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竜人種、 ニルヴ


魔物討伐の事が一段落し、 ロキとルルの救出を無事に達成し、 事を報告すべくヘパイストスの作業室に来ていた。

「此度の討伐、 御苦労であった」

だが、 そこに現れたヘパイストスは、 以前の様なラフな作業着ではなく、 しっかりと身嗜みだしなみを整えた着物を着用していた。

「マジで苦労したわ……何度死ぬかと思ったことか」

「申し訳ございません……僕がついていながら」

ロキは、 肩膝を地面に付き、 こうべを垂れる。その行動からは、 敬意けいい懺悔ざんげが見て取れる。

「んなこと無いって……。 ルルだって何もしてないし」

「……(びくり)」

当のルルは、 明後日の方向を向き口笛を吹いている。

「これは個人的な礼だ」

そう言って、 着物の懐から取り出したのは、 掌サイズの小さな箱だった。

「なんだこれ?」

例えるならば婚約指輪を入れておく位の大きさだ。

「それは、 儂の証明書の様なものじゃ。 その中にはこれくらいの大きさの神石ひせきが入っておる」

神石ひせき

それは、 神が認めた人間にのみ渡される証らしい。 わかりやすく説明するとすれば、 紋所もんどころだな。

水戸黄門がもってるやつ。

「儂の神石があれば大体の鍛冶は無料でしてくれるじゃろう……これから先、 確実に役に立つハズじゃ」

なんと便利な。

そりゃこんな便利な品物、 頂くのもやぶさかではございませんよ。

「ありがたく貰ってくぜ」

俺は、 その箱をポーチに入れ、 ヘパイストスに向き直る。

「それで、 一つ質問なのじゃが……」

来た。

そりゃ疑問だよな。

「----その女子おなごは誰じゃ?」

そう。

俺の隣には、 魔物討伐の際に現れた変態ロリこと、 竜人種ファフニルのニルヴがぴったりと引っ付いているのだ。

『我はニルヴだ』

ふりふりと、 その竜人種独特な尾を揺らし、 ヘパイストスの質問に答える。

「なんか……付いてきた」

正直な所、 俺はパーティに加入させても良いと思っている。

理由は簡単だ。

強いやつが入れば俺が魔王と戦わなくても勝手に倒してくれるだろう……。

「わ、 私は反対ですよっ!!?」

だそうな。

何故かルルは、 頑固としてニルヴの加入を認めないのだ。

『阿呆か獣の娘よ。 我は貴様にはこれっぽっちも興味はない……我はこの男に興味があるのだ』

そう言って、 俺の腹筋辺りをさわさわと撫でてくる。

「触んな変態ロリ」

ぺしっ。

『ぬぅ、 連れんことを言うな……』

手を叩き、 引き剥がそうと試みるが、 これがちっとも動かない。

『悪いな、 我と主との間には既に依代よりしろが作られたのでな』

にししっとわらうニルヴ。

「依代? なんだそれ?」

「なっ……!? あ、 主よ……竜人種と血の契約を結んだのですか!?」

血の契約?

なんだそのヤバそうなやつ。

「そんなもん知らねぇしって無ぇよ」

嘆息し、 肩を竦める俺。



その俺の腕には、 蒼い輪っかが付いていた。


『ほれ』

そして、 俺に向けて腕を差し出すニルヴの腕にも同じ様な蒼い輪っかが付いている。

『互いの血を体内に入れる事で、 契約は完成されるのだ……』

「はぁっ!? 俺はお前の血なんて貰ってないし……そもそもやってな…………あの時かぁぁっ!!」

改めて考えれば、 確かにニルヴの体内には俺の血が含まれている。

しかし俺はニルヴの血なんて舐めてもない。

『傷口を舐める際に舌を少々切った』

「ごるぁ! 確信犯め!!」

てへぺろと言わんばかりに舌を出すニルヴ。

「で……その契約とやらをしたらどうなるんだ?」

今重要な点はそこだ。

契約を結んでしまった今、 結んでしまったことによる発生する事項の方を知っておく必要がある。

「どちらかが死ぬまでそばから離れられぬ」

なんてこったい。

つまり俺は、 この変態ロリとずっとハッピーセットなのか……っ!?

しかも離れたいのならばどちらかが死ぬしかない……。

『そういう事だ、 宜しくな。 リョウ』

名乗った覚えすらない俺の名前を呼ばれ、 鳥肌が立つ。

そういう事で、 竜人種のニルヴがパーティに加わった。

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