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【絶対に許さない!】結婚間近の恋人を奪われ、さらに冒険者パーティーから追放、貴族の圧力で街にいられなくなった。お前らの血は何色だ!剣聖ライン=キリトの復讐は始まる!  作者: 山田 バルス
第一章 ライン、追放された剣聖

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第66話 ローデスの門

 夜の帳が降りる頃、ローデスの門――王都へ続く最後の防衛拠点の輪郭が、暗闇の中に黒々と浮かび上がった。


 二重の石壁、幾重にも張り巡らされた防衛機構。そして、正面からの突撃ではまず落とせないとされる難攻不落の城塞。


「これが……最後の関門か」


 ラインは高台から城塞を見下ろし、静かに息を吐いた。その背後では、ユイナが地図を広げ、作戦の最終確認をしている。


「ローデスの門は、正面から攻めれば多大な犠牲が出るわ。けれど……北側のこの水道跡、ここが唯一の突破口になる」


「古い水道か。どれくらいの規模だ?」とライン。


「騎士一人がしゃがんで通れるくらい。内部は崩落も多く、迂回も必要。でも、ラービンなら潜れる」


「もちろんさ」ラービンがにやりと笑う。

「潜って開門装置を解除すりゃあ、陽動と同時に突入できるって寸法だな」


 エイミーが補足する。「水道の先には古い管理棟があるわ。そこに結界装置があるはず。わたしとユイナで中和する」


「了解だ」ラインは頷いた。「テイシア、俺と一緒に正門の陽動部隊を率いる。敵の目を引くんだ」


 テイシアが静かに剣を握りしめる。

「必ず、門を開かせましょう」


 こうして、攻略作戦は動き出した。


 夜半、ラービンは黒装束に身を包み、誰にも気づかれることなく水道跡へと忍び込んだ。苔むした石壁、淀んだ水、そして不気味な静寂。だが、彼の足取りは迷いない。


「……こっちはお化けより、罠のほうが怖いな」


 いくつもの崩落した通路を抜け、ようやく古びた鉄格子に辿り着く。鍵を手早く外し、奥へと滑り込むと、目の前には管理棟らしき小部屋。そこには複雑な魔導装置と制御盤が並んでいた。


 程なくしてユイナとエイミーが合流。


「間に合ったわね」

 ユイナが装置を調べる。

「複合型の結界よ。少し時間がかかる」


「いいわ、急ぎましょう」エイミーの手が光り、呪文が流れるように紡がれていく。


 その頃、地上ではラインとテイシアが正門前に姿を現していた。


「剣聖、ここまで来たか!」


 門の上から叫ぶ王国軍の指揮官。だが、ラインは答えない。ただ剣を抜き、その光で闇を裂く。


「来い。ここが、お前たちの終焉の地だ」


 その瞬間、火矢が放たれ、空が赤く染まった。奇襲を受けた守備隊が応戦を開始し、城門前は火の海と化す。


 一方、水道跡では、エイミーが叫んだ。

「解除成功! 開門装置作動させるわ!」


 ラービンが制御盤に飛びつき、レバーを引いた。


 ――ガギィィィィィィンッ!!


 地響きと共に、ローデスの門が軋みながら開き始めた。


「今だ、突入しろ!」


 ラインが叫び、背後から本軍がなだれ込む。


 狭間から矢が放たれるが、テイシアの結界が仲間を守る。ユイナは電撃の魔法で狙撃手を一掃し、エイミーが追撃の火球を放つ。


「押し込め! もうひと押しだ!」


 ラービンが最上段の敵兵を押し倒し、ラインが剣を振るう。その刃が敵の大盾ごと鎧を断ち割る。


 そしてついに、ローデスの門内部、司令室の奥で敵将が降伏を告げた。


「ま、待ってくれ……降伏する……命だけは……っ」


「もう剣を振る必要はない」

 ラインが剣を納める。


 こうして、王都防衛の最後の砦、ローデスの門は陥落した。


 勝利の報が野営地に届き、人々の歓声が夜空に響いた。


「これで……いよいよ、王都だ」


 ラインは、遠くの空に浮かぶ王都の灯りを見据えた。その瞳には、もう迷いはない。

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