ミッテランの思惑
ところかわって、こちらはキングスクラウン王国の王の間。
こちらはミッテラン国王が、無人島開拓の進捗状況の報告を受けていた。
「ミッテラン国王。ようやく集落の方が完成しました。
今度は水路と線路、それに娯楽施設となる、カジノと劇場の建設も進んでいく予定です。」
「ご苦労。」
続いて、大臣のシラクからも報告があった。
「ミッテラン国王、開拓を進めていけば、ゆくゆくは我が国にとっても、利益となり、
新たに発見されていく大陸たちに対しても、我がキングスクラウン王国の名声が轟く(とどろく)ことになりますな。」
「そうとも、あの無人島、キングスリング島の開拓を進めていくことで、我がキングスクラウン王国の発展と名声につながっていくのだよ。
そして、ゆくゆくは、それによって得られる利益によって、
もっとこの国を大きくしていきたいという考えもある。
私はこんな小さな国の王で終わるような男ではない。
キングスクラウン王国の地位と名声を、世界中に轟かせるのだー!」
これがミッテラン国王と、シラク大臣の思惑、野心であった。
この開拓を進めていくということは、新たな大陸や島が次々と現れ、
それらの大陸や島との交易も進み、人の移動も活発になっていく。
しかし、それは同時に、封印されていた各国の思惑や野心をはじめ、醜い欲望をも解き放ってしまうというリスクも兼ね備えていた。
ところかわって、ノボルたちのパーティーは、石板の間のセーブポイントでセーブを済ませ、そこからダンジョン脱出用の魔法で脱出し、そこから集落まで戻ってきていた。
集落はもはや集落というよりも、1つの村、いや、町といえる規模まで大きくなっていた。
HPとMPを回復させた後は、島に生息する魔物たちの討伐にあたった。とはいっても、ほとんど経験値稼ぎ、あるいは憂さ晴らしといったところだった。
島の森の中には、ゴブリンやお化けキノコ、怪鳥といった魔物たちが次々と出てきた。
「てやあっ!」
ズバッ!ズガッ!バシュッ!
ノボルの剣が容赦なく魔物たちを切り裂く。
「ふう、ちょうどいい経験値稼ぎになったな。
それに日頃のストレス解消にもなって、スカッとしたしな。」
ノボルたちのパーティーは集落、いや町に戻る。
町並みは次第にきちんと整備されていた。
「今度はね、ここに劇場とカジノを建設する予定なんだよ。」
ノボルは説明した。劇場とカジノができれば、町に特別な収入も入るし、ますます人も増えるということだ。
「しかし、カジノはギャンブルということだから、悪いやつとかも、この町に来たりして…。
だけど犯罪率が上がるようなら、自警団とか、あるいは市民警察とかに取り締まってもらえれば、チョチョイのチョイだな。
まあもっとも、カジノのオーナーと、自警団の団長や市民警察の署長が、つるんで、癒着する、悪さをする、なんてことも、ないとはいえない。
そうしたこともふまえたうえで、あえてこのカジノを建設しようとおもっているんだ。」
ノボルはこう語ったが、本当のことを言うと、ノボル自身が一番カジノで遊んでみたかったのだ。