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デス・シューティング4


「さてさてぇ~……一体 何処どこに隠れたのかなぁ?」

黒いコウモリにも似た羽根をぱたぱたとばたかせて浮遊するヘル。

銃を握る手が小刻みに震えているのが自分でも分かる……。

これが武者震いだという事にも気付いている。

こんなに楽しいバトルは久しぶりだ、 と。

「この一連いちれんを考えたのがあの人間ってのが一番びっくりしちゃうよねー……」

大抵のバトルは30分もしないうちに全滅させてきたヘルだが、 今回に限っては未だに一人しか仕留められていない。

更に言うと、 人間に限っては二度も撃ち漏らしてしまっている。

このままのんびりと空を漂っていれば、 時間制限で容易に勝つ事はできる。

……しかし。

ゲーマーとして。

ゲームマスターとして。

「……こんな楽しいバトル、 正々堂々勝たなきゃでしょっ!」

そもそも空をんでいる次点で元も子もないが、 この際は置いておく。

そこまで遠くに逃げれてはいないだろう、 見つけるのも時間の問題かと、 そう思ったのもつかの間。


瞬間的に身体を逸らすヘル。

「……奇襲」

上空を翔ぶヘルに向かい、 見事なまでの狙撃である。

ヘルが視線を落とす先に立っている少年。

「待ってたぜ、 ツインロリっ子!」


-----------


「……ち、 ハズした」

地上にそびえ立つビル街の屋上から狙い撃ってみたものの、 ものの見事に避けられてしまった……。

「さぁて、 クライマックスと行こうじゃねーか……っ!!」

そう俺は高らかに宣言し、 すぐさま屋上から飛び降りる。

「逃がさないよぅだ!」

かさずヘルも、 銃口を俺に向けるが、 落下速度により上手く狙いが定まらないのだろう、 俺に弾が飛んで来る事はなかった。

「……こぇぇぇぇっ!」

徐々に落下速度は上がり、 ふと思う。


あ、 死ぬ。


だが、 まだ俺はトマトにはならなかったようで、 打ち合わせ通りにタイミング通りにロキがキャッチしてくれる。

「……助けてもらってあれだけど、 物理法則は何処に行ったんだ?」

そこそこの速度で落下した俺をお姫様抱っこ状態でナイスキャッチしたロキに問うも、 「さて、 なんの話ですかな?」と濁された。

どうもこの世界では、 知っていい事といけないことがあるようだ。

「しゃあ! 撃て、ルル!」

「にゃあ!!」

両手でしっかりと銃を握り、 引き金を引くルル。

ルルが放った弾は、 見事なまでの直線を描きヘルまで走る。

が。

「おりゃ☆」

ヘルは、 その弾をあろうことか打ち返した。

ヘルが放った方は着弾し、 煙を立てるがルルが放った弾は跳躍し、 あらぬ方向へと姿を消した。

「ほぇ~……すっげーなぁ」

俺はその技術に感服していた。

弾に弾を当てる事はそうそうに出来るモンじゃない。

達人か、 まぐれか。

単純にもあと20分。

この20分の間に一発当てればいいだけだ……。

「言っとくぜ、 ヘル」

「なにかなぁ?」

俺はヘルに銃口を向け、 言い放つ。


「これが、 チェックメイトだ」

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