討伐イベント
さて……事が一段落し、 再び観光巡りが開催される。
「ところでルル」
「は、はい……?」
今はミスリルソードを返して貰った(元々はルルの持ち物だが)ので、 いつも戻りのルルだ。
「温泉は何処にある訳だ?」
いくらあるけどあるけど、 温泉らしき建物は一切見当たらない。
「そういえば見当たらないですね……」
ルルもキョロキョロと周りを観察してみるも、 どうも見当たらないらしかった。
「……ちょっと失礼」
俺は、 情報収集すべく商店街の売店の人物に話しかける。
軽装の女性で、 額からは二本の突起が出ている。
ロキから聞いた種族のうちの、 『鬼人種』というやつだろう。
「あら、 なに?」
「ここら辺に温泉宿はあるか?」
「温泉ねぇ……昔はあったんだけど、 最近は水源が悪くて……」
俺は話を聞くなり膝を落とす。
「な……なに……っ!? 俺の目指す楽園は閉ざされたと言うのかっ!?」
「何故水源が悪くなったのですか?」
心が折れた俺の代わりに、 ロキが鬼人種の店主から情報を収集してくれる。
「何でも森に凶暴な魔物が現れたみたいでね、 水源に住み着いたらしいんだよ」
「----すまない、 邪魔したな」
俺は颯爽と去----
----ろうとするも、 ルルから腕を掴まれる。
「何処に行くんですか?(ニコッ)」
なんだその笑顔。
「…………なんもないス」
えーーー。
絶対討伐イベントじゃーん。
しかも凶暴なんだろ?
「ダラダラ過ごすのが俺の使命----」
「水源が戻れば、 すぐにでも温泉は再開出来るんだろうけど……」
「----やろう」
決断は早かった。




