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大工のギルド

大工を雇って、無人島の開拓の拠点となる最初の家を建てさせる。最初はやはり、掘っ建て小屋のような家だろう。


しかし、そんな感じでコツコツやっていたら、開拓が完了するまでに、どのくらいかかるかもわからない。


そうだ、どうせなら最初から、絢爛豪華な豪邸を建てさせよう、お屋敷を建てさせよう、召し使いとかも雇って、とか、頭の中では思い描いてはいたのだが、果たして…。といったところだ。


この世界は僕の頭の中で思い描いていた世界。


だから、僕の裁量次第で、どうにでもできるんだ。この世界を…。


と、ノボルは思っていた。


城下町の人々に話を聞いてみる。


「世界があの無人島と、この大陸だけだから、この国の人間たちは、ほとんど親戚同士のようなものなのよ。」


このような話を聞けたが、正直な話、無人島の開拓に役立つような話は、あまり聞かれなかった。


「そういえば、この大陸の内陸部は、人間が足を踏み入れない、深い森になっていて、そこには、何百年も昔、この辺りが今よりも栄えていた時代の遺跡があるらしい。

だけど、その遺跡に出没する魔物たちは恐ろしく強く、普通の人間では近づくことさえできないという。」


なるほど、何百年も前の遺跡か…。


遺跡もいいけど、とにかく今は、無人島の開拓だ。


さあ、まずは大工の皆さんに会いにいくぞ。


この世界にも『ギルド』と呼ばれるものがあり、大工のギルドもあるようだ。


その大工のギルドの棟梁(とうりょう)の名前が、ケーンという。


「おい!お前がノボルというのか、既に話は聞いているぞ。」


この大工のギルドも、例の商人、イザコ・ドルチェが運営資金を提供しているらしい。


ただし、その運営資金の出所は不明だという。


イザコ・ドルチェの総資産は算定不能(さんていふのう)ともいわれている。


「俺は大工の棟梁(とうりょう)、ケーンだ。よろしくな。

これからいろいろと建物を建てたりすることが多くなってくるとは思うが、

これから存分に、うちのやつらを使ってやってくれよ。」


「僕はノボルだ。無人島の開拓を進めたいとおもっている。」


ケーンはこころよく引き受けてくれたようだったが、ケーンがノボルの親の話をしようとしたとたんに、ノボルは口をつぐむ。


「ノボル、親はいるのか?」


「…親はいない。」


ノボルの親は、そう、教育熱心な厳格な親だったが、ノボル自身はそんな教育熱心な親をこころよく思っていなかった。というか、むしろノボルはそんな親が嫌いだった。


だからノボルは、そんな親たちを、初めからいないことにしてしまっていた。


だがケーンは、すぐに察しがついた。


「もしかして、親が嫌いなのか?

…そうか、親が嫌いか…。

だけどな、それはむしろぜいたくな話だ。

俺なんか、両親の顔なんか覚えていない。

俺が生まれてすぐに海で死んだって聞かされて育ったんだ。」


そうして今度はケーンが自身の親について語る。


「ところで、このキングスクラウン王国ってのは、初代国王、シャルル・ド・ゴール1世によって建国されたって話は、さすがに聞いたことはないよな。」


次から次へといろんな話が出てくるな…。


そして、キングスクラウン王国の、政治はミッテラン国王と大臣のシラク、


経済は、あの豪商のイザコ・ドルチェが実質動かしているようだということもわかった。


「わかった、俺からも、人々に呼び掛けて、移民希望者をつのることにするよ。」


ケーンの協力を得ることができて、まずはひと安心のノボルだった。


「さてと、そうと決まったら、まずは食事だ、腹ごしらえだ。」


ノボルは、チーズハンバーグと、チーズインハンバーグとを注文した。


チーズハンバーグとチーズインハンバーグって、ただチーズが上に乗っかっているか、中に入っているかの違いだけなのに、ノボルはあえてその両方を注文したのだった。


ノボルはこう見えても、食いしん坊らしい。



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