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遺跡-07

「キット、目には目をだ。こっちの反射レーザー砲を見せてやろう。」

「了解しました。」


俺は特務改のバイポットを最大まで引き延ばし、HUDに表示される指示に従って上空に向けた銃口の方向を調整した。


「反射レーザー砲の攻撃準備が整いました。」

「キット、殺れ!」

「了解しました。」


次の瞬間、敵のマークスマンは頭部と胸部をそれぞれ2発撃ち抜かれていた。


「敵マークスマン撃破しました。」


敵の動きが全て筒抜けだったのは、追跡に気づいたキットが、高高度気球で成層圏上縁の高度50kmで観測を続けていた蒼雷を地上部隊支援モードに切り替えたからだ。


そして反射衛星砲は遥か昔からの浪漫武器だ。

キューさんが蒼雷に搭載しないわけがなかった。

ただし、キューさんと言えども通常パワーの特務改のレーザーを反射するミラーはまだ作れなかった事、高高度ではミラーの冷却性能が落ちる事などから、直接射撃と比べれば威力は格段に落ちてしまう。


「よく殺った。敵部隊の動きはどうだ?」

「上空からの攻撃だと気づいたようで警戒していますが、さすがに蒼雷は発見できないようです。」

「よし、じゃあ残りも殺っちまうか。タイミングは任せる。」

「了解しました。」


------------------------------


「皆、無事だな?」

「「「「はい。」」」」


ブリュンヒルド軍曹はスヴァーヴァ伍長にハンドサインを送った。


『状況 報告』

『迎撃 あ・・・り・・・』


ブリュンヒルド軍曹の遠赤外線から紫外線まで見る事のできる目に、天から降り注ぐ4条の光が映った。

その直後、スヴァーヴァ伍長のハンドサインが途切れた。


「空からの攻撃だ! 対空戦闘用意!」

「軍曹、スヴァーヴァ伍長は?」

「4発直撃だ。おそらくやられた。まさか今でも航空支援があるとはな・・・」

「軍曹、機影が見当たりません!」

「こちらもです!」

「同じく見当たりません!」


フロック、フリスト、フルンド上等兵が対空監視をしながら報告してきた。


「よく探せ! 敵はほぼ垂直に撃ち下ろしてきた来た。かなりの高度のはずだ!」

「軍曹。」

「どうした、ランドグリーズ伍長?」

「あの3人が航空機を見落とすとは思えません。衛星レーザーの可能性があります。」

「しかし衛星は両軍とも全て・・・いや、確かに・・・逃げろっ!」


乱舞するレーザーを視認したブリュンヒルド軍曹は、慌てて退避命令を出した。

しかし、遅すぎた。

上空を見上げていたフロック、フリスト、フルンドは装甲に覆われていない眼球部を撃ち抜かれ、地面に崩れ落ちた。


「アンチレーザー煙幕!」

「了解!」


周囲が白銀の靄に包まれていく。

アンチレーザー煙幕はミスリル微粒子を用いた煙幕だ。

ミスリルによりレーザーを吸収散乱して攻撃を防ぐ他に、可視光、レーダーに用いるマイクロ波や熱源から出る赤外線を散乱し、敵の探知能力を妨害する事ができる。


「各員、被害状況を報告しろっ!」

「ランドグリーズ、装甲上面大破。レールガン砲身に損傷あり。撃てて1発と思われます。」

「フロック、フリスト、フルンド!」

「・・・・・・・・・」

「フロック、フリスト、フルンド!」

「軍曹、3人とも両目を撃ち抜かれて死んでいます。」

「くっ・・・わたしが対空監視を命じたせいか・・・」

「軍曹の責任ではありません。あの状況で対空監視を命じない指揮官などいません。」

「・・・すまない。」

「ところで軍曹の被害状況は?」

「追加装甲上面が大破した。幸い、レーザーは無事だ。」

「分隊員6名中4名が戦死しました。軍規では撤退する状況ですが、どうされますか?」

「あぁ、確かにその通りだ。だが、撤退できると思うか?」

「奴が相手では撤退はまず無理でしょう。」

「すまない。敵が偵察機だと判断を誤ったわたしの責任だ。」

「いえ、あの大きさの攻撃機の情報などこれまでありませんでした。軍曹、どうせ死ぬならば自分は仲間の弔い合戦をしたいと思います!」

「わたしも同じだ。やるか?」

「はい。作戦はどうしましょう?」

「ほんの僅かだが、奴らの居る場所と上空を結ぶレーザーが見えた。確証は無いが、衛星レーザーでは無く、高高度反射レーザーかもしれない。」

「という事は、奴らを叩けば上空からの攻撃は無い、と?」

「わたしの視力では高高度の物体までは認識できないから確証は無い。ただ、その可能性に賭けるしかないだろう?いずれにせよ、アンチレーザー煙幕が切れたら終わりだ。」

「そうですね。」

「わたしの突撃準備ができたら弾幕を張ってくれ。敵が応射し始めたらわたしが回り込んで仕留める。」

「了解しました!」

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