表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/42

転移しました。

転移しました。

はい、 異世界です。

ドラゴンとかなんか空飛んでますね。

あるんだなぁ、 転移って。

しかも異世界。

「そこのお方……見ない顔ですね?」

転移先の山道で、 1人のお婆さんと出会った。

近くの村の人だろうな。

「旅人です」

「旅人かい? うちの村に来たところで何もないよ」

誰もあんたの村に行くとは言っとらんわ。

「最近じゃあ魔王が世界征服してるらしいからねぇ……。 みんな持ってかれちまったよ」

定番だなぁ。

「……案内してください」

キリリと決め顔で俺は答えた。

「あんた、 名前は?」


「美々みみう りょうって言います」


そして、 この俺は御年17にして異世界転移しました。

カクカクシカジカあり、 山を降りたすぐそばに村はあった。

「このはじまりの村も、 人がどんどん減っていくばかりでなぁ……この村もおしまいかもしれん」

はじまりの村なのに?

「その魔王、 俺が倒します」

「あんた……」

ウルウルと瞳を潤すおばあさんを背に、 一言言い放った。

「この世界は俺が救うっ!」


このやりとりから、 俺の異世界ライフがスタートしたのだった……。



〜はじまりの村〜


後に気づいたのだが、 この世界にはどうやらレベルの概念があるみたいだ。

知らぬうちに自らのポケットに入っていたカードの様なものには、 『ミミウ リョウ』と書かれており、 その隣には 『旅人』と『レベル1』と続いている。

おばあさんのうちに泊めてもらい、 旅路の支度を整えることにした俺は、 少し周りを探索して、 レベルを上げることにする。

おばあさんからもらった『木の剣』を片手に、 村を出る。

「……形見って言ってたけど、 木の剣じゃあスライムくらいしか倒せねぇのかな」

おじいさん何してたんだよ。

形見が木の剣って……。 せめて鉄にしといて欲しかった。

と、 『ガサガサ』と近くの茂みが音を立てる。

出てきたのは額に角の生えた青色のウサギだった。

「さてと、 ぶっ殺すか」

「えぇえっ!? いきなりっ!?」

「…………」

魔物喋ってるよ。

この異世界って変わってるなぁ。

「僕、 ただ出てきただけだよ? 攻撃してないし、 危害も加えてないんだけど……」

「うるさい、 しね」

「ウギャァァァ!!」

ボコリと木の剣でぶん殴ると、 ポリゴンと化して散布した。

「……おっ、 レベル上がってる」

戦闘を終え、 ポケットのカードに目をやると、 そこには『旅人→駆け出し冒険者』と、 『Lv1→Lv2』に変わっていた。

ステータスバーらしきものも少しばかり伸びている。

……む?

あの銀色のネチョネチョ動いているものはなんだ?

「定番の『倒すと経験値美味しいやつ』か……?」

未だネチョネチョ音を立てながら移動しているそいつにゆっくりと近づく。

……なんか想像してたのと違う。

「……てりゃっ!!」

びちゃ!

銀色のそいつは散布した。

「……手応えねぇぇ!」

再びカードに目をやると、 確かにレベルが格段に上がっていた。

『Lv2→Lv18』

『斬り込み』

『乱れ斬り』

なんか技っぽいのおぼえてんなぁ。

「きゃあああああ!」

銀色のやつを始末した後、 突如悲鳴が上がる。

救出イベント発生。

茂みの奥の森からのようだった。

てくてくと、 声のした方向へと足を進める。

視線の先には、 1人の少女を、 山賊らしきゴツゴツのオッサンふたりが囲んでいるような絵面があった。

「……あ」

少女とバッチリ目を合わせてしまった。

「た、 助けてーっ!」

これはもう選択肢を絞られてしまったようだ。

「……帰るか」

「おぉぉおいっ!!?」

ダメだった。

「げへへ、 そこの兄ちゃん。 俺らの邪魔すると痛い目見てもらうぜ?」

「大人しくそこで見てろよ、 ガキ」

……ガキ?

誰が?

俺がか?

「……おい」

「なんだ、 文句あるのか?」

俺の1番言われてムカつく言葉、 それがガキ。

「……スキル、 『斬り込み』」

習得したばかりの『斬り込み』スキルを使用する。 名前からして相手との間合いを一気に詰めて斬りつけるスキルであろうかと想定していたが、 案の定そのとおりだった。

「……っんがぁ!?」

その流れを殺さずに、 もう一つのスキル、 『乱れ斬り』を、 残りの一人の山賊に使用する。

まぁ、 言わずもがな乱れ斬りだった。

「……安心しろ、刀背みね打ちだ」

木製の剣に刀背みねがあるのかはさておき。 無事に山賊2人を撃退し、少女を助ける事には成功した。

「あ、ありがとうございましたっ!」

ぺこりぺこりと頭を下げる黒髪の少女は、 なんと猫耳が生えていた。

本物……?

ふにふに。

「ふ、ふにゃああぁぁあっ!?」

「わ、わりぃ」

本物のようだ。

この手で確かめたから間違いないぞ。

「あ、あの……私、 獣種族ビーストのルルって言います……。 助けてくれたお礼をさせて下さい!」

だが俺は敢えて、 少女のセリフを制す。

「今ので充分だ。 じゃ」

颯爽と帰ろうと踵を返すが、 速効で腕を掴まれた。

「い、いえ……そんなこと言わずに、 色々あるでしょう? パーティに入ってくれとか――――――」

「あ、 そういうのマジでいいんで」

「なんで!?」

読み通り、 パーティ加入のイベント系統らしかったが、 思い当たる点があるのだ。

現実世界のRPGなんかでもよくある、 この救出からの仲間加入。

「はじめからピンチな奴なんかパーティいらんだろ」

「んぐっ!」

「んじゃ聞くけど、 何ができんの? そこら辺の山賊なんぞに捕まる奴が魔王に勝てると思ってんの?」

「…………掃除ができます」

てれれれーん。

ルルが仲間になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ