デス・シューティング3
「ま……まさか、 それは本当ですか!?」
「そんな……あんまりです」
各々集めた情報を交換する為に一度、 開始地点の近くにある公園らしき場所に集合し、 先程のヘルの情報をロキとルルに話していた所だ。
ありゃチートだ。
「射程距離は100m以上あるぞ」
『その通り、 着弾地点までの間に降下地点は無かったようだったし』
俺達の射程距離は約50。
ヘルは射程距離は少なくとも100以上。
更に、 ヘルは銃を二丁所持していた。
俺達の攻撃を当てるには、 50m付近まで近づく必要がある為、 とてつもない危険を伴う事となる。
「一体どうすれば……」
「さぁ? 降参とかもあったりしてぇ♪」
その声は、公園の中心部に位置する場所に建てられている時計塔の上からだった。
全く気づかなかった……。
ヘルは一度銃をクルクルと回転させ、 引き金に指を通す。
「チェックメイトだよん」
「悪ぃ、 ここでやられる訳にゃ行かねーんだわ……ステールメイトだ」
『ほよっ!』
俺の合図と共に、 ニルヴが背中に潜む羽を広げる。
竜人種特有の、 竜から認められた種のみ与えられる翼だ。
そしてその翼は、 俺達の姿を隠すには容易だった。
ヘルが放った弾は、 ニルヴが広げた翼に全て着弾する。
「ありゃりゃ~……逃げちゃったかぁ」
『我一人だけだな』
「ちぇ~……まっ!あと30分でみーんな撃っちゃうけどね☆」
そう言って、 背中から黒い羽根を生やす。
「ハァ……ハァ……っち、 余り使いたくはなかった手だが、 仕方ねぇか」
ニルヴのお陰で全滅は避けることが出来た訳だが……。 このチームの最高機動力を失ってしまった今、 ここからは頭脳戦となるだろう。
ルルを倒される訳には行かないので、 ロキか俺が移動する事が優先されるだろう。
「ヘルを見つけた後、 ニルヴに背負われた状態で逃げた俺達を追ってきたって事は……」
「ヘルにも機動能力があるってことですか?」
「だろうな……よし、 次ヘルが俺達を追ってきた時……この作戦で行くぞ」
そう言って、 とある作戦の手順とその為の下準備を地面にカリカリと書いていく。
「正直、 これくらいしか手がない」




