ヘルクラウド
「さぁーてっ! もう時期つきますよっ!」
ヘルの快活な声と共に、 雲で覆われている巨大な浮遊する島が目の前に現れる。
それは、 予想以上に巨大だった。
地上から見た時とは全くスケールが違う。
それはまさに壮大。
「……すっげぇな」
気付かぬうちに歓喜の声を漏らす。
「あったりまえじゃない! なんてったってこのヘルが創ったんだよっ!」
えっへん、 と、 慎ましい胸を張る。
「それで、 だ。 俺達にやりたいミッションっつーのは……なんだ?」
そろそろ本題に入った方がいいだろう。
このまま「どうぞ遊んで下さい」で終わる訳がない。
「あははっ! そうだったねぇ……。 今回貴方達にしてもらうミッションはぁ……」
ゴクリ、 と、 誰かが固唾を呑む。
……ニルヴは呑気に小船の縁に座り、 足をぶらぶらさせている。
バランス感覚やべぇな。
丁度ヘルクラウドの真上に到達する位まで来た時に、 ヘルが人差し指を空に向けて掲げる。
「デス・シューティング!!……ですっ!」
「デス……シューティング」
復唱するルル。
その名の通り、 死の銃撃戦。
『……なっ! 言ったろ! ほら! ほら! 』
シリアスな空気を台無しにするニルヴ。
『約束! 』
尻尾をフリフリ振り、 頭をこちらに向けてくる。
「……わーったよ」
そして素直に俺はニルヴの頭を優しく撫でる。
すると、 ニルヴは気持ち良さそうに目を細める。
昨晩、 ニルヴが賭けを申し込んで来た。
シューティングならば頭を撫でろ、 と。
「……あ~~……ごほんっ! 」
少し機嫌悪そうなヘルがわざとらしい咳をし、 本題に戻る。
ルール説明はこうだった。
○フィールドはヘルクラウド全域
○4対1のチーム戦で行われる。
○このフィールドに発生するゾンビを倒していく。 倒したゾンビ一体につき1ポイント。
○黄金のゾンビや、 犬型のゾンビが稀に発生する場合があり、 それらを倒した場合、 5ポイント。
○他のプレイヤーに直接弾を当てた場合、 ポイントの有無に限らずに勝利する。
○仲間を撃たれた場合は、 その者は退場し、 50ポイント剥奪される。
○最後の一人が撃たれるか、 時間切れでのポイントの上下で勝利が決まる。
「……ふむ、 理解した」
「因みに、 制限時間は2時間なのですっ!」
「で、 負けた方のペナルティはなんだ?」
すると、 ニヤリと口角が上がるヘル。
「ここの従業員になってもらうですぅ」
つまり死ねと……?




