気づいたら生き返っていた
こちらはまだ、ノボルの安否を気づかっていた、レース会場。
実況「会場の誰もがかたずを飲んで見守っております。
はたしてノボルは、助かるのでしょうか。」
会場の観客たちもノボルの無事を祈っていた。
ノボルは岩壁の下の森で捜索隊の兵士たちによって発見され、なんとか救出されたものの、意識不明の状態だった。
リディア「ノボル!ノボル!しっかりして!」
リディアも他の仲間たちも心配する。そしてノボルが意識を取り戻すようにと、祈りを捧げる。
リディア「お願い、ノボルを救って…。」
そしてリディアの祈りが通じたのか、ノボルは奇跡的に目を覚ました。
ノボル「ここは…。」
リディア「ノボル!ノボル!よかった…!」
ノボルが無事に意識を取り戻し、涙ぐむリディア。
ノボル「リディア…。そうだリディア。話したいことがあるんだ。」
リディア「何?」
ノボル「実は、意識を失っている間に、親父とおふくろが夢の中に出てきたんだ。」
リディア「えっ?それってもしかして、ノボルの両親のこと!?」
リディアも他の仲間たちも、驚きを隠せなかったが、まずは何より、ノボルが無事に意識を取り戻したことで、安堵の表情を浮かべていた。
結局、『飛竜王』の称号はリューキが持っていったものの、また次回の開催日程も伝えられたということで、
「いつか、『飛竜王』の称号も手にする時が来る…。」
その思いを胸に秘め…。
それからまもなく、ノボルたちの一行は、オセロニア王国へと向かい、そしてそこから、どこへ向かっていったのか…。
次にノボルたちが姿を現したのは、オルフェンズ大島というところだった。
そして1つの物語が終わり、そしてまた、1つの物語が始まる…。
人生とは、その繰り返しに他ならない…。
さあ、次の目的地に向かおうか、と思っていたら、近寄ってきたのは飛竜王となったリューキだった。
リューキ「ノボル・シマウチ君といったね。
岩に衝突してまっ逆さまに落ちていった時は心配したけど…。
申し遅れた。既にご存知かもしれないが、飛竜王のリューキだ。」
リューキは、どうやら世界中を飛竜に乗って飛び回っているとのこと。
そこに思わぬ知らせが入る。
「大変だ!大変だ!」
いったい何事か、と思ったが、ノボルはすぐにピンときた。これが冒険者、旅人の勘というやつだ。
「オルフェンズ大島に突然、謎の隠しダンジョンの入口が現れたそうだ。」
謎の隠しダンジョン、これは攻略する価値があると思った。
ノボル「さあ、今日はひとまず、腹ごしらえだ。
今日の食事はチキンカレーだ。」
カレーとともに口に入れる鶏肉の噛みごたえが絶妙だと、自分でも自慢していた。
ノボル「サバイバルめしといえば、自分の中ではチキンカレーがオススメの一品だ。」
リューキ「ノボル君、君は本当にカレーが好きなんだな。」
リディア「ほんと、ノボルは決まって、カレーかハンバーグが、あとはラーメンとかスパゲッティとかも好きで、いつもそればっかり食べてるのよ。」
その前に、次のパーティー編成はというと、まずはそこから考えないとな…。
そうだ、今回はリディアと、カトレーダと、男1人と女2人だけで、行ってみることにする。
リューキとはいったん、ここでお別れ。
戦力にしようと思えばそれなりの戦力になるとは思ったが、『ドラゴンライダーエアレース』での決着がまだついていないから…。
『飛竜乗り』のスキルをもっと上げることができれば…。
ノボル「それじゃ、次回のレースまで、決着はお預けだ。」
リューキ「次回のレースね。
だけど『飛竜乗り』にかけては、このリューキには負けは無い。
次回のレースまでに、ノボル君がどの程度『飛竜乗り』のスキルを上げているか、楽しみに待ってるよ。」
ノボル「ああ、飛竜王の称号を得るまでは、何度でも、何度でも、挑戦し続けるまでだ。」
お互いに手を振って別れた。
それから宿屋に戻り、今度は宿屋の食事。またもや食事をいただく。
ノボルは食べても太らない体質であるうえに、過酷な冒険の旅と、常日頃のスキルアップの訓練をしている中で、相当なカロリーを消費している。
まして、ダンジョンでの長期戦にもなると、いつ地上に戻ってこられるかわからない。
もしかすると、再び地上に戻ってこられないまま、全滅させられてしまうような危険性すらある。
だから、常に食事は欠かせないという。
夕食の時間。宿屋の本日の夕食は、サンドイッチと飲み物。
たまごサンド、カツサンド、ハムチーズサンド、野菜サンド、それから、ハンバーグサンドに、照り焼きサンドまで。
色とりどりのサンドイッチが、皿の上に盛られ、食卓を飾る。
それとともに、色とりどりの造花が、食卓を、部屋を飾る。
「さあ、明日はいよいよ、オルフェンズ大島の隠しダンジョンへの冒険だ!」
ノボルとリディアとカトレーダの3人で、サンドイッチを食す。
明日はいよいよオルフェンズ大島の隠しダンジョンだ。
これが地上にいるうちに摂る、最後の晩餐かもしれないから…。
ここはあえてゆっくり、味わって食べよう、と思いながら食した。