第18話 そして、それから。
ライアン陛下の親族席に二人で座る。
親代わりで、兄弟代わりで、、、ジャドウに暮らして7年たった。
テアが16歳になるのを待って、今日は挙式。
長いような、短いような、、、忙しい日々だったわね。
ライアンのおじいちゃんも、ミラばあさんも健在だ。今日は大叔父様もいらしている。
国王になった私たちの兄夫婦も、もちろん来てくれている。
今日は国民も広場に集まってくれている。花嫁を一目見ようと、すんごい数の人、、
長い長いヴェール、真っ白なドレス、、、当の本人は、薄っすら日に焼けている。
あちこち飛び回って、、、道路を作ったり、農業用の貯水池を作ったり、時には自ら鍬を握ったり、、、、しかも、上手な鍬捌きなので、、、
そういうところが、、、国民に絶大な支持を得ているみたいだ。
聖女、そう呼ばれている。
ライアンは、、、、きっちり尻に敷かれている。本人はそれさえも幸せそうなので、それはそれでいいか、、、、
炭鉱会社も軌道に乗せた。代表はライアンにした。
一年の採掘量を決めて、細く長く続けていこうと思っている。
兄は3か国共同で、ソラル国から帝国へ、さらにエタン国まで延びる大街道を整備した。それから、石炭を燃料としたトロッコの開発をし、今は、その線路も通っている。そのまま、ソラルの港まで。陶器製造に力を入れているから、海外にも出すつもりなんだろう。なかなかやるな、、、
フェリの兄上は、エタン国の炭層に交じっている琥珀の採掘を行っている。採掘、加工、販売、と、一貫して行えるように整えた。もちろん石炭も採掘している。元々出ていた宝石の加工も行っていたから、お手のものだったのだろう。今は、宝石加工で培った技術で、懐中時計を製造し始めた。
ソラルから伸びるトロッコを改良して、山岳観光も始めた。
観光客向けの、お手頃な値段の宝飾品や時計もお土産で売り出した。フェンと同じ犬種の犬が、観光大使としてお出迎えしてくれるらしい。・・・・したたかだな、、、
*****
「さて、、、ライアンも結婚することだし、僕たちはどうする?領に下がる?」
「まあ!フェリ!!」
私たちは、石炭採掘会社の功績で、この国で領地を貰った。領地は、、、ミラばあさんの領地に似た、穏やかな土地だ。
「まだまだ兄上たちに負けてはいられません!!!子供たちが大きくなったら、、、、領でのんびり暮らしましょう?その頃は、フェンの孫犬がいるかしらね?ひ孫かしら?ふふっ。」
エレナがそっと私の手を握る。
正直、、、あのまま、ミラ様の領で暮らすのに、、、憧れていた。
畑を耕し、牛を飼い、犬が駆けまわる、、、、
生きていくうえで必要なものは、実はそうたくさんは要らない、ことを教えてもらった。
・・・・ただ、、、この手を離すことはできないなあ、、、
私は、、、とんでもなく大きなものを手に入れてしまった、、、聖女様、かもね?
エレナの手を握り返す。
まだまだのんびりは出来そうにないね?
エレナは中庭に畑を作り、毎年さつまいもを作って、みんなにご馳走する。
掘るのは私だが、、、、相変わらず。
子供たちもみんな手伝ってくれる。
木の葉を集めて焼き芋をする。
煙が上がると、、、みんな集まってくる、、、
「美味しいですねえ、、、」
私は、、、姉をできれば連れ戻したかった。幸せな結婚ではないことがわかっていたから。貴族の結婚など、大方、そんなものなのかもしれないと、どこかで思いながらも、、、、、
何とかしようと画策しているうちに、姉の訃報が届き、、、私は残された甥っ子を守るためにジャドウ国に入った。腐りかけた国でも、小さい自国との国力の差は歴然とあった。私は、、、、戦う事だけを考えていたかもしれない。
・・・・さつまいも、、、、保存食になるかも、兵糧として使えるかも、、、食糧が確保できるということは、それだけ長く戦えるという事、、、、、そんな考えを見透かされた気がした。青い、、、秋の澄みきった空のようなエレナの瞳に、、、、
兄も、エレナの兄上も、、、そして多分大王とミラ様も、、、、
もっと先を考えていらした。
ジャンじいに手を取られて、絨毯をゆっくりと歩いて、ライアンにその手をそっと伸ばす。
ティアラは、ヴェール越しでも、きりっと顎を上げる。真っすぐライアンを見ている。
私の国と、エレナの国と、このジャドウ国、、、この子たちの子供たちは3国の血を繋いでいくことになる、、、、混ざり合い、高めあい、、、
「・・・フェリ、、、」
妻が私の頬をそっとハンカチで拭いてくれた。泣いていたらしいな、、、
本編、完です。
番外編に続きます。




