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吉光里利の化け物殺し 第三話  作者: 由条仁史
第9章 決着
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「私はあなたを殴らない……ただ、優しく包むだけ」


 お母さんの抱擁みたいに。やわからく、抱きしめる。動きを止めた化け物に、私は抱きしめてあげる。


 ……おかえり。私。


 ……ただいま。私。


 そして。

 透明か不透明かもわからない、灰色をしたやけに輪郭のはっきりとした化け物は、その輪郭をしだいにぼやけさせ、そして……消えた。


 真っ暗な工事現場に、空の星を彩る、色とりどりの星が舞った。まるで紙吹雪のように。この世界を、祝福するように。


 なるほど……化け物を本当に倒すと、こうなるんだ。こんなにも……綺麗だとは。すべてが、浄化されるような。そんなことをぼんやりと考えながら。


 私は地べたに、力なく倒れこんだ。


 手のひらから腕まで、えぐるように真っ赤な血が残った。


 ……痛みとともに。


 でも、どうしてか……安らかな痛みでもあるように感じた。

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