第10話 豚の煮物。
豚肉の煮物も美味しい。トロトロに煮込まれている。ミラばあさんのコックさんはさすがだ。自分でやるとここまでにはならないなあ、、、隠し味は、、リンゴかな?
「私は小さい頃身体が弱かったから、、、」
「え?」
「・・・何よ?」
「え、、、ああ、、」
「大叔母様に預けられてたの。こっちのほうが、空気がいいから。そしたら、お父様がフェンを連れてきてくれて、、、雪玉みたいに白くて小さくて真ん丸で、、嬉しかったなあ、、、」
「・・・ふうん、、、」
「学院に入る年になって、王都に戻ったんだけど、フェンには暑すぎたみたいで、、大急ぎでスキップして、ここに戻ってきた。」
「・・・・・」
「三年前に老衰で、、、死んでしまって、、、」
「・・・・ああ、、、」
「そしたら、ある日、兄上が今のフェンを連れてきてくださったのよ。嬉しかったわ。」
「・・・・・そう、、、」
「あなたの国から、だったのねえ、、、、知らなかったわ。」
「うん。」
楽隊の準備が整ったようで、音合わせが始まった。
ワルツが奏でられ、大叔母様と兄上が踊る。
「じゃあ、聖女様?一曲踊ってきましょうか?」
「聖女じゃない。」
「エレナ様、、、」
「し、、、仕方ないわね、、、、」
差し出された手に、指を重ねる。
*****
「・・・・改めまして、サミュエルです。フェリックス様。この度、縁あって兄弟になりますね、よろしくお願いいたします。これについてはエタン国国王並びに王太子殿下の許可を頂いております。こちらの書簡です。」
兄上の差し出した書簡には、エタン国の紋章と玉璽が押してある。
もう一通は、我が国の物。
「「・・・・はあ、、、、」」
「おや?ため息までお揃いなんだね?君たち。」
「「あ??」」
「まあ、いいよ。二人の婚約は、2国間の悲願なんだ。二人で力を合わせて、ジャドウ国を治めてほしい。」
「「はい?」」
「お兄様?すみませんが、何をおっしゃっているのかよく理解できません。通訳してくださるお義姉様がいないんですから、、、、私たちに理解できるように説明できますか?」
「うふふっ、、じゃあ、私が説明してあげるよ。」
ミラばあさんが足を組みなおして、人差し指を出す。今日のドレスは深い緑色。品があって素敵だ。サラッと衣擦れの音がする。
「まずね、フェリ、あなた、5年以上ジャドウ国に潜入してたでしょ?あの国の今後の展開は?どう思う?正直に。」
「・・・将来は、無いですね。先代の皇帝が築き上げた大帝国を、現皇が食い潰し、次期皇が崩壊させるでしょう。現皇の側室は30名以上になり、子供は20人以上、、、もう、血で血を洗うような状況になるかと。財政状況もひどいものです。」
「でしょうね、、、今の皇太子も他の子たちも似たようなもんだし。親の真似して側室集めてるんでしょ?意見を言える臣下もいない。まさに時間の問題ね。でもね、それを待っていると、、、15年前と同じことが起こるのよ。国の勢いを取り戻そうともがくから。周りの国へ力づくで攻め入って、国威を掲揚しようとする。馬鹿の一つ覚えみたいにね。」
「・・・・・」
「それで、よ?そのぼんくら皇太子は、我が国から聖女と聖獣を連れて行ったら、皇帝になるって言っているのでしょ?面白いわよね、、、、聖女と聖獣《《が》》選んだ者を皇帝にするって解釈もできるでしょ?」
「え?」
「そうするのよ。いい?選ばれるのは、エタンの血を引き、我が国の後ろ盾を持った、ライアンよ。うふふっ、、」
「・・・・・」
「あなたたちが打つ手を間違うと、私のかわいい孫娘まで死ぬことになるのよ。3国を巻き込んだ戦争になるわねえ、、、慎重にね。よろしく。時期は、、、そうねえ、、、ジャドウ国がしびれを切らして、ライアンを探しにうちの国に兵を出すタイミングかしらね?あと、、、1年ぐらい?」
「・・・・・」




