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第17話 花嫁。

「あ、これ、すっかり忘れてたけど、返しておくわ。」


皮の袋に入った黒い石を、フェリに返す。


「ああ、、使わずに済んだな。」


聖女の力を見せて見ろ、と、無茶振りされた時用にと、フェリに預けられた石。良くわからないけど、不思議な石らしい。


「これが本当に燃えるの?ただの黒い石にしか見えないけど。炭、みたいなもん?」

「ん、、、そうだな。」


フェンが長々と温まっている暖炉の前。その横に座ったフェリが、その石を暖炉に放る。

「来て。見ていて。」

ポンポンと、フェリの隣に座るように言われる。


さっきまで、いつものように夕食後のライアンとテアの勉強はここでしていた。フェリはフェンのブラシをかけたり、、、残った書類に目を通したりしていた。国元にいた時とあまり変わらない。


私は寝間着にガウンをひっかけている。寒いから。


あのバタバタした侵攻騒ぎから、ライアンの即位式、ジャドウ国の体制の立て直し、、、もう、暖炉に火を入れる季節になってしまった。そう言えば、、、今年は焼き芋を食べてないなあ、、、、


「どれどれ?」


フェリの横に腰かけて、放り込んだ黒い石を眺める。

その石は、、燃え始めると、ごうごうと炎を上げて勢いよく燃える。

「これ、、、、」

「ああ、石炭、というやつだ。炭や薪に替わる、新世代の燃料になる。」

「・・・・あんたさあ、、、」

「あ?」

「こ、、、、こんな火力の強いものを、私に持たせるつもりだったわけ?やけどするよね?ね?」

「皮の手袋も渡しておいただろう?直ぐに放り投げる予定だったし。」

「・・・・いや、、、手袋くらいで?無理じゃない?」

「聖女の掌で炎を上げる魔石、みたいな効果を狙ったんだけど、、、、まあ、、、使わなかったから、良かったじゃない?」

「こんのおお!!!」


殴りかかろうとした手を、難なく捕まれる。


「ホント、、、やけどしなくてよかった。」


そう言ってフェリが、私の指先にキス?をする、、、、な、、、、


「これを、、、、いつ渡そうかと、、、」


そっと左手の薬指にはめられたのは、柔らかな光を映す琥珀色の石のついた、、、指輪?、、、、え???


「琥珀は、幸運の象徴、って僕の国では言われている。ねえ、エレナ、君と初めて会ったとき、なんて綺麗な人だろうと、、、一目ぼれだった。実は。」

「な、、、、」

「君は、、、寝起きで、寝間着姿だったけどね、、、ふふっ。本当に聖女が出てきたのかと思ったよ。君といると楽しいし、次はなんだろうって、ワクワクする。」

「な、、、、」

「この琥珀はね、石としては柔らかくて、傷つきやすいんだ。大事にしてね?僕のこともね?」

「な、、、、、待って待って、、、、」

「もう、、、十分待った。」


「え?、、、、」



石炭の火力が強くて、、、顔がほてる、、、



「フェン、今夜は僕のベットに潜り込むなよ?」



寝ているフェンが、、、しっぽだけで返事をした。ぱたぱたっ、、、え???




*****


翌年の初夏に、僕とエレナの結婚式を挙げることになった。


どの国で式を挙げるか、すったもんだあったが、結局、間を取ってジャドウ国で行うことになった。このままたぶん、ジャドウに住み着くんだろうから、、まあ、いいか、、、新居もライアンが手配してくれた。王城のすぐ隣の、後宮に使っていたところを品よく直してくれた。想像以上に広い。中庭もある。



白いドレスに身を包んだエレナは、怖いぐらい美しかった。総レースの長いヴェールがミラ様から贈られてきた。・・・・見とれてしまう、、、、


「な、、、なんか言いたいことがあったら言いなさいよ?何よ?」


「うん?僕の花嫁は聖女様のように美しいなあ、って、、」

「な、、、、」

「黙っていればね、、、」

「あ?」


何時ものように殴りかかろうとしたエレナの手を柔らかく包み込んで、キスをする。

もう、、、、俺の花嫁、、、綺麗で、、かわいい、、、顔、、、真っ赤だし、、、


「ほらほらお前たち、いつまで何をやってるんだ??じゃれるのは後にしろ!後に!皆様お揃いだぞ?花婿は早く行けよ!」


ジャンじいに、、、ソラル国の大公殿に叱られてしまった。


ジャンじいに手を取られて、絨毯を歩いてくるエレナ、、、、国王夫妻はお留守番で、王太子ご夫婦が来ている、、、


結婚指輪の係りは、僕の甥っ子と、エレナの姪っ子。二人共、かわいい、、、


「パ、、、パトリシア、、、、、」


何故だかエレナの兄上が涙目だ、、、、



主賓はジャドウの大王とライアン。その隣にティアラがにこやかに笑って座っている。

ソラル国の王太子ご夫妻とパトリシア。もちろん、ミラ様も。

エタン国からは、兄上夫婦と、二人の甥っ子。

ジャドウの議会からも来てくれている。



いい式になりました。皆様、ありがとうございます。



*****


引き続きの披露宴会場に入ると、もうかなり盛り上がっている。

私は薄い菫色のドレスに着替えた。


お祝いもたくさんいただいた。一番うれしかったのは、、、フェリの兄上からの、なんと!フェンのお嫁さん!!!真っ白でふかふかでかわいい!!!ピンクのリボン!!!かわいい!!!

早速フェンがご挨拶に近寄って、、、クンクンしている。しつこい男は嫌われるぞ?


心配したけど、相性は良かったみたい。二匹で中庭で遊んでいる。



御挨拶回りをしたり、踊ったり、、、。料理も、3国の料理が出ていて、なかなか楽しませていただいた。みんなも盛り上がっている。


・・・・次は、ライアンとティアラの時ねえ、、、その頃は私の兄上も、フェリの兄上も王位に就いてそう。


中盤に、挨拶しろと言われたので、フェリと前に出る。

フェリが、、、、面白そうに笑っている。わかってるわよ。


「お集まりの皆様、今日は私たちのために遠いところ、本当にありがとうございます。私たちは今後も、ジャドウ国ライアン皇帝陛下に忠義を尽くし、この国の発展に尽くしていく所存でございます。」


フェリの型決めの挨拶に、、、、歓声と、拍手、、、


今となっては、ライアンにこれと言った後ろ盾がなかったのは幸いだ。変な権力抗争に巻き込まれない。


「陛下の着任の国内巡業にご同行させていただきました。北部地区、エタン国と国境を接する地域の、昨年の大雨での大規模土砂崩れ現場を視察いたしました折、そこで、偶然、石炭の炭層を発見いたしました。これは、神からの贈り物でございます。石炭というのは、新世代の燃料になる、火力の強い鉱物資源でございます。この採掘はこの国の主要産業に育っていくと考えております。」


どよめきが起こる、、、、二人の兄上が、、、ぷぷっ、、、目を真ん丸にしているわね?


「この半年、調査を続けましたところ、炭層は大規模なもので、露天掘りが可能だと判断いたしました。現在、採掘する準備を進めているところでございます。」


二人で顔を見合わせてる、、、ぷぷっ


「採掘権はもちろんこの国にありますが、エタン国は地下資源開発の技術をお持ちです。また、ソラル国には人員を管理する力が、、、そこで、両国の力をお貸し頂き、さらなる発展につなげていきたいと。3国の協定も結んだことですし。」


あらあら、、、ため息?


「いかがでございますか?」


「「喜んで協力させていただきます。」」


・・・・フェリ、、、、かっこいい!惚れ直しちゃうわ!!



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