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異世界召喚されたネカマプレイヤー達の悲喜劇。


 異世界転生と聞いて、貴方は何を思い浮かべるだろう?


 チート?


 ひ弱な現代日本人が魔物と言うモンスターが蔓延る命の軽い世界で生き残るには、勿論必要な要素だろう。


 今の俺の装備は、古代龍シリーズの火炎王龍装備で固めている。


 それにお約束の目の前に浮かび上がるステータス画面を見れば、プレイヤーネームはゲームの時に使っている『ジュダ』のまんまだ。


 ステータスも近接戦闘に必要なSTR(攻撃),DEF(防御),AGIすばやさは600を超え、DEX(器用さ)やINT(賢さ)もけして低い値を示してはいない。


 レベルもキャップ限界の99Lvの俺の育てたキャラと差異はない。


 人物鑑定で行った、この城の衛兵のLvが30前後。


 一番豪華な白銀の鎧を着ているあんぐりと口を開けて動かない美丈夫のLvが50に届かない事を見ても、俺の能力は十分にチートと呼んで差し支えない力を今、この身に有していると考えていいだろう。


 ゴツゴツとした火炎王の兜は見た目に反して、ほとんど重さを感じさせない。しかし、今の俺には些か多き過ぎる為に舌を向けば、目の前にズレてきて視界を遮る。


 ステータス画面を操作して、兜を消せば日本人らしい黒髪が目の上にかかる。その黒髪ごしに映る視界は幻想的な光景。


 そういえば、週末に髪切りに行こうと思ってたんだ。てか、行方不明になった人間のポイントカードってどうなるんだろうなぁ。


 そんな事は今は、どうでもいい。使えないポイントに思いを馳せるよりも考える事は他にあるだろう。呑気な自分の思考に自分で呆れてしまう。


 足元には俺たちを召喚した元凶と思われる魔法陣が光輝いて、普段絶対に履かないタイプの刺々しいデザインのグリーブが紅く照らしている。


 普段は、履かないタイプのグリーブって、グリーブ事態を履かないけどな!


 魔法陣から出る、光の粒は今も中空で収束してゲームの装備を身に着けたプレイヤーを召喚し続けている。


 おえ。胃の辺りから競り上がりそうになる気持ち悪さを気力で抑え込む。


 俺は今しがた召喚されたプレイヤーからそっと目を逸らして、左に目を向け……ダメだ。こっちもキモい。


 てか、四方八方目を向けられる所がない。四面楚歌とはこの事か……。


 自らの平穏の為にしょうがないから目を閉じて考える。


 思えば、俺は幸運だったみたいだ。心の底からホッとしている自分がいる。


 今、召喚されているプレイヤーの中で最強なんて烏滸おこがましく言えないが、このゲームをやっている時間だけは無駄に長い。


 戦闘スキルは勿論。趣味スキルと言われる、釣りや建築などのゲーム世界を充実させる物も多様に習得している。


 戦闘特化のように成長方向を定めなかった故に、今ここで街の外へ放り出されたとしても生き残る事が出来そうだ。


 あくまで、スキルが有効だった場合だが、この世界の住人たちがゲームの時に見た事あるスキルを所持している事からして、有効と見てほぼほぼ間違いはないだろう。


 それに、一番良かった事がある。


 俺は、閉じていた目を開けて周りを見渡す。


 あぁ。心の底からあの頃の自分に感謝したい。


 まさか、装備やステータス、プレイヤーネームがゲーム時代のまんまなのに身体は日本で生活していた時のままなんだよ!


 右を見れば、ビキニアーマーのような露出度の高い装備を纏ったビール腹のおっさん。


 左をみれば、パッツンパッツンのゴスロリのスカートからもっこりを晒す、筋肉質な男性。


 前を見れば、きわどい角度のハイレグから毛がはみ出てしまっている青年の尻が見える。


 あぁ。本当に男性キャラにして良かった!

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