表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/104

現実世界に戻れる

ヤーウェは僕らに、現実世界に戻れるということを伝えた。しかし僕は、


「断る。今さら現実世界になんか、戻る気はない。」


「なんだと!?この機会を逃せば、二度と現実世界には戻れなくなり、こちらの世界に骨を埋めることになるのだぞ!?」


「それでもかまわない。こっちの世界の方が、居心地がいいと感じたからだ。」


ここで僕は、無性に僕自身のことを話したくなった。いや、話さずにはいられなかった。


現実世界に戻りたくはなかった。


僕の話ではないが、僕以外の、世の中の最底辺にいる人たちの話を何度も見聞きしていた。


そういう話を聞くと、自分なんかが勝ち組でいるのが、申し訳ないとさえ思えた。


いや、一歩間違えたら、本当に僕自身が彼らのようになっていたかもしれないからだ。


現実世界の方は、僕なんかがいなくなったところで、何事もなかったかのように成り立っていくよ。


だって実際にそうじゃないか。直接それを見たわけではないが、なんとなく、それを感じていた。


僕自身も、最底辺の引きこもりニートの気持ちなんか、本当の意味ではわからない。


だって、僕はむしろ、そんな引きこもりニートのような人たちを、見下してバカにするような、エリートの家系に生まれて、英才教育を受けてきた、いや、受けさせられてきたといったらいいのか。


僕の親父なんか、まるっきりそうだった。おふくろもそんな感じだった。


「引きこもりニートだと!?

そんなやつらは、単なる穀潰(ごくつぶ)し、社会の最底辺のクズだ!」


僕の親父はそう言って、引きこもりニートを見下して、バカにしてきた。


じゃあエリートってのは、そんなに偉いのかよ。他の人間とは違うのかよ、ってな。


そして僕は、そんな親父やおふくろに、いつも反発してきた。


そしてこっちの世界に来て、今まで無人島の開拓をしてきて、開拓団のリーダーは自分だ、自分のおかげで開拓がここまで進んできたんだと、思い込んでいた。


僕は今まで、僕の力で開拓を行ってきたつもりでいたが、気がつけば、世界の方がどんどん拡大していって、僕はいったい何をやっているんだろうと、むなしい気持ちになってきた。


思えば、この無人島の開拓というのも、特にやりたいからやっているわけでもなく、特に目的意識なんかも無いままに、


ただなんとなく、流れに流されるままに、義務だから仕方なくみたいな感じで、やってきていたと、今になって振り返ってみて思った。


そういえばよく、引きこもりニートが異世界に転生して、それこそ現実世界では世の中のカーストと呼ばれる階層の、最底辺の社会のダニとか、社会のクズとか言われていたような人たちが、


異世界に転生してから、見違えるように大活躍をして、しかも『チート』とかいう力を使って、展開を自分の有利に進めていって、努力とかしないで、ある意味裏の手みたいなことを使って成功して、活躍していくみたいなのが、多数出回っている。


自分とは関係のない話だと思っていたが、まさか自分が直接それに関わることになるなどとは、その時は思いもしなかったなあ…。


異世界ファンタジーのチート勇者たちは、それぞれの世界で輝いていると感じた。


だから、僕もそんな異世界ファンタジーの物語の中で冒険をして、チート勇者になってみたい、というような願望はあった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ