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オリジナル

―――勝負当日―――


「んで、 何をするんだ?」

俺は、 前日に指定されていた、 先日のロキのカジノ場に来ていた。

「その前に1つ、 君のステータスを見せてはくれないかい?」

転移した時の学生服のままの俺は、 胸ポケットにステータスカードを入れている。

そのカードをロキに見せると……。

「……へぇ、 『駆け出し冒険者』にしては恵まれているステータスじゃないか。 特にこの『心理』なんか、 ずば抜けているよ……」

1本だけ長いステータスバーがあると思っていたが、 『心理』だったのか。

……てか、 『心理』までステータスなのか。

「ありがとう、 それじゃあ始めようか。 今回するゲームは……これさ」

そう言って、 スーツの内ポケットから取り出したのは、 真っ黒の箱だった。

形状からしてトランプだが、 初めて見たパッケージだった。

「このカードはね、 僕の魔力が込められているトランプでね……どんなイカサマも無効化してしまうんだよ」

流石魔王軍幹部の1人。

そんな能力も使えるのか。

「さて、 そしてゲーム内容は――――」

「待った」

ピシッと手をあげる俺。

「何かな?」

早く勝負ゲームがしたいらしく、 ニコニコしているものの、 どこかウキウキしている。

「そのカードは使わねぇよ」

「えぇえっ!? な、 なんでさっ!?」

「当たり前だろっ! なんでわざわざ魔王軍幹部の作ったオリジナルトランプで賭け事しなきゃならねぇんだよ!? しかもあんたの魔力込められてんだろ? 俺のイカサマは無効化されるのにあんたは仕組められるとかセコすぎだろっ!」

「何を言ってるのさ! 僕は何も仕組まないよっ!」

トリックスターの異名がなんか言ってます。

「秩序なんかに囚われないのがトリックスターなら、 僕は真の意味でのトリックスターだよっ! 魔王軍は悪さするのが秩序だろ!?」

「屁理屈かっ!」

まぁ、 確かに言いたいことは分かる……。

分かるが……。



―――口論すること1時間―――

「――――よし、 じゃあこうしようじゃないか。 今から僕達以外の人間から新品のトランプを買って来てもらう。 そして、 そのトランプで勝負ゲームをしよう……どうだ?」

「それでいい……。 そんで、 ゲーム内容は決めてんのか?」

パチンとロキが指を鳴らすと、 先日のディーラーが現れ、 指示されるまま買出しに行かせられていた。

「決めてるよ? ……ふふふ、 実はね、 今回の為に僕自ら新ゲームを作ってみたんだ」

再び内ポケットから取り出したのは、 1枚の紙だった。

手渡されるまま受け取り、 内容を確認してみると……どうやら説明書らしかった。

「……ふむふむ」

「…………また『待った』とか言わないでよ」

「……よし、 これで行こう」

俺の返事にホッと胸をなでおろすロキ。

本当に心配していたようだった。

「一応のためにルール説明しておくよ。


⑴トランプをシャッフルし、 1番上のカードのみを裏向きで捨てる

⑵余った山のカードをすべて配る

⑶同じ数字のカードが手札にある場合、 それを捨てる

⑷交互に相手の手札を引いていき、 同じカードがあればそれも捨てる

⑸どちらかが先に手札が0枚になった方の勝ち……だね?」

説明書に記されている通りだった。

「……あぁ、 間違いない。 ……てか、 俺はなんでこの文字が読めるんだ?」

不思議とその説明書の文字は読めた。

ステータスカードの文字は一切読めなかったのに……。

「これは僕の魔力が込められているペンで書いたんだ。 字が読めない人でも不思議と読めるようにしてある」

なんでもありかよっ!?

そこで、 ちょうど先日のディーラーが買出しから帰ってきたようだった。

「――――――さて、 舞台は整ったようだね」

「やっとか……」

この、 ロキがオリジナルだと言っているゲーム。



ただのジジ抜きじゃん。

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