屋敷
くそったれヴァルキリーの案内により、 何とか無事にオーディンの屋敷には着いた。
うん、 着いてはいる。
着いてはいるのだけれども……。
入口の門に貼られてある紙には、 こう書かれていた。
『悪しき者には開かれぬ門、 身を説明せよ』
と。
「身を説明……?」
ロキは首を傾げる。
『全く意味が分からんの』
ふよふよと浮遊したまま貼り紙を見るも、 ニルヴもまた理解できない様だった。
「う~ん……多分、 自分は悪しき者じゃないっつーことを表して見ろってことなのか?」
意味ありげに門に貼られた紙と、 その文面。 要するにこれが門を開ける鍵となっているのは見て取れる。
これを解くことが出来れば屋敷に入ることが出来るのだろう。
しかし。
「ニルヴ、 俺を掴んで門を越えてみそ」
『あらほらさっさー』
因みに門の高さは目測で5メートルといったところだろうから、 よじ登るのは不可能。
故に飛行能力。
「主、 それではもう悪しき者以外何者でもないですよ……」
なんと。
そりゃそうだ。
考えてみたらこりゃ立派な不法侵入だな。
「……え、 じゃあオーディン待っとくのが一番善人じゃね?」
「…………」
『…………』
満場一致だな。




