第14話 聖女か?
ガタガタと震えがくる。
「医者を呼べ!!早くだ!!!」
熱が出ているのか、寒い、、寒い寒い、、、俺は皇子だぞ?なんでみんな俺の言うことを聞かない???足が燃えるように熱い、、、、
「ぎゃあああ、、、、」
叫び声をあげたのは、一人生き残った歩兵か?役に立たない、、、早く走って行って、医者を呼んで来い、、、、
俺のテントに、人の入る気配がする、、、医者か?
「・・・・・・・」
朦朧とする、、、目に映ったのは、、、白いドレスを着た、、、女、、、、
恐ろしいほど美しいその女は、、、俺を見下ろして、、、、笑った、、、、
*****
俺が目を覚まして一番最初に目に映ったのは、、、、鉄格子、、、馬車に揺られている気がしたが、、
「は?俺を誰だと思っている?俺はジャドウ国の第二皇子だぞ!!」
鉄格子のはまった窓越しに叫ぶ。
足は、、、包帯が幾重にも巻かれている。両手の自由は効かない。
前の席に座った官吏らしい男が、御者を止めたようだ。
「無礼な!!何者だ?早く出せ!!このようなところに閉じ込めやがって、、、只では置かないぞ!!」
間もなく、ガチャガチャと鍵を開ける音がして、ドアが開けられる。
「兄上、、、」
綺麗な身なりをした男の子に声を掛けられる。
「・・・ライアンか?ライアン、お前が早く聖女を連れ帰らないせいで!見ろ!俺は怪我を負ったんだぞ?」
「・・・・・僕は、ソラル国の聖女様と聖獣様の加護を頂きました。国元にお連れしようとしていた時に、兄上が2000もの兵を連れて、、、」
「ああ、お前が捕らわれているのだろうと、長兄の命で迎えに来たんだ。それがどうだ??洪水に土砂崩れで、壊滅してしまったぞ!どう責任を取るんだ!!」
「・・・・僕が、ですか?」
「当たり前だ!!!お前のせいだ!!!お前が遅いからだ!!!」
いつの間に来たのか、ライアンに寄り添うように立つ、物凄く大きな白い狼が、牙をむいて唸る。お、、俺にか?
「兄上、、、聖獣様がお怒りです。お静まり下さい。あなたに降りかかった災いは、聖女様の力です。あなたの足は、、、、本来なら切り捨てなければならないところを、聖女様の力でなんとかつながっております。慎んでください。」
「・・・・せい、、聖女、、、、あの、、、」
人間では立つことが出来ない崖の上にいた、、、最後の目撃者が洪水の後に見た、、、俺を見て冷ややかに笑った、、、、あの白いドレスの女か??
「私が駆けつけた時、只の一人も生き残った兵はおりませんでした。いいですか、、、指揮官の問題です。僕のせいではありません。」
生意気な、、、、そう言おうとして、聖獣が牙をむいて爪を掛け、馬車に乗り込もうとしているのを、ライアンが止めるのを見る。奴より、、遥かに大きい、、、聖獣?
「俺は、、、、」
「このまま、聖女様がジャドウ国までお送りするそうです。聖獣様もご一緒です。兄上が何といおうと、兵がソラル国に入ってしまいましたので、侵攻とみなされました。兄上は、、、この国において咎人として護送されます。」
「俺は、、、、、」
目の前で、鉄格子のはまったドアが閉められる。カギは二重にも三重にもかけられているようだ。外が見えていたが、、、それもゆっくりと閉められた。
前に座る官吏が、席との間の鉄格子の間も閉める。
・・・・真っ暗だ、、、、
ガタガタと、馬車が揺れることだけがわかる。
*****
「お前!何をしてくれたんだ!!」
いきなりやってきた父上が、長兄の胸ぐらをつかむ。
「何が、、、でございますか?」
昼食後のお茶をしていた。長兄の膝の上には、最近お気に入りのまだ12.3歳くらいの女の子が乗せられていた。これでも側妃だ。慌てて膝から降りて、平伏している。
「ソラル国に、兵を出したのか?誰の判断だ?お前か?」
「あ、、、ああ、、、そうです。ソラルに行かせたライアンが1年半も音沙汰がないので、弟に、アテオに探しに行かせましたが?何か?」
「な、、、何か、だと?お前のその判断で、何が起こったのか、報告がなかったのか?」
「?」
「2000もの兵が、壊滅した。どうしてくれる?そうじゃなくとも、情勢が不安定な中、、、、、議会に叩かれるぞ!!同じ書簡が議会にも来て、もう、議会が招集されている。」
「え?壊滅?そんな、、、まさか、、、、」
「アテオは、ソラル国から護送されてくる。議会の許可も得ず、我の許可もなく、、、他国に侵攻した、、、、重罪だぞ。」
「あ、、、アテオが、、、アテオが、自ら向かったのでございます!!私は、私はどうしてもと乞われて、、、、許可しただけで、、、、、」
「・・・もう遅い、、、議会に出るぞ。継承権のあるものは全員出席するように、だ。いいな?」
父上が、締め上げていた長兄を放り投げるように離した。




