ゼディウスVS若造
さて、 賭け事とは言ったものの、 正直なところ話が通じる相手ではないので、 和解は無理だろう。
そして次に戦闘からの撃退。
……まぁ、 不可能だろう。
神であるロキが言うのだ、 不可能と言うのなら不可能だ。
そして、 戦闘からの逃走。
これしかないだろう。
----そして、 今。
「ロキ! ルルに透明可の魔法を掛けてくれ。 そして俺には飛行能力の魔法だっ!」
「御意に。 『インビジブル』っ! 『フライト』!」
呪文を唱えると、 ロキの両腕に青の魔法陣と白の魔法陣が展開される。
これにより、 俺とルルそれぞれには魔法効果が付与した事だろう。
「『ブースト』」
俺は自らに向上魔法を付与する。
「おぉ……初めて使ったけど……すげぇな」
全身の力が漲ってくる感覚だ。
「ルル、 お前は適当に攻撃避けてろ」
「あ、私だって----」
ズドン!
と、 ルル付近の木々が、 ゼディウスの尾によって一瞬で薙ぎ倒された。
「なんだって?」
「いえ、 隠れてます、 はい」
よろしい。
「さってと、 どーすっかなぁ」
「何か奇策でも?」
「んなモンねーよ……完全にアブノーマルだ」
奇策というものは事前に立てておくものだ。 完全に不意を突かれてしまった今、 策なんぞない。
『行クゾ、 セメテ一撃デ消シ飛バシテヤロウ』
すると、 ゼディウスの口内に輝く光が集まり出す。
「おりゃあッ!」
その開いた口に、 俺は全力投球で量産型ナイフを投げ込む。
『ウグァァアッ!!』
「おぉ、 なんと言う……流石 主」
どうやらブレス攻撃はキャンセル出来たようだ。
『オ……オノレ、 攻撃準備中二攻撃シテクルトハ……ナンタル卑劣者カッ!』
「馬鹿じゃねぇのかっ!? こちとら消される寸前だったんだぞ!?誰が黙って眺めてるかよ!」
そんな『一般RPG』のようにするかよ。
自分のターンが終われば相手のターンってか?
んなモン知らねえよ。
「足止めよろしく」
俺は一言だけ告げて、 一気にゼディウスの目の前まで飛翔する。
「スワンプ フリーズ!」
ロキが呪文を唱えると、 ゼディウスの足元には沼が出現し、 そのままその沼を、 脚ごと凍らせた。
うわ、 えげつな。
「ていっ!」
ゼディウスの鼻先に一撃入れてみるも、 傷一つつかない……。
「か、 硬ぇ」
岩でも叩いたかのような反動だった。
こりゃ倒すのは無理だろうな。
『ソンナ武器デハ我二傷ナドツケラレヌワ』
「だとよロキ! 逃げるかっ!」
「諦め早くないですかっ!?」
えー、 だって傷付けられないし。
「逃げましょう」
「ロキさんまでっ!?」
おい、 お前なんもしてないだろ。
「さて、 これにて----」
『逃ガストデモ思ッテイルノカ』
バサリと翼を広げると、 波紋が辺りを包み出した。
「マズイですよ主! 結界ですっ!」
「よしロキ、 やむを得ん。 テレポートを許可す」
「御意に」
『……逃ゲラレタカ』
ゼディウスは、 辺りを鋭い眼光で睨み付けるが、先程の神達は居なかった。
『……シカシアノ人間ハ、 何者ナノダ……アレ程マデニ魔力ヲ持ッタ人間ガイルトイウノカ……』




