旅するのであった。
2つ先の街へ向かうため、 俺とルルは山道を歩いていた。
この世界の生物は、 やはり元の世界の生物とは全て異なる様だ。
手足が無数に生えた鳥や、 口から火を吹く雑草、 首が3つの魚なんかが闊歩している。
「時にマスター……」
不意にルルは、 そう俺に問いかけてくる。
「ん? どうした?」
「マスターはどこの国の民なのでしょうか?」
「日本」
「二……ホン? 聞いたことないですね」
そりゃあそうだろう。
だって異世界だもん。
あれ?
そもそも俺ってなんで転移したんだったっけな……。
…………う〜ん、 思い出せぬ。
「あっ! 見てくださいマスター! メタルジェリーですよ!」
ルルが指を指す方向には、 先日ぶっ殺したメタリック色のゼリー状のものがうねうねと先を急いでいる。
「てぃ!」
「ギイイイイイイイ!」
間髪入れずにメタルジェリーをミスリルソードでぶっ叩いた。
一撃で、 その身体を散布させる。
さて、 レベルは上がったかなぁ。
どれどれ。
カードの表記が『Lv18→Lv24』へ。
そして、 新たに『ブースト』と追加されている。
レベルも上がり、 さらにブーストとやらも覚えたようだ。
名前からして支援系統だろうな。
身体能力の向上とかかな。
「マスター……あそこが目的の街、ヴァイスシティですよ」
山の麓から眺められるその街は、 まさにカジノに栄えていそうな雰囲気だった。
「おぉ……ラスベガス」
「何を言いますか? ヴァイスシティですよ」
分かっちょる。
「さってと、 ちょっくら稼いで来ますか」
俺は、 軍資金を稼ぐべく下山を急いだ。