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ゴールドマンを倒せ

ゴールドマン討伐のためのパーティー編成をどうするか、ということを考えていた。


しかしおおかた決まっていた。まずは、カトレーダは回復役として、絶対に必要だ。


「というわけで、カトレーダ、来てくれ。

いつもすまないとは思っているけど、今回も来てくれ。」


「もう、そんなこと言って、本当は私といつも一緒にいたいからでしょ。」


カトレーダにはノボルの魂胆(こんたん)など、もうとっくにお見通しだった。


パーティー編成は、基本的に4人までしか連れていくことができない。だから、あと2人をどうするかということで、もめた。




マルセロ・ハンス


キム・スネッドン


ブルース・ウィル・スミス


ウイル・テッド


ロバート・アルフレッド


この5人の衛兵の中から、2人を連れていき、あとの3人は留守部隊ということになるのだが、


ここで真っ先に、ブルース・ウィル・スミスが名乗りをあげた。


このブルース・ウィル・スミスは、怪力自慢で、戦力としては役に立つのだが、


まるで荒くれ者のような気性だということで、他の衛兵たちからも恐れられていた。


「おい!なんだい、なんだい、俺がこういう気性だからって、まさか俺を連れていかねえわけじゃねえだろうな。」


「いや、もちろん、連れていくよ。」


「当ったり前よ!それにそのゴールドマンって奴は、やっぱり俺と同様に怪力自慢なんだろう?

だったら、怪力対決といったところだ。

どっちがより怪力か、思い知らせてやろうじゃねえか。」


ということで、1人目はブルース・ウィル・スミスに決まった。というか、無理矢理頼み込んだような感じだが。


どうにも、断りようもなかった。


こうなったらもう、連れていくしかないだろう。


「な、なんて奴だ、こんな奴を連れていくなんて、本気か?

うーん、だからといって、断ったりしたら、それこそ何されるかわからないし…。」


そう言ったのは、キム・スネッドンだった。


2人目は、やはりマルセロ・ハンスを連れていくことにした。


キム・スネッドン、ウイル・テッド、ロバート・アルフレッドには、集落の警備を任せることにした。


ノボルは今回冒険に連れていかなかった、キム・スネッドン、ウイル・テッド、ロバート・アルフレッドの3人を見て、


なんとなく、物悲しさを感じた。


冒険の仲間にしたからといって、全てのキャラが同様に活躍できるというわけではないからなあ…。


と、ノボルは思っていた。


登場キャラが多いような物語では、仲間にした後に育てる気がなく、そのままほったらかしにされてしまうようなキャラも多いのだが、そういうキャラを、外伝という形で主役にすることもできる。


ノボルは密かに、自らの冒険記を小説として出版することを画策していた。


冒険の合間(あいま)()って、特にやることも無いような時に、密かに小説として書きためているのだった。


その小説のタイトルこそ、『異世界無人島開拓紀』だった。


小説の出版ももちろん大事だったが、とにもかくにも、カジノと劇場の建設費、4億5000万ゴールドを入手しない限りは、建設計画は進まない。




一方、町の警備を任されたキム・スネッドン、ウイル・テッド、ロバート・アルフレッドの3人はというと、町の警備の前に、まずは町の現状がどんなものかを、見て回ることにした。


キム「あーあ、何が悲しくて、町の警備なんかしなきゃならねえんだよ。」


ウイル「ぼやくなよ。町の様子を見て回るのも、大事な仕事だ。

町の様子がわからなければ、どこをどう警備したらいいのかも、わからないからな。」


ロバート「そうだな。しかしまあ、しばらく見ないうちに、ずいぶんと発展したものだよ。

集落というか、町というか、これはもう、立派なシティだよ。」


ノボルたちが開拓を始めたばかりの頃は、まだ小さな店が1つ2つあるだけのところだったが、


いつの間にやら、開拓を進めていくうちに、集落というよりは大きな町、都市生活(としせいかつ)と呼べるくらいまでに発展していた、ネオアイランドシティと名付けられたその町。


しかし人口が増えるにつれて、住民のマナーも問題になっていた。


特にゴミ捨てのマナーは、全然おかまいなしで、平気でそこら辺にゴミをポイ捨てする(やから)が、後を絶たなかった。


そこで、キム・スネッドン、ウイル・テッド、ロバート・アルフレッドの3人は、町中に町指定のゴミ捨て場を作ることを決心した。


キム「このゴミ捨て場を作れば、みんな一ヶ所にゴミを捨てるようになるだろう。」


ウイル「全くねえ。マナー違反の(やから)は、どこの世界にでもいるものだから、そういう違反に対する取り締まりの強化も、町を警備するうえでの、1つの役割だ。」


ロバート「そうだな。ところで、カジノと劇場の建設の方は、本当に建設費をまかなえるんだろうか。」




そして、ノボルたち、ノボル、カトレーダ、マルセロ・ハンス、ブルース・ウィル・スミスの4人は、いよいよ例の遺跡の洞窟の地下6階、石板の間へと向かう。


目指すゴールドマンは、この石板の間のさらに下の階にいるという…。





ゴールドマンを倒す前に、まずはゲド村の偵察だ。




ゲド村へ、ヘリコプターを飛ばす、ノボル。


ファンタジーの世界観を完全に無視する、この暴挙。




ゴールドマンを倒しにいっている間に、ゲド村の様子を空から見てみようと、ノボルは偵察ヘリを上空から飛ばしていた。


偵察ヘリって…。どっから持ってきたんだよ。


この偵察ヘリは、『OH-1』という、陸上自衛隊に配備されている最新鋭の偵察ヘリだという。


ノボルは軍事や兵器には詳しくなかったが、とりあえず飛ばしてみようということで、どこかから持ってきていた。




一方で、ネオアイランドシティには、ハンバーガーショップもオープンしていた。


これもノボルの提案でオープンさせたという。


そして次は、ドーナツ店やカレーライスの専門店などもオープンさせる予定だとか。


カジノと劇場の中にも、同様の店をオープンさせるという。




またまたところ変わって、ノボルはというと、例の石板の間の下の階にいた。


遺跡の洞窟の、地下7階。


ここからはえんえんとダンジョンが続く。


見たところここは、その昔は(きん)の採掘が行われていた坑道のようだが、今ではここも、魔物たちが住みつくダンジョンと化していた。


なるほど、金鉱山の跡か。これならゴールドマンが出没する理由も、うなずける。


ノボルは地上に向けて通信を送る。通信を送るための手段は、スマートフォンだ。


「今、地上に向けて通信を行っている。

ゲド村の様子はどうだ?

送信してくれ。」


ノボルはダンジョンの地下7階から、偵察ヘリの操縦士に向けて、スマートフォンで通信を送る。


「了解、ただ今送信します。」


すると送信が届く。


「これがゲド村…。

な、なんてこった、ただの辺境の村かと思ったら、

これは村人の数よりも、『ヤツハカ教団』の信者の数の方が多いような…。

それに、これは巨大な神殿か?

『ヤツハカ教団』が、唯一絶対の神『ミツクビ神』を(たてまつ)る神殿か…。」


すると偵察ヘリの操縦士から思わぬ事が聞けた。


「どうやら、ゲド村の村人たちも、ただの村人じゃないみたいな感じですね。

まあ、今やLV99や、LV999や、LV9999の村人まで、いるとか、いないとか…。

まあ、そんな感じですからねえ。」


操縦士は思いのほか、冷静に答えていた。


それにしても、内陸部の辺境の小さな村の近くに、こんな大規模な神殿を建てるとは…。


しかも、この神殿、なんとまだ建設中だとか。


これで完成だとばかり思っていたのに、いったいどんだけ大きな神殿にするつもりだよって。


そして、実際に建設作業にあたるのは、各地からここに連れてこられたらしい、奴隷たちだ。


ゲド村は、まさに『ヤツハカ教団』の聖地となりつつあったようだ。


ノボルはゲド村の状況を見て唖然としたが、すぐに気を取り直し、


「まずは、ゴールドマンを9体倒して、それからゲド村へ向かう。」


ゴールドマン1体、所持金は5000万ゴールドで、


9体倒せば、4億5000万ゴールドになる。


せっかくだから、ゴールドマンをもう1体倒して、ちょうど10体倒せば、ちょうど合計が5億ゴールドになる。


それならば、建設費の4億5000万ゴールドを差し引いたとしても、残りの5000万ゴールドは、運営維持費にでも使えばいい。


しかし、9体、10体どころか、まだ1体も見つけることすらできずにいた。


ノボルたちは途方に暮れていた。そして階段近くにあるセーブポイントで、冒険の記録をつける。


これだけは、どんなことがあっても、確実に行っておく。


「なんてこった!正直なめてたな。こんなに出現率が低いなんて。

もしかしたらめったに現れない、レアモンスターってことなのか?」


ノボルたちは引き続き、このレアモンスター、ゴールドマンを探し求める。


ゲド村には、『ヤツハカ教団』の拠点であるのとは別に、古くから伝わる呪いの伝説がある。




その昔、とある国の戦に敗れ、行くあてを無くした敗残兵たちが、ゲド村にやってきた。


「我々は、戦に敗れ、この地まで落ち延びてきた者たちだ。」


村人たちは(こころよ)く、敗残兵たちを出迎えた。その敗残兵たちは、ともに故国から落ち延びてきた、血のつながりはないが、1人の娘を連れてきていた。


「おお、なんと美しい娘だ。」


村の若者たち数人が、その娘に恋をする。が、その思いは、あらぬ方向へと向かっていく。


ある日、娘は若者らに、人気(ひとけ)の無い場所へと、無理矢理連れ込まれる。


そして…!


「いやーっ!やめてーっ!誰か助けてー!」


娘は若者らに、無理矢理手ごめにされる。


それからまもなく、娘は首を吊り、自ら命を絶った。


これを知った敗残兵たちは怒り心頭。


「お前たち、よくも…!」


そして敗残兵たちは、その数人の若者らを、1人残らず斬り殺す。


ズガッ!ズバッ!


「うぎゃあああっ!」


「ぐへえっ!」


1人、2人、3人目までは、よってたかってめった斬りにした。


そして最後の1人は、逃げようとするところを、背中から斬って、殺した。


兵たちはその数人の若者らを惨殺した後、首を斬り、さらし首にする。


これで娘の恨みは晴らした、と思った。


一方で、ゲド村には莫大な金銀財宝があり、村長(むらおさ)と、その取り巻きたちがその財宝を隠し持っているという話を、どこからか聞き付けた。


「おい、この村には、莫大な金銀財宝が隠されているらしいぜ。

恨みを晴らしたついでに、その金銀財宝をかっさらっていくか。」


「それはいい。その金銀財宝を手に入れたら、それこそ一生遊んで暮らせるぜ、へへへ。」


金銀財宝に目がくらんだ敗残兵たちは、さっそくそのお宝を探しあてることにした。


ところが、事前にそのことを察知した、村長(むらおさ)の手の者たちが、敗残兵たちを待ち構えていた。


「このバチ当たりどもが!

敗残兵の分際で、このゲド村のお宝をかっさらおうなんてな!」


敗残兵たちは楽勝だと思っていたが、その手の者たちの中に1人、LV99の村人がいた。


敗残兵たちは、LV99の村人の強さの前に、なすすべなく倒されていった。


その死に際に、敗残兵の1人が虫の息で、


「このゲド村を呪ってやる…。」


と言い残し、息絶えた。



それからすぐに、ゲド村では次々と異変が起こった。


敗残兵たちを討ち取った実行役の者たちが、次々と原因不明の怪死を遂げた。


「ぶげぶげぶげ!ぼげえあっ!」


そして例のLV99の村人までが、謎の死を遂げたという。


「ぶげぶげぶげ!ぼげえあっ!」


さらには、命令を下した村長(むらおさ)と、その取り巻きの者たちも、次々と苦しみながら息絶えていったという。


「うっ!うえっ!ぐえええっ!げほおーっ!」


「ぶげっ!ぐえっ!ぼどべでえあっ!」


「ぶげぶげべどぼっ!ぼぎいあっ!」


いずれも、最後は言葉にもならない、意味不明の断末魔を口にしながら、息絶えていったという…。


それ以降の時代にも異変は続き、ある時は1人の村人が突然発狂し、


「娘を返せー!むすっ!むすむべべあっ!かえしびぎいあっ!」


やはり言葉にならない、意味不明のことを口にしながら、村人32人を惨殺し、その後その村人も、断末魔を口にしながら、息絶えたという…。


これは明らかに、敗残兵たちと、手ごめにされた娘の祟り(たたり)だと考えた村人たち。




そして、そこに突如として姿を現し、たちまち村人たちの信仰(しんこう)の対象となったのが、他でもない、『ヤツハカ教団』と『ミツクビ神』だったのだ。


当初は敗残兵と娘の祟り(たたり)を沈めるために、『ヤツハカ教団』の『ミツクビ神』を信仰(しんこう)するようになったというのが、始まりだった。


それ以来ゲド村は、『ヤツハカ教団』の聖地として、今も熱心に『ミツクビ神』を信仰しているのである…。


ゲド村の人々はよそ者を寄せ付けず、長らくひっそりと暮らし、やがて、この村の人々以外は村の存在すら知らないという状況が、長らく続いてきた。


しかし近年になり、『ヤツハカ教団』の威光をかさにきた横暴が目立つようになってくる。


もしや、『ヤツハカ教団』は、『ミツクビ神』を復活させようとしているのではないか?という疑いを持たれた。


本国であるキングスクラウン王国は、この地に代官をたびたび派遣したが、


そのたびに代官が殺され、また、この村はたびたび本国に対して反乱を起こしていた。


本国の代官をはじめ、下級役人らのいわれのない干渉(かんしょう)に対する反発もあったようだ。


この村には、本国に恨みを持つ者たちなども集まるようになってきた。




一方で、またもやこちらは、ゴールドマンの生息する洞窟。


ノボルたちはまだ、ゴールドマンを見つけられずにいた。


そんな中でこの話を聞いたノボルは、身の毛もよだつ恐怖を感じていた。

「ノボルさん、恐いの?」


「…あ、いや、別に恐くなんか…。

カトレーダの方は恐くないの?このゲド村の呪いの伝説の話を聞いて。」


「私は、そんなに恐くもないけど。

だけど、本当にミツクビ神をこの世界に呼び寄せようとしているのかしらね。」


案外、こういうところは、カトレーダの方が(きも)がすわっているようだ。




が、ノボルはこの時、レアモンスターが簡単に現れるようになる方法を考えていた。


指笛(ゆびぶえ)を使って、簡単に呼び出す。」


その予測は当たっていた。まもなく巨大な黄金の塊が、迫ってきた。


どうやらあれが、探し求めていたゴールドマンのようだ。


「あれがゴールドマンか…。」


問題はどうやって倒すかだ。





またこいつも、堅いんじゃないかと思い、ノボルは剣を振るう。


「てやあっ!」


ザシッ!


すると、なぜか一発で大ダメージをくらったゴールドマン。


グラッ…


ドオオーン!


そのままそこに崩れ落ち、倒れ込んだ。そしてそのまま動かなくなった。


ノボルは現れたゴールドマンを、なぜか一撃で倒していた。


「何だこいつ、クッソ弱くねーか。これがゴールドマンかよ。」


あとで気づく。


こいつは『ゴールドマン』ではなくて、『ゴルドマン』という、ゴールドマンと同様に金色に光るゴーレムの魔物だが、


本物のゴールドマンとは、似ても似つかないくらい、弱っちい。はっきりいって、見かけ倒し。


「おいおい、俺が今倒したのは、『ゴールドマン』じゃなくて、『ゴルドマン』ってやつなのか?」


ブルース・ウィル・スミスがツッコミを入れる。


「ああ、どうやらそのようだな。こいつは『ゴールドマン』じゃなくて、『ゴルドマン』ってやつらしい。」


「はあ!?」


ノボルは驚愕(きょうがく)の真実を聞いて、驚くのと同時に(あき)れ返り、拍子抜けしたような表情を浮かべた。



しかし、それでも所持金は5000万ゴールドだった。


「やったぞ!5000万ゴールドだ!

しかしまあ、実際に目にしてみると、途方もない数字の金額だということがわかるよ。」



1体倒して5000万ゴールド。本当に1体倒して5000万ゴールドだ。


だとすれば、こいつをあと9体倒せば、目標の金額である、5億ゴールドになるという、単純に計算するとそうなる。


「よーし!あと9体を倒すぞー!」


ノボルは俄然(がぜん)、張り切っていた。


この際だ、『ゴールドマン』だろうが『ゴルドマン』だろうが、どっちでもいい。合計金額が5億ゴールドになるまで、倒し続けるだけだ。


1体目のゴルドマンを倒した後、あとから9体のゴルドマンが現れる。


見た目はゴールドマンそっくりなのに、伸ばすか伸ばさないかだけの違いなのに、強さはめっちゃ違い過ぎるという…。


「こいつらもゴルドマンっていうやつかよ。

てか、ここのフロアって、いわゆる『イロモノモンスター』ってのが集う階なのか?」


ゴルドマンたちは図体ばかりでかくて、見かけ倒し。


ノボルはあっという間に、9体のゴルドマンをいとも簡単に、あっさりと倒して、楽々所持金5億ゴールドを手に入れたのだが、


正直な話、これでは達成感というよりも、なんだかキツネにつままれたような、拍子抜けしてしまうような気分だった。


しかし、とにもかくにも、カジノと劇場の建設費、4億5000万ゴールドは確保できた。


さあさっそく、カジノと劇場の建設にあたるぞ。


5億ゴールドあるから、4億5000万ゴールド使っても、残りの5000万ゴールドはカジノと劇場が完成した後の維持費や、光熱費にでも宛てればいい。


「さああとは、本物の、めっちゃ強いゴールドマンが現れる前に、さっさとこのダンジョンから脱出するんだ!」


ノボルはそう言うと、ダンジョン脱出用の魔法、リレミトを唱える。


「リレミト!」


キュイーン!


ダンジョン脱出用の魔法といえば、やはりリレミトが一番の定番か。




ノボル、カトレーダ、ブルース・ウィル・スミス、マルセロ・ハンスの4人は、あっさりとゴールドマン、いや、ゴルドマンというニセの魔物たちを倒して、あっさりと5億ゴールドを入手。


しかしこれは大変な金額だ。どこか、自分達でわかりやすく、なおかつ他人には見つかりにくいところに、隠し持っておく必要がある。


「さて、どうしたものか…。」


と、そこに現れたのは、ゴールド預り所というところに勤めているという、謎の女だった。


まさか、預けておいて、そのまま持ち逃げされるようなことにはならないだろうな。


またまたそんな、余計な心配をしていたのだが、もしかしてノボルは、心配症なのか?と。


もっとも、それは杞憂(きゆう)に終わることになるのだが…。


「あーら、いらっしゃい。私はこの近くのゴールド預り所に勤める者よ。

このゴールド預り所という所は、あなたたちの大切なゴールドを、魔物などから守ってくれるの。

もちろん、手数料なんかは一切いただかないわ。」


ゴールド預り所というのは、いわゆる銀行のように、お金を預けておけるらしい。


そしてすぐ目の前に、その建物はあった。


しかしさすがに、5億ゴールドという金額を預けた者は、今までにいなかったという。


「よし!これで、たとえ魔物との戦いに負けても、これが半分になることはない。」


もしもこの5億ゴールドをゴールド預り所に預けないで、敵との戦いに負けて全滅させられたら、


5億ゴールドの半分、2億5000万ゴールドにまで半減してしまう。


残りの2億5000万ゴールドなんて考えたら、とても容易に集められるような金額ではない。


とてもそんな金額、集めようという気力も続かない。


これでカジノと劇場の建設費は確保できたが、一方で、カジノ建設をこころよく思わない人たちもいたようだ。


一方で、カジノでのギャンブルや、劇場で色っぽい踊り娘たちが踊るのを見ることに命をかける、荒くれ男たちなどからは、


早くカジノと劇場を完成させろよ、というハッパをかけられていた。


この両者を納得させるためにも、一刻も早く、カジノと劇場を完成させなければ…。


そしてそれは全て、島内昇=ノボルの手腕にかかっていたのだった…。



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