第3話 神殿。
僕が目を覚ますと、辺りは静かだった。良く寝たなあ、、、
整えられた小さな部屋を見回す。窓が開け放たれて、カーテンが風に揺れている。
どこだったかな?
・・・・ああ、、、僕、聖獣に食われて、、、死んだの?
この心地良い空間は、、、世に言う、、、
「目が覚めた?ご飯食べな?」
白いドレス、、、、結いあげられた美しい金髪、、、
僕はベットからがばっと起き上がって両膝をついて平服する。
「せ、、、聖女様!!!!僕を助けてくださったんですか?」
「聖女なんかじゃないわ。・・・・まあ、、、なんでもいいから、早くご飯食べちゃいな。」
小さなテーブルにご飯がもう用意されている。
「あの、、、フェリ、、僕の護衛騎士は?」
「ああ、、、、外で昼寝してるわよ?」
立ち上がって、窓の外を眺めてみると、木陰で聖獣と一緒に横たわるフェリが見えた。フェリの銀髪が、、、聖獣と同じ色に見える。
「え???大丈夫なんですか?」
「何が?」
ポットからお茶を注ぎながら、聖女様が言う。
「すっかり懐いちゃったみたいよ?毛の色が似てるからかしら?君は、ほら、ご飯食べて、大きくなりなさい。」
・・・・さすがだ、、、フェリ、、、、
とれたて野菜のサラダと、スクランブルエッグ、ベーコン、丸いパン。冷たいお茶。
僕は聖女様が用意してくださったご飯を食べながら、自分の騎士を誇らしく思った。
きっと、、、僕を助けたフェリに服従したに違いない、、、、
*****
聖女の食事にしてはシンプルな朝食を頂き、、、、いや、聖職者だから質素な食事なのか?
起きそうにない第七皇子を、用意してもらった客間に運び、、、、
付いてきた大きな犬の頭を撫でる。俺の上着を軽くくわえて、外に誘っている。
「あの、、、外で、、少し、、、」
「いいわよお」
食器を片づけていたエレナの許可が出たので、一緒に外に出る。いい天気だ。
木の枝を見つけたので、いい具合に折る。
「よし!もってこい!」
木の枝が緩い弧を描いて飛んでいく。走るフェン、、、しっぽまで流れるように真っすぐだ。
投げた木の枝をくわえて戻ったフェンは、にこにこ。さ、もう一度!!
何度も何度も投げた。フェンが息切れした辺りで、外井戸から水を汲んで二人で水を飲む。撫でまわしながら、木陰で休む、、、、毛だらけだから、暑いよな?
風がフェンの耳毛を撫でる。
いいなあ、、、、大きな犬、、、、、
寝転がって、第七皇子が神殿と呼んだ建物を眺める。
神殿ねえ、、、、門はあったが建物自体はこじんまりとしている。ペンキを塗ったのか、白いけどね?隣に大きな建物が渡り廊下でつながっている。手入れはされているが、質素な造りだ。神殿ねえ、、、殿下がそれでいいなら、ま、いいか、、、、
フェンと並んで昼寝する。寝言が凄いな、フェン、、、まだ走っているのか?夢の中で?ぴくぴくしている、、、、ふふっ、、、
*****
食器を片づけて、突然やってきた客人のことを考える、、、グットなタイミングだ。
丁度、小麦の収穫期、、、トムじいさんが、腰を痛めて戦力不足だった。ジャドウからかあ、、、めんどくさそうだけど、背に腹は代えられない。今から応援を頼むと刈り入れ時季に間に合わないし、、、
あの、、うちの子と同じ様な名前の護衛騎士は使えそうだ。もう一人、第七皇子と呼ばれている子は、戦力外か?粉ひき小屋を管理しているミラばあさんが助手を欲しがっていたから、、、そのくらいならいけるかな?大体、、、、働いたことあるのかしら?無いな、、、、ま、、、いいか、、、
そうと決まれば、晩御飯は奮発しよう。鶏でも絞めるか?
ふんふんふん、、、聖女とか聖獣とか何のことか分からないけど、労働力は大切にしよう。