表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/42

殺戮三人衆

突如現れた三姉妹。

真ん中の少女は、 髪をショートカットにまとめた女の子で、 黒いマスクをつけている。

真ん中に立っている事から、 長女だと見て取れるが……、 一番身長が低い。

恐らく150cm代では無かろうか。

名はイワサルと紹介された。

そして左側に立つ女の子、 ミサルは、 金髪を腰まで伸ばしていて、 一番身長が高い。

そして、 目をレザーの目隠しで視界を断っている。

初めに三人の名前を名乗ったのはこの女の子だ。

最後に右側に立っている女の子、 キカサル。

彼女は何故か耳を塞いでおらず、 代わりに両手を前で組んだ状態で固定されていた。

謎の装束服のキカサルは、 イワサルと似ているショートカットだが、 長いアホ毛が垂れている。

異世界らしいぜ。

重力無視のアホ毛。

「標的は?」

対峙した状況で初めて口を開いたのは、 やはりミサルだった。

「外したみてぇたぜ? あっははははっ!」

キカサルが狂気的にわらう。

「…………(ギロリ)」

嘲笑するキカサルに向け、 イワサルが睨みを効かすが、 そんなことはお構い無しに嘲笑を続ける。

「んじゃ、 次はあたしが行ってくっかなぁ」

「待ちなさい、 こちらは三人……あちらも三人。 ならば、 一人一人を相手とる方が確実に仕留めることが出来るわ……どうします? ネェ様」

「………………(コクコク)」

「まてまて、 勝手に話進めんな……。 現状がわからん。 お前らは何が目的で俺達を襲う……?」

完全に相手のペースで、 引っ張り回されるハメになる前に牽制をかける。

三対三だと言おうが、 現状ルルも眠ってはいるものの、 うちのチームの一員だ。

危険と判断した際には、 嫌でも起きてもらおう。

「貴方、 名前は?」

「…………タナカだ」

「ダウト」

ミサルは、 すぐさま俺の嘘を看破した。

「先程の貴方の名前を発した時、 偽りの匂いがしました」

見えない分、 やはり何処かに長けていると見て取れる。

やはりこの三人組……只者ではない。

「あっははは! めんどくせぇことはめんどくせぇなぁ……とっととやっちまえばいいだろぉ?」

装束服で手を使えない状態のキカサルは、 ミサルの言葉を聞く耳すら持たない様子で、 今にでも駆け出しそうにウズウズしている。

台詞からして、 とても頭がよろしくないだろう。

作戦はミサル、 判断はイワサル、 行動はキカサルといったところか……。

「…………」

「……わかりました、 ネェ様」

目線のみで合図し、 それについて作戦を練っているのか、 少し黙る。

「……まだかよぉ」

キカサルは、 ミサルの判断が出るまで待てない様子だ。

「……今の内に逃げるか?」

『どうも、 そうはさせてくれなさそうだぞ?』

「既に僕達の周りは結界が張られていますね」

ふと相手を見据えると、 イワサルがなにやら手で印を組んでいる。

逃げる術なし。

「……出来ました、 ネェ様。 キカサル、 行くわよ」

「にししっ! やっとかクソ野郎!」

戦うしかないようだ。

「来るぞ」

初めに駆け出したのはキカサルだった。

地面を蹴り、 俺達との間合いを詰めようと駆け出した。

「『バインド』」

ロキがかさずキカサルの動きを止めようと、 捕縛用魔法を使う。

しかし、 その魔法をなんと脚で蹴り飛ばした。

「甘い甘い! そんなんがトリックスターとやらの魔法かよっ! 聞いて呆れるぜ」

そのままこちらへと走り続けるが、 その行動は背後から静止させられた。

イワサルだった。

彼女の足元からは、 黒い穴のようなものが展開されており、 その穴から真っ黒な鎖が伸びている。

「な、 なんだよ……っち」

姉の強制静止に舌打ちする。

「……あーあぁ、 かったりぃなぁ、 めんどーだなぁ…………あーあぁっ!!」

あろうことか、 キカサルは装束服の留め金を、 自らを縛る鎖ごと引き千切った。

「あっはははははっ! だりぃだりぃだりぃ! 全部まとめてぶっ潰してやるぜ!!」

「……ネェ様、 キカサルがまた」

「………………(っち)」

すると、 キカサルに一言。

「キカサル……好きにしなさい」

そういって、 ミサルとイワサルは別方向に駆け出していった。

……ん?

あいつら……逃げた!?

「まずいですよ、 あるじ。キカサルは三姉妹の中でも一番戦闘に長けた人物で、 装束服で手を縛っておかないと殺戮を繰り返す狂気気質の持ち主です」

「よーく知ってんじゃんよ、 トリックスターさんよ……くくく、 さぁて……暴れるかなぁっ!!」

キカサルは再び地面を蹴る。

しかしそのスピードは、 先程までとは全く比較にならない速さだった。

「まじか……っぐぁ!?」

「リョウ!」

ギリギリのところで双剣の腹で受け止めたものの、 数メートル先まで飛ばされてしまう。

通常のパンチでそれだけの威力となれば……。相当な戦闘特化型の女子おなごだこと。

「あっははははっ! 貧弱貧弱!」

鋼を殴ったというのにびくともしない拳。


「……どうすったもんか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ