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黒い水袋と、魔法使い──そして『窓』

作者: 笹見 暮

※この作品には選択肢がありますが、どれもあなたの自由ではありません









 あなたは今、【黒い水袋】を持っています。


 持っている──と言う思い込みでも可とします。



 水袋の大きさは、ご想像にお任せ致します。

 しかし、各々の認識を統一する要素として、あなたは水袋を 両手で抱えている ──と、させて頂きます。



 落としてはいけません。


 落とせば、あなたも落ちます。


 落ちてしまった場合は知りません。


 どうぞ、ご自身の不注意を……心ゆくまで呪って下さいませ。



 さて、黒い水袋を両手で抱えたあなたが、これから行う事は単純です。



 まず、此方をご覧下さい。








『窓』





 はい、窓ですね。



 窓の外をご覧頂けましたか?



 窓の外には、何が在りましたか?



 窓の外では、何が行われていましたか?



 もし、そこに生き物がいた場合は、黒い水袋を抱えたまま、窓を開けて、身を投じましょう。


 もし、そこに生き物がおらず、無機質な景色しかない場合は、黒い水袋を抱えたまま、窓を開けて、身を投じましょう。


 もし、そこに生き物もナニもない場合は、黒い水袋を抱えたまま、窓を開けて、身を投じましょう。



 はい、単純でしたね。身を投じれば良いのです。



 窓を見つけ、窓の外を覗き、窓を開けて、身を投じる。


 ただそれだけを、繰り返すだけです。


 ええ、単純ですね。




 いつまで と、お考えになられますか?



 ……そうですね。






 その水袋から、【黒い水がなくなるまで】──と、致しましょうか。




 それはいつか と、お考えになられますか?



 ……そうですね。







 あなたが、【生き物を食べた時】──と、致しましょうか。




 ──まだまだ疑問は尽きないとは思いますが、そろそろ物語が始まる時間です。


 窓から身を投じたあなたが、それから行う事は単純。


 素直に、黒い水袋を抱えていれば良いのです。


 どんなに苦しめられても、きっと続けられるでしょう。



 あなたが、その単純な事を守れる方であるのならば、ですが。




 そろそろ、窓を開いてみましょうか。



 頑張ることも大切ですが、どうしても嫌だと思ってしまった時は、自由に、此処へいらして下さいね。



 その時は、新たな窓を用意して、お迎えにあがります。



 安心して、物語を楽しんで、お帰り下さいませ。







 あ、言い損ねてしまうところでした。


 物語を眺めるのも良いですが、約束をして頂きたい事がありまして……。




 あぁ、

 しかしながら、本当に時間が残されておりませんので、こうしましょう。




 物語の中で、あなたがお眠りになられた時。




 ひとつ



 ひとつと



 大切な約束事を、交わしに参りますね。





 それでは、どうぞ……ご自由に




 身を投じて、お腐りくださいませ。


 


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