ハトハト、ぽっぽっぽーはとぽっぽー鳩!
実は動物と話せる
と言っても鳩だけど
話せるというか
なんか通じ合ってる感じかな
この街に引っ越してから何年も朝の通勤の時話してる
ちゃんと鳩に名前もつけてる
その中でもはとこと、はとおが1番仲良し
いつも目を合わせてくれるし必ず会釈もしてくれる。通じ合ってるなって。
あとははとみも仲良しだけど、彼女は清楚で照れ屋さんなのであんまり目を見てくれない。
そんな日々を送ってた。
その日は仕事で疲れていた。だからなんだかいつもの帰り道じゃなくて、某ジ◯リの◯の恩返◯みたいなの期待してありとあらゆる路地に入ってみた。
けっこう歩いてパンプスで来たことを後悔したころ目の前に鳩が2匹現れた。
鳩?なのだが、なんだがうさんくさい感じがしてくる。
例えるなら胡散臭い路地にありそうな胡散臭い飲み屋でしっぽり飲んでそうなうさんくさい奴
もうひとり、いやもう一匹は
胡散臭い路地で胡散臭い宝石を胡散臭い言葉で売ってそうな奴だった。
その2匹が立ちはだかってきた。
と言っても鳩は鳩なので通り過ぎようとすると
砂糖を入れすぎたような甘ったるい声で
「お嬢さん、鳩好きでしょ?鳩ともっと仲よくなりたいでしょ?」
「え?」
「お嬢さん運がいいよ、鳩に今ならなれるし」
「え?えっと?」
(鳩喋ってる??)
「しかも8万円ところがなんとなんと」
「言ってあげて」
「え?」
「聞いて驚くよ4万円という大サービス」
「すごすぎる、大丈夫?そんな安くて」
「えっと?」
「お嬢さん悩んでる時間ないよ、ちょっと軽い気持ちで鳩になってみてもいいんじゃない?仕事で疲れてるでしょ?ちょっとリフレッシュになるし、離島行くよりリフレッシュになるよ、飛べるし」
「えっと」
「疲れてるでしょ?」
「え、はい」
「はい決まり!」
「大丈夫!軽い気持ちで、今だけのタイムサービスだから、はい!4万円ね」
「え、は、はい」
そうこうしてるうちに2人の華麗で見事な話術にハマって4万円払っていた。
「まいどありー」
「クーリングオフは致しかねます」
そう言い手に何か紙を握らせ、2人は光の速さで消えていた。
「え、」
(詐欺られた)
そう思った時にはもう詐欺師は彼方遠くに行っていた。
とりあえず呆然としつつ鳩に詐欺師がいるのだと感心も含めつつ紙を見た。
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この度、鳩になる券をご購入いただきありがとうございます。
こちらは、最後まで読んでいただくと鳩に無事なることができます。
半永久的に鳩になれますので鳩生をお楽しみいただけますように。
おめでとうございます。
鳩屋
……..
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と書いてあった。
「半永久!?」
取り乱し思わず1人声を出していた。
でもすぐに落ち着いた。
(そもそも詐欺なんだし、鳩になんかなれないもんね。なれるもんならなりたいわ。笑)
もう一度試しに紙を読んでも何にも起きなかった。
(詐欺だな、鳩のくせに鷺か)
1人ふふとばかげていたことに笑いつつもう一度紙をよく見るとおめでとうございます
の下に小さく何か書いてあることに気づいた。
よく目をこらすと
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おめでとうございます
はとになるには呪文の「ぽっぽっぽー鳩ぽぽぽ」と唱えます。
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(なんだこれ、呪文?ふざけてる、おもしろい)
1人小馬鹿にして笑いつつ
「ぽっぽっぽー鳩ぽぽぽ」
「あはは、あーここまで鳩にバカにされるとおもしろくなる」
と笑っていると次の瞬間目の前が灰色になった。
ごほごほごほ
(砂埃がすごい)
目の前をもう一度よく見ると、目の前には砂が広がっていた。もう少し目を上げるといつもの鳩と話す公園にいた。
「公園?」
さらに向こうから仲良しの鳩が向かってきた。
(はとこ?)
なんだかいつもより大きく感じる。
いやそれどころか目の前にくると自分と同じサイズに感じる。
「え?」
思わず声が出た。
よくよく自分を見ると、鳩になっている。
「鳩?はと?ハト?え?」
状況が飲み込めず慌てていると目の前のはとこが話しかけてきた。
「初めましてよね、よろしくね。あなたここ初めて?」
「え、はい」
「そっか、この公園は広いし子供もそんなこないし、食べ物も豊富でいいところよこれからよろしく」
「ありがとう」
(やっぱり、はとこは優しい)
「あ、忘れちゃいけないわ!一つ忠告!変な奴がいるからそいつすごい目を合わせてくるしなんかぶつぶつ言ってるから気をつけて」
「そうなんだ、ありがとう」
(そんなやばいやついるのか)
「そいつ名前までつけてくるのよ!私なんてはとことか呼ばれてるの!」
「え?はとこ?」
「そうよーはとこなんて、脳みそ1ミリも使ってないダサイ名前だと思わない?」
「そ、そうかな」
「それに私ちゃんと名前あるのよ」
「そうなの?」
「そうよ、マリアーナポポラッタが私の本名」
「そんなおしゃれな名前なんだね、すごい!」
「まーね、それがはとこよ。おしゃれのおの字もない」
「そうだね」
(私もはとこって呼んでたなごめんね)
「ちなみにあそこを歩いてるのが」
(はとおだ!!!)
「セバスチャンポポパリね、」
(はとお、そんなおしゃれな名前だったのか、なんかごめん)
そんな会話をしてるとちょうど恥ずかしがり屋のはとみがやってきた。
「なに?新入り?よろしくー」
「あ、よろしく」
「ポポラッタから聞いたかもだけどここ変なやついるからね。うちなんてはとみとか呼ばれて」
「はとみちゃんか」
(あーこれわたしのことだわ)
「そう、それがマジでうぜーから目合わせてきてもにらんでから即効目をそむけるの」
「え?はとみちゃんそんなキャラなの?」
「は?はとみじゃねーし。サンダーブラックポポだから!」
「あ、ごめんね」
(あの清楚なシャイなはとみなの?)
「あ、ごめん熱くなった!とりあえずよろしくね」
言い残して去って行った。
「ブラックはちょっとやんちゃだけどいい子だよ。みんなあっちにいるから鳩端会議きたら?」
「えっととりあえず今はゆっくり1人で散歩しよっかな」
「そっか、やばいやつ来たら逃げてね」
「ありがとう」
(来ません、なぜなら私ですから)
「はぁ」
1人大きなため息?鳩息をした。
ありとあらゆる攻撃を受けたためボロボロのサンドバッグのようになっていた。
「うそだよーはとこもはとおもあんな嬉しそうな顔でニコニコしてたじゃん!はとみも清楚でシャイでしょ!なんでヤンキーキャラなの!もーなんか最悪だな。夢が壊れた」
「はぁーーーーーー」
今一度大きなため息をしているとハトが来た。ハトというのは鳩の中で唯一名前をつけなかった奴。いつもブスッとしてて私が話しかけてもつねにブスッとしてるから名前なしのハト。
そのハトが向こうから相変わらずの仏頂面で少し離れたところまできた。
気にせずどんぐりを突くことにした。
(よく、鳩達がやっててやってみたかったんだよね)
「よいしょ!」
ころころころ
(あれ、思ったより難しい。はとみたち器用だな)
ドシドシドシドシ
どんぐりと戯れていると突然犬が駆け寄ってきた。
(近所のサブローか。鳩が好きでよく戯れてるもんね)
次の瞬間サブローがのしかかってきた。
(ぐふ、潰れちゃう)
サブローは大型犬のためのしかかられまったく身動きができない
(息できない、息、息)
(く、苦しいサブロー)
サブローは興奮した顔でのしかかったまま楽しそうな顔をしている。
彼からしたら戯れてるだけなんだろう。
「苦しい、サブロー死んじゃう」
なんとか声を絞り出して訴えた。
サブローには届かない。
(もう、だめだ)
その瞬間、ハトが割り込んできて助けてくれた。
「ありがとう」
「いえ、無事でよかった。気をつけて」
そう仏頂面で一言言うと去っていこうとした。
ところがサブローが邪魔をされたことでターゲットをハトに変え思いっきり抱きしめはじめた。
「く、くるしい」
「サブローやめて、サブロー!!」
サブローの耳には届かない
このままではハトが危ない!
「助けてー誰か助けてー」
はとこ達は鳩端会議で公園の向こう側に行ってしまい、元々人がほとんど来ない公園に助けなどいるはずもなかった。
「く、くる、しい」
「助けてー」
声が枯れるほど必死に叫んだ!
「助けてーー」
次の瞬間目の前がすべて時が止まったように動かなくなっていた。
もちろん自分も動けなかった。
(救世主?)
などと思っていると鳩屋登場
「えーとね、お嬢さんが払った鳩代40000のところ1枚千円が紛れてたのよ。だから31000円だったよ。だからお支払い未完了ということでハトになるのおしまいね。あ、でもお金はお返ししないからね。あしからず」
と言って帰って行った。
その瞬間元の人間の姿に戻っていた。
すぐにハトからサブローを追い払った。
ハトは少し会釈して帰った。
(やっぱ、ぶっきらぼうだな。でも助けてくれてありがとう)
後日
はとことはとおはあまり見ないようにしつつパパパパとパンの耳だけあげていくことにした
はとみは見ないように細心の注意をした。
そしてはーとにありがとうと心で伝えた。
はーとはハトにつけた名前。助けてくれた感謝を込めた力作だ。
はーとくんは相変わらずブスッとしていた。
おしまい。