回の俺たちの任務はここで終わりだった。


「今日はここで泊まりだし、皆でパーっとやろうぜ!」


「いいですわね!このレンヌがあるブルターニュは美味しいワインの産地ですし、シャロレー牛もとても美味なんですのよ。」


 フランス生まれのリリアが今日はとてもノリノリだった。てかこの人たちめっちゃ酒が強いんだよなぁ・・・。


「うむ、じゃあワカバ、良さげな店を調べてくれ。」


「アイアイサー!」


 ギルベルト少佐もワカバも旨いものと酒には弱い


「ふっふっふっ、今日は飲みつぶれてもナンパに着いてきてもらうからな。」


「それを誘うなら酒はほどほどに・・・」


 ヴィクターがニヒルな笑みを浮かべながら俺にそう言ったが、いつも通り酔いつぶれて行けなかったのは言うまでもない。

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