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ヴァイスシティにて

「ビッグorスモール?」

「ビッグだ」

ディーラーが、 俺の答えと共に山からトランプを1枚卓上に出す。

ハートのキング。

「……おい、 あいつこれで何勝目だっ!?」

「21勝目だってよ!」

チップの数え方はいまいちわからんが、 まぁなんとかなるだろ。

俺の隣には、 不思議な紋様が描かれたチップが山のように積まれてある。

そんな中、

「イカサマしてんじゃねーのか?」

などという野次が飛び出してきた。

全く。

実に卑々しい。

『イカサマ禁止じゃないだろ?』

「ルル、これでいくら分だ?」

俺の隣にあるチップの山を指差し、 ルルに問う。

「ご、500万ベリルですよっ!」

ありゃ、 もうそんなに稼いだのか。

「んじゃ、 次でラストにすっかな」

ホッと息を漏らすディーラーに向けて、 一言言い放った。

「これ全部掛けるわ」

「「「……っ!!?」」」

ザワザワと辺りが騒ぎ始める。

そりゃそーか。

ゴクリと固唾を呑み込むディーラー。

と、 そこへ、1人の拍手が鳴り響く。

「……誰だアイツ」

そこには、 黒いマントを羽織り、 顔の左半分のみに白い仮面をつけ、 頭にはシルクハットという、 如何いかにもヤバそうな奴が現れた。

「し、 主催神様……」

ディーラーがペコペコと頭を下げ始めたところを見ると、 どうやらここのカジノのオーナーか何かだろう。

「やぁやぁ、 君か。 僕のカジノで悪さしてるっていう人間は……」

「どうも、 人間です」

トン、 とディーラーの背中を押し、 オーナー自らディーラーを勤めてもらえるらしかった。

「僕の名はロキ、 聞いたことないかな?一応魔王軍幹部のひとりなんだけと」

……わぉ

こんなに早く魔王軍幹部に出会でくわすとは……。

「勝負はビッグorスモールでいいのかな?」

「あぁ、 いいぜ。 そんかわり、 ディーラーが変わったんだ、 トランプも新調してくれよ?」

俺は、 会えて意地悪っぽく顔を歪ませる。

「イカサマされちゃ、 たまったもんじゃねーぜ」

どの口がほざくかはこの際置いておこう。


パラパラとトランプをたぐる。 見事なまでのパーフェクトシャッフルである。


「ビッグorスモール?」


ロキが、 山に手を置いたまま俺に問う。

「スモール」

即答。

はらりとロキが、 山からトランプを1枚めくる。

スペードの5。

「……ご聞かせ願えますか?」

静かに、 そして丁寧に質問する。

「なにが? まさか勝利方法を教えろと……でも?」

俺は、 瞬時だったが、 しっかりと笑った。

「このままではウチは赤字です。 こちらに欠点があるのだとすればそちらを改善させていただけましたら……」

上辺状は経営のため……と。

「おいおい、 こんなデカいカジノ場なのに、 たった1千万ベリル程度で潰れちまうのか?」

最後の賭けに勝った俺は、 今や一千万ベリルを手にしている。

「一千万ベリル程度といっても立派な経営費ですので……」

「……教えなーい」

魔王軍幹部の1人とて、 ここは自らが経営している店舗。 そう簡単に力攻めなんてこない。

「よし、 じゃあこうしよう」


そしてロキは、 1度、 パン! っと手を叩き。



「僕と『勝負』しよう」

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