挙式-06
いよいよ子供が産まれる。
さすがに今日はお勤め免除だ。
オモさんには”父親が居なくても産まれますよ?”と言われたのだが、必死に頼み込んで了解してもらえた。
今日の予定だった子も俺に同調してくれたおかげだ。
もっとも、”明日はその分全力で楽しませてね”と言われてしまったのだが・・・
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そろそろ産まれるらしい。
シェルターの医療エリアに居るが、さっきから落ち着かない。
地星より科学技術の進んだスメラ星であっても母子ともに100%無事が保証されている訳ではないのだ。
心配で心配でたまらない。
「コウ、落ち着いて下さい。」
「いや、キット、お前も父親になれば分かるが、落ち着くなんて無理だぞ?」
「残念ながらわたしは親にはなれません。せめて歩き回るのは止めましょう。」
「いや、つい歩いちまうんだよ・・・」
「では、スクワットでもしてはいかがですか?」
「お、おう・・・」
1,2,3,4,5,・・・・・・・・・・・・・・・
1818,1819,1820,1821
ガチャ
ぴく!
「コウさん、生まれましたよ!」
「!」
ダダダダダダダダダ
思わず駆け出した。
「ナホ!」
「コウ、産まれたよ!女の子だよぉ。」
「うん・・・うん・・・よくやった・・・ありがとう・・・お疲れ様。」
ナホの隣に赤ん坊が寝かされている。
うん、可愛い、実に可愛いぞ!
悪い虫はお父さんが蜂の巣にしてやるからな!
あ・・・悪い虫になれるのは俺の子供か・・・困った・・・
「可愛いよねぇ。」
「あぁ、宇宙一可愛いぞっ!」
「ふふ、親バカにならないでね?」
「自信は全く無い!」
「もう、そんなに力強く言わないで。」
「ごめんごめん、二人でしっかりいい子に育てような。」
「うんっ!」
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1週間後に退院となった。
母子ともに全く問題なかったが、念のために長めに入院してもらったのだ。
お勤めの合間ごとに顔を見に行ったのだが、みんなに呆れられてしまった。
名前は、ナホの提案でスセリヒメと名付けた。
意味は”積極的な意思を持つ女性”だ。
厳しい環境の中でも前向きに生きて行けるようにという願いが込められている。
「これでお姉ちゃんとお兄ちゃんは伯母さんと伯父さんか。」
「お母さんはもうお婆ちゃんか。」
「あはは、魔法憲兵隊長にそんな事言ったらどんな目に合うか分からないよ?」
「おぉ、そうだった。でも、きっとみんな天国で祝福してくれてるよ。」
「そうだね・・・でも、お姉ちゃんとお兄ちゃんは生きてる可能性はほんの少しだけあるから・・・」
「え?」
「ヘヴ軍侵攻前に乗ってた宇宙船の撃墜信号は受信できなかったんだって・・・」
「そうなんだ・・・どこかの星に辿り着けてたらいいね。」
「・・・うん。」
俺も実戦経験は豊富だ。
仲間の信号がいきなりロストしたらどういう状況なのかくらい分かる。
エマージェンシーを出す前に木っ端微塵だ。
話題を変えた方がいいだろう。
「この子の為にも俺も開拓を頑張らないとだなぁ。」
「あんまり無理しないでね?」
「あぁ、ちゃんとペースを考えるよ。でも、せめて離乳食が終わる頃にはちゃんとした食べ物を用意してやりたいからなぁ。」
「うん!二人で頑張ろうね!」
既に妊娠している子がそれなりに居るので、お勤めの回数が減ったのだ。
その分、開拓の仕事が出来る子が減ったので俺が頑張らなければならない。
ちなみに非常用保存食を使った離乳食は、キユ大佐が完璧な論文を仕上げてあったらしい。
ここで一旦、序盤に相当するスメラ編パート1が終了します。
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