精霊郷〜目覚め〜
精霊郷。
わたしは歌う。わたしが歌うと小さな光が舞う。わたしの歌を覚えた精霊が歌い、わたしが舞う。
わたしを真似して精霊が舞う。
観客は精霊。舞台は精霊の生まれる聖なる泉。
どれほどの時間を眠っていたのかはわからない。
目覚めてからも暫らくは動けず、暇を持て余し、前世に置いてきたメロディーや詞を口遊む。すると、精霊たちが世界樹の枝に座り、興味深そうにわたしの歌を聞いた。中には警戒している精霊や冷たく見下ろしてくる精霊もいた。
動けるようになって失った感覚を取り戻し、半精霊と化した自分の身体の使い方や精霊力の制御を学ばなければならず、最初は苦戦したものの今では水上を滑り、ほらこの通り4回転ジャンプも楽々。
遊びも終わると、精霊術と戦い方の訓練。
わたしの師匠は真紅の精霊。
ふむ……合理の剣術か……ふむふむ、と何やら不穏な空気。良し、と笑う。
それから始まった厳しい戦闘訓練。
それが終われば精霊術の属性を掌握するための訓練。
魔法と違い、詠唱はいらない。イメージするだけ。ただ、わたしのオリジナルとして確立された精霊術だけは唄と舞が必要になった。




