乱暴
――――あれは…子供が1歳半のときだった。
当時、仕事が忙しかった主人は、毎晩帰りが午前を回っていた。
その日のうちに帰れることなどほとんどなく、私は毎日子供と二人で、まるで「母子家庭」のような生活を送っていた。
だからといって、特別さびしかったわけでもなく、初めから仕事の好きな男を選んでいたのだから、と自分に言い聞かせて、ただただ家の中を楽しく明るくすることに専念していた。
そんなある日。
――――ガチャッ
深夜1時頃、旦那が帰宅した。
私たちが寝ているだろうと思ったのか、自分で鍵を開けて、家に入った。
まだ子供は起きていて、ミルクが飲みたいとぐずぐず泣いている。
私一人でも十分育てていけると考えていたが、さすがに毎晩夜泣きされると、専業主婦といえども体力に限界が訪れてくる。
「まだ起きてたのか」
お酒臭かった。
「夜泣きして…寝られなくて」
子供を抱えてあやしながら、そう一言言ったのを覚えている。
旦那は子供を私の腕から奪い、強く振った。
一瞬何をしているか分からなかった。
子供は激しい震動で、泣きやんだ。
その時は、多少ほっとしたが、すぐに子供の体への危険を心配して、きょとんとしているわが子を奪い取り、優しく抱き抱えた。
震動で驚いた子供は、その後なんとか眠りについた。
ベビーベッドに寝かしている間に、旦那は風呂へ入っていた。
私は何も考えずに、布団にもぐった。