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圧倒的な天才


危うく聖騎士部隊長と一体一サシバトルを行わ無ければ行けないハメになりそうだったが、 突如現れたおっさん神、 シヴァにより、 その場での出来事は帳消しとなった訳だが……。

俺たちは一旦アスガルドを出て、 近場の街の宿で暖をとっている。

「改めて、 さっきは助かったぜ」

「いやぁ、別におじさんはその場を借りただけだからね」

そう言えば言っていた……。

この勝負を譲ってくれと。

譲る。

それはつまり、 勝負相手をレイゼールからシヴァへとベクトル変更するという意味にあたる。

「……何が目的だ? 一応恩人だ、 出来る限りは尽くすつもりだ」

俺の一言で、 場に緊張感が張り詰める。

『……もぐもぐ』

……1人を除いては。

呑気に宿飯を頬張るニルヴは置いといて。

「……シヴァ、 貴方は一体何故……」

「はっはー、 おじさんは何も考えちゃいないよ……安心しろ、 ロキ」

年齢(見た目)の割に屈強な筋肉をしているシヴァ。 決して訓練や特訓に手を抜いていないのだろう。

……しかし。

「シヴァ、 お前は戦った事ないのか?」

「あるさ、 そりゃ」

しかし、 その身体からは傷跡らしきものは一切なく、 綺麗である。

マンガなんかで見る『THE・最強』と言えば、 背中で語る生傷の数々だろう……。

俺の視線に気づいたのか、 「……あぁ」と何かに察し、答える

「……今まで数えられない位戦って来たが……、 なぁに、 簡単な事だよ------


------ただ攻撃を受けて居ないだけさ」


……は?

「因みにシヴァの年齢は3500歳ですよ、 あるじ

補足をしてくれるロキだが、 その補足のせいで更に疑問が深くなる。

「それが本物の最強、 天才というやつさ……はっはー」

快活に笑うシヴァだが……。

「試しにおじさんに攻撃してみるかい?」

「……やめとく」

不可能だろう。

最強は伊達ではないということだ。

『じゃあ、 遠慮なく』

今の今までもしゃもしゃと咀嚼していたニルヴが、 突然呪文を唱え始める。

「お、 おい……まて----」

「大丈夫さ」

ニルヴの呪文が進むにつれ、 手のひらに集まっていく神々しい光が大きくなってゆく。

しかし。

「ふーー」

まるで熱いものを冷ますかのように吐息をかける。

ただ。

ただそれだけで、 ニルヴの手のひらの光は散布する。

「……まじか」

『ほぅ……流石といったところだな』

その圧倒的な力には、 ニルヴも納得せざるを得なかったようだ。

「さて、 本題に入ろうか……少年」


「君にはおじさんの継承者となってもらう」

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