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【絶対に許さない!】結婚間近の恋人を奪われ、さらに冒険者パーティーから追放、貴族の圧力で街にいられなくなった。お前らの血は何色だ!剣聖ライン=キリトの復讐は始まる!  作者: 山田 バルス
第2章 ライン、テイシアたちを守る剣聖

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第15話 ライン、守人ノ型・一ノ閃を修得する

剣聖の血脈 ―決戦の閃光―

 アールヴェリア自由連邦の北端、霧の峡谷――。


 その深い谷にかかる唯一の橋を巡り、今、激しい戦いが繰り広げられていた。


 突如侵攻してきた北方傭兵団“ヴァルドの牙”。その首魁である黒鎧の剣士ザグナルは、かつて大陸中にその名を轟かせた戦狂いである。


 そして今、そのザグナルが、一人の少女――村から避難しきれなかった小さな娘を盾に、ラインの前に立ちはだかっていた。


「動けば、このガキがどうなるか……」


 ザグナルの剣が、少女の喉元でぬらりと光った。


 少女は怯えきった瞳でラインを見つめている。膝を震わせ、何も言えずに、ただ涙だけを流していた。


 ラインの全身が、怒りと焦燥に包まれる。


 だがその奥底に、カールの声が甦った。


 ――「剣は斬るためではない。守るためにこそ振るうのだ」


 ――「焦るな、心を澄ませ、“意思”を見極めろ」


 ラインは、ゆっくりと目を閉じ、深く息を吸った。


 そして、静かに剣を抜く。銀の鞘から現れた《星霞》が、ほんのりと淡い光を放つ。


「……何を企んでやがる、剣を抜いてんじゃねぇぞ!」


 ザグナルが焦りの声を上げた。


「俺は、誰も殺さねぇ……だが、この子を、誰にも傷つけさせない」


 ラインの瞳が開かれた瞬間、戦場の空気が一変する。


 風が静まり、霧が裂ける。


 まるで時間すら止まったかのように、空間が張り詰める。


「な……なんだ、こいつ……!」


 ザグナルが剣を少女に押しつけようとしたその瞬間――


「《守人ノ型・一ノ閃》」


 風が走る。雷鳴のような音が、峡谷にこだました。


 一閃。


 目に見えたのは、ラインが一歩、ザグナルの背後に抜けて立つ姿のみ。


 ザグナルの剣が地に落ち、まるで糸が切れたかのように彼の身体が崩れ落ちた。


 だが斬られてはいない。彼の鎧の肩部が、きれいに切断されているだけだった。


「なっ……俺の……“殺気”が……消された……?」


 震えるザグナルの声が、かすれた風に紛れる。


「お前の剣には、“殺す意志”が宿っていた。それを断った。それだけだ」


 ラインの声は静かで、怒気すらなかった。ただ、決意だけがそこにあった。


 震えていた村娘が、ラインに駆け寄ってくる。


「にいちゃん……こわかった……」


 ラインはその小さな身体を抱きとめ、そっと背中を撫でた。


「もう大丈夫だ。……遅くなって、ごめんな」


 少女は小さく頷き、ラインの胸元で泣き始めた。


 ユイナとエイミーが駆けつけてきて、少女を治癒しようと手を差し伸べる。


「ライン兄、すごかったよ……あんなの、見たことない……」


 ラービンが興奮した様子で駆け寄ってくる。


「いやもう、雷でも落ちたのかって! 一瞬で空気変わったってば!」


 ミリーナは震える手で日記に記している。


「“守人ノ型”、あれが……あれが伝説の技……!」


 ラインは《星霞》を鞘に収め、ゆっくりと峡谷を見渡す。


 霧の向こうには、まだ敵の残党がいたが、皆がその場で立ち尽くしていた。


 恐れている。


 力ではなく、“守りの剣”に心を折られたのだ。


 カールが言っていた。


 ――「本当に強い剣とは、誰も戦わせない剣のことだ」


 その意味を、今ようやく理解できた気がした。


 この剣は、命を奪うためではない。命をつなぐためにある。


 小さな命を、未来を、仲間たちの笑顔を――守るために。


「じいちゃん、見てくれたか……」


 空を仰ぎ、ラインは心の中でつぶやく。


 その眼差しは、確かにカールに似ていた。


 戦いは終わった。


 だが、それは同時に、守るべき未来の始まりでもある。


 《守人ノ型》――それは血と技と想いで繋がれた、剣聖の意志。


 ライン=キリトの旅は、仲間と共にこれからも続いていく。


 守るべき者たちの笑顔のために。

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