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…………。
それにしても遅すぎないかしら? ――と、セバスチャンの遅れている理由を幾つか考えてみる。
まず、シアンが彼に伝えていない、と言う事は無い。
次にセバスチャンが私を軽視しているから、と言う事も有り得ない。
何を隠そう七草探しに付き合ってくれたのが彼とシアンだから。
だからといって私側に傾倒しているかと言えば、そうでは無い。
単純に考えて彼が任されている仕事を優先していると言うのが妥当な線よね。
彼は時期ハーティリア家当主に仕える事になる。その為に時期当主に相応しい者を見極める為、私だけでなくレナスやレイフォンの下にも赴き仕えていたりする。
私達が6歳や5歳という幼さは関係ない。日々の学びの姿勢、振る舞いが試されていて、お父様、お祖父様、お母様に報告され評価される。
晴れて成人を迎えるその暁には、どんな結果であれ知らされる事になる。
この事を私もレナスもレイフォンも、お父様から聞かされた。
それから、レナスとレイフォンを退出させ、一人残された私は――
魔力炉が無い私が候補とされているのは、魔力を持たない者が生まれ続けた時、領地を――民をどう守るか、私が何を齎すのかという試験。
――と、お父様とお母様から聞かされた。
(……私の企みが成功したとしても、魔法士至上主義と言う意識が無くなるとは無い)
反魔法士組織との立場が変わるだけ。
しかもハーティリア領内では印象が悪い。
その原因を思うと頭痛がする。
「それと言うのもペルシ伯父様が、ハーティリア家から独立して商爵となった今も資金の無心をしてくる所為……」
しかもその資金は伯父様の趣味と言うか性癖の幼女愛好の為に費やされていたりする。
その買い取った幼女を連れて旅商と称し、ハーティリアの地を離れる。だけどハーティリアに入ってくる商人からは良い噂は聞かない。
「その所為でハーティリア家の非魔法士の印象は最悪なのよね……」
将来、私がハーティリア家を潰すのでは無いかと、皆不安と疑念を抱いている。
お父様の弟――ペルシ・パーライト。まったくと言っていい程、商才は無い。
凰都のハーティリア家別邸の新年会の後、お父様に資金を無心した後、早速旅立っていった。
「きっと今頃は放蕩三昧の日々を送っているのでしょうね」
(私が商会を立ち上げる時、いずれあの男は邪魔になってくるわね……)
ハーティリア家名と紋章を勝手に使い、威を振りかざしきて借金をする。
(ハーティリア家から出ているから紋章は効力は無いのだけれど……)
私の前世であった世界でも、劣化模造品でも日本語や日本の有名メーカーのロゴを使えば信頼の証になるとか、パクリなんかもあった。
ペルシ伯父様が為さっていることは、それと同じ。
商人組合も馬鹿では無い。それでも請求書が送られて来るのは闇商人組合と関わっているのは最早明白。
敵対派閥への暗殺、襲撃が貴族の常とはいえ、伯父様に対し暗殺者を差し向ければ、お父様のお立場が悪くなってしまう。
お父様を宰相の座から引き摺り降ろそうとインペルーニア侯爵が躍起になっている。
無実で伯父様を処罰する事は出来ない。それをしてしまえば、相手にお父様を糾弾する絶好の口実を与える事になる。
ふと、鏡に映る自分の姿を見る。
(17歳から6年足して精神年齢23歳の私の現在の身体は、紛う事無き幼女の身体……)
「私を餌として使えるかしら?」
その為には伯父様が喉から手が出る程に欲する容姿と、被虐心を掻き立てる才を見せ付ける必要がある。
「その為には私の才をお父様に認めさせて信頼を得ることが肝要。それに私だけの仲間を集めて勢力を増す必要があるわね」
先ずは米作りを成功させる。
伯父様を嵌める罠に必要なのは媚薬酒と思考を鈍くして心を解かす香……。後は私が懸命に抵抗して襲われている所を目撃させるだけ……。未遂で済ます為には私専属の護衛が必要よね。
何が不確定要素になるか分からない。その時の準備もしておかなければね。
新たな決意と策略を秘めて、私は棘の道を行く。




