トリックスター(?)ロキ
――――――。
緊迫した空気の中、 ロキが俺の持つ2枚のカードの片方を取る。
「……な、何故ですかっ!?」
ロキは、 今日何度目かの嘆きの声をあげる。
「もーいいだろ……?」
そういって、 俺はロキの手札から的確に『ジジ』であろうカードのとなりのカードを引き抜き、 自らの手にある残り1枚のカードと共に場に捨てる。
「これでなん試合目だと思ってんの!?」
現在127戦目を終えた俺達だが、 未だに……あの悪名高きトリックスターの勝利を目にしていない。
「……あ、貴方イカサマでしょうっ!」
ビシッと俺に向けて人差し指を向けるロキ。
「横暴だっ!」
もう既に、 彼にはトリックスターの欠片も無かった。
「これだけやって勝てないのはどう考えてもおかしいでしょ!!」
「あんた勝つまでやるつもりなんかよっ!?そろそろ帰らせろっ! もう3日も食ってねぇんだぞ……」
「僕は神ですもん。 そんなのは関係ありません」
だまらっしゃい。
「こちとら真人間なんだ、 腹減りゃ死ぬんだよ」
「じゃあ、 こうしましょう……次、 で最後です」
これで何度目か……もう途中から数えることすらやめたセリフを再び耳にする。
「本当に……最後だぞ」
――――――2分後
「…………」
「……いくらなんでも弱すぎだろ」
トリックスターの名折れもいいところだろう。
「わかった、 認めよう。 君の勝ちだ……」
そう言うと、 ロキはスーツの右腕を破り、 そのカジノ支配人とは思えない程に細くもしっかりと締まった肉付きの腕をさらけ出した。
……っち、 自慢か。
「我が敗北に誓い、 永久に汝を主と認め、 この身を授ける事を契約する……」
……。
…………あれぇ?
なんかおかしなことになってますね。
契約らしき誓を言い終えると、 その露にした腕に赤い呪詛が描かれていく。
「…………なにしてんの?」
「神は、 敗北した相手を認め、 主として迎えるのですよ」
ぽく。
ぽく。
ぽく。
チーン。
はい、 フラグ。