さらに奥地へ
この世界の魔法について。
この世界の魔法の名称には、なぜか日本語の、日本の昭和歌謡の曲名や歌詞の内容を思わせるような名称が使用されているという。
ノボルは平成生まれ世代なので、そのあたりのところはよく知らない。
ノボルの親世代や祖父母世代がちょうど聞いていたような歌の数々というが、正直な話ノボルにはピンとこなかった。
『ヒデキカンゲキファイヤー』
炎系の攻撃魔法。
複数のザコ敵を炎で包み込んで焼き尽くす。炎の勢いがあるので、少々レベルの高いザコ敵でも焼き尽くせる。ボス戦でも使える。
『イヨマンテ』
爆発系の攻撃魔法。
『イヨ』系は基本的に、爆発系の攻撃魔法で、『イヨマンテ』はその系統の中でも最強の攻撃魔法にあたる。
『アオイマウント』
吹雪系の攻撃魔法。
『マウント』系は基本的に、氷系の攻撃魔法で、氷の矢を放つ『ニシパマウント』などもあるが、『アオイマウント』は、吹雪による攻撃で敵にダメージを与え、そして凍りつかせるという。
『カゲシタ』
死の魔法。残りHPに関係なく、一発で敵を仕止められる。
『メリーアン』
混乱系の魔法。敵を歌声で誘惑し混乱させる。
『サイレント・イヴ』
眠りの魔法。敵を無気力にして眠りへと誘う。
『フユゲシキ』
やはりこれも吹雪系で、敵全体を包み込む。
寒さに弱い属性でなくても、大ダメージを受けるほどの猛吹雪という。
『ナツノココナッツ』
やはりこれも炎系。名称は違っても系統は同じという魔法も数多く存在するという。
正直な話、ノボルは、
『自分さえよければ他人はどうでもいい』
という考え方を、持っていなかったといえば嘘になる。
が、この冒険の旅を通して、次第にそうした考え方は変わっていくことになっていくのだった。
錬金スキル、魔法スキル…。楽しみ方はたくさんあるが、
ただザコ敵を倒してレベルを上げればいいというものでもないようだ。
レディーファースト大陸から、再びキングスリング島に戻ってきた。
次なる目的地は、昔の住居跡のさらに奥地にあるダンジョン。
ここから先は、ノボルたちはもとより、今まで誰一人、足を踏み入れてこなかった場所だ。
幸い、昔の住居跡には、セーブポイントがあり、そこでそれまでの記録をとることもできるし、
それと、セーブポイントからは、一度行ったところなら瞬間移動で行くことができるという。
僕らの居住区、ネオアイランドシティにも、いつの間にかセーブポイントができていた。
『カントリー牧場前』と『オールフードファクトリー本社事務所前』という、2つのセーブポイントが、僕らの居住区の中にある。
そこでセーブをとったり、あるいは道具屋もできているから、そこで薬草や、毒消し草、あるいは『疲労回復フルーツ』というアイテムを買いだめしておくこともできる。
これらのアイテムはHPの回復や、歩き疲れたりした時の疲労回復のためには、絶対に必要になってくるアイテムだ。
「それでは、みなさん、参りましょうか。」
ノボルの呼びかけで、パーティーは島のさらに奥地へと向かっていくことになった。
この先はもう、うっそうとした山林や高地が続くだけ。町も村も無い。
まさに、道なき荒野とはこのことだ。
「気をつけて進もう…。」
いったいどこまで歩いたのかも記憶に無い。
気がついた時には、目指すダンジョンは、もうすぐそこだった。