ヤツハカ教団の居城(1)
こちらは小人族、コロボックルが住むコロボックル島。
「うわあああ!なんだこりゃあ!」
そこに突然現れたのは、ヤツハカ教団の城。
コロボックル島だけではない。各大陸に、これと同様の魔城が出現していた。
キングスクラウン城は、ヤツハカ教団の魔城に、すっかりその姿を変えていた。
そしてヤツハカ教団の、世界各地の拠点となる魔城が、次々と姿を現していた。
またもや、あまりの情勢の移り変わりの早さ、激しさに、翻弄されるばかりのノボルたち。これはもはや、不可抗力なのか…。
ノボルは剣の素振りを行っていた。いつ敵の襲撃があっても対処できるようにだ。
一方で、ゲド村はもはや、魔界村のような状況になっていた。そしてそのすぐ近くで、ヤツハカ教団のこれまでにないような大神殿を建設するために、多くの奴隷たちが働かされていた。
ムチを持った荒くれ男たちが、奴隷たちをムチでたたいて、働かせていた。
「おらおらーっ!働け働けーっ!手を休めるなあーっ!
我らが唯一絶対の神、ミツクビ神様をたてまつる大神殿だぞ!」
この大神殿は天空まで届き、なおかつ世界のどの位置から見てもその姿が見渡せるという、すごい高さの大神殿になるという。
ノボルたちはこの日も、宿屋に待機。そして時間は過ぎ、あっという間に日は沈み、夜になり、夕食の時間を迎える。
「さあ、できたぞ。今日は、ウズラの卵フライのカレーだ。」
この日の夕食はウズラの卵フライカレーのテイクアウト用。
ウズラの卵も、カントリー牧場で飼育しているウズラたちが生んでくれている。
味はおいしいのだが、正直な話、申し訳ない気もするが…。
しかし、それでも味はおいしいので、お客さんにもなかなか好評だ。
すじことか、イクラとか、タラコや、ニシンの卵のカズノコなんかを食べるのも、一緒の感覚か。
そして翌朝になると、今度はレディーファースト大陸のメローヴィス王国の都のある、西側にも、やはり同様にヤツハカ教団の魔城が現れていた。
これで同様の魔城が出現したのは3つ目。
さらに、悪鬼の国のあるラクシャーサ大陸にも、同様にヤツハカ教団の魔城が出現していた。
これで4つ目。大神殿の建設現場も入れると、5つのヤツハカ教団の拠点が現れたということになる。
ちなみに、メローヴィス王国の西側の地域は、ロワールの谷、またの名を『王家の谷』ともいわれる谷にかかる一本橋を隔てて、肥沃な中央地域と、荒涼とした西側地域とに分かれる。
その西側の荒涼とした地域に、ヤツハカ教団の居城の1つが姿を現したのだった。
ヤツハカ教団の居城が次から次へと各地に姿を現した。
それによる影響はというと、まずは言うまでもなく、ヤツハカ教団の支配地域が増えるということ。
さらに、ヤツハカ教団の過激思想とも受け取れるその教えに、
共鳴した人々が、次々とヤツハカ教団の信者になっていくということ。
これにより、着実にヤツハカ教団の世界征服は進んでいく。
さらに、ヤツハカ教団の居城から放たれる、邪悪なオーラによって、
草木は枯れ、作物も育たなくなり、地上界に生きる動植物は生きられなくなっていき、世界は次第に、荒涼とした大地へと化していく。
「こんなやつらの思い通りにされてたまるか!」
ノボルはあらためてヤツハカ教団と戦うことを決意していた。
ノボルは今度はキングスリング島のネオアイランドシティに、とんかつ屋をオープンさせる腹積もりでいた。
とんかつがメインメニューだが、その他にもヒレカツ、メンチカツ、カキフライ、コロッケなどの揚げ物全般を扱う店にしたいという構想だ。
となると、カントリー牧場の養豚場の豚肉を使用することになるが、
もしもヤツハカ教団が世界を支配するようになり、
草木一本生えないような環境になってしまい、
作物も育たなくなってしまったら、カントリー牧場の牛や豚や鶏に与えるエサも確保できなくなってしまう。
そうして牧場の家畜たちに与えるエサも確保できなくなり、
牛や豚や鶏が環境に適応できなくなる、あるいは餓死するようなことになってしまったら、
それこそ、とんかつの材料となる豚肉も、カレーのトッピングとなるロースカツなども、確保できなくなってしまうからだ。
それが、ヤツハカ教団がのさばることによって、ノボルたちが被る、不都合な事実、実害を被るということだ。
だから、ヤツハカ教団はノボルにとっては害悪をもたらす存在。
「だから、僕はヤツハカ教団の野望を阻止しなければならない。
とんかつ屋『昇屋』をオープンさせて、起動に乗せるためにな。」
自分のとんかつ屋のために、というのが、悪の組織と戦う動機というのも…、なんだかあれだけどな…。
そんな中で、なぜかキングスリング島にだけは、ヤツハカ教団の居城は姿を現さなかった。
それと同時に、キングスリング島には、強力な結界が張られ、ヤツハカ教団の邪悪な力を寄せ付けないようになっていた。
これはもしかして、ヤーウェ神の仕業なのか?
それだけではなく、ノボル自身も知らぬ間に、また新たなスキルを身につけていた。




