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魔触機装 ep2 強化魔術

 力が漲る。

 余りに大きすぎる力は、僕の想像を超えてきた。

 まさか、体を広げる必要があるとは、力を拡散して何とかなった。

 レイリアナに被害が無ければいいが、今は、収束する必要がある。

 さて、単純に収束すればまた、暴走してしまう可能性が否定できない。

 ……放出出来ないだろうか?

 ……出来るな。

 しかし、このまま力の塊を解き放つのは、余りに危険だ。

 僕がレイリアナから離れる手もあるが、余り取りたくない選択肢だ。

 制御するしかないか?

 むむむ、どうしたら良いだろうか?

 形を変える?

 ……形を変えるか。

 今は両手両足にくっついているだけだが、レイリアナを中心に鎧のように纏うように変形すれば良いかもしれないな。


 問題は、いつまでこの魔術の効果があるか。

 ……まあ、いいか。


『レイリアナ、少しばかり怖いかも知れないが我慢してくれないか?』

「怖い?

 安全なのよね?」


安全を保障できるわけではないが彼女を安心させるのを優先しよう。


『ああ、安全だ』

「分かった。

 お願いするわ」


 レイリアナを中心に彼女を包むように変形する。

 外から見れば繭のように見えるだろう。

 そしてエネルギーを発散させる為にまず自身の体を硬質化させる。

 そして、余ったエネルギーを圧縮して解き放つ。

 形状変化、人間の腕のような物を生成、エネルギーを集める。

 そしてエネルギー全て地面にとおす。

 圧縮された力が、地面を揺らす。

 どうやら過剰なエネルギーは発散できたようだ。

 それでもまだまだエネルギーに余裕があるくらいだ。

 硬質化を解き形状を元に戻していく。

 レイリアナの手足に戻った。


『終わった』

「終わった?

 え!?

 何この穴!?」

『力を逃した結果だ』

「それってつまり私の魔術でこの穴が出来たってこと!?」

『結論から言えばそうなるな』

「下が見えないわね」

『拡散しないようにエネルギーを放出したからな』

「いやいやいや!

 あり得ないよ!?

 魔族でもここまでの威力を出すの居ないよ!?」

『そうか、では切り札に出来そうだな』

「……れ、冷静だね」

『何しろ常識という物がないのでね。

 敵の制圧は僕とそれに任せて貰おう』

「ちょっと待って」

『どうした?』


 急に怒りだして


「その子をいつまでそれ呼ばわりするつもり?」

『呼びにくくなるまでだな』

「それじゃあ私が名前をつけて良いかしら?」

『問題ない。

 呼称を決めて貰えると助かる』

「それじゃあ、ジェーンでどうかしら?」

『それも僕の名前と同じ由来か?』

「ええ」


 もう少し考えると思ったのだが、それ呼ばわりが気に入らなかっただけか。


『まあ、良いだろう。

 取り敢えず進もうか』

「もう大丈夫なの?」

『ああ、問題ない』

「分かったわ進みましょう」


 不意に起きたハプニングを終えて、歩を進めて暫くしてクローン体の少女たち三人が現れる。


「ジェーン?」

『いや、どうやらこの場所の守護者のような存在だ』


 少女の一人が身の丈ほどの大剣を振り下ろしてくる。


「ええ!?」


 硬質化して大剣を受け止める。

 


「味方じゃないの?」

『ああ、だが、これから味方にする』

「どうやって?」

『こうやってだ』


 大剣を振り下ろしてきた少女に触手を伸ばして拘束し耳から触手を侵入させていく。


「うわぁ」


 レイリアナがドン引きしているが仕方がない。

 さっさと体を支配して味方にする。


「味方にできた、の?」

『ああ』

「最初のあの子もそうやって味方にしたの?」

『ああ』

「……それってもしかして私に対してもやろうとしたらできる?」

『わからない』

「どうして?」

『抵抗する意思があるからだ』

「その子には抵抗する意思がないってこと?」

『そうだ』

「……、……あ、他の敵は」


 他の少女は支配した少女ジェーンが触手によって持ち上げられていた。

 暴れる様子が無いところを見るに支配した後のようだ。


「ま、まあ、味方が増えることはいいことよね」

『そうだな』


 この調子で増やしていけば軍隊でも出来そうだ。

 仲間にしたジェーン達を先行させる。

 勿論、ジェーン達の中には僕がいるため同じスペックの相手に負けることも無く、つつが無く進んでいくことが出来る。


「うわぁ、これじゃあお伽話の魔王だよ」

『魔王とは何だ?』

「勇者の伝承に出てくる災厄だよ。

 数多の魔物を従え人々に徒なす存在」

『ふむ、具体的には?』

「従えた魔物で農村を襲わせたり都市を壊滅させたり立ち向かってくる者を悉く殺したりとても強くてとても凶悪な事をするんだって」

『成る程、で、その魔王とやらの目的は何だ?』

「世界を滅ぼすことだそうよ」

『それは本人から聞いたのか?』

「それは……」

『分からないのか?』

「だ、だってお伽話だもん、細かいとこまで書いてないよ」

『そんなものか』

「そんなものよ」

『では、その魔王とやらも敵が多かったことだろう』

「勿論よ。

 世界を敵に回したんですもの」

『それでも魔王にも魔物以外の味方もいたのだろう?』

「そうね。

 四天王っていう部下が四人居たわ」

『シテンノウ?

 その者達は強いのか?』

「ええ、魔王軍最高幹部たちは、魔王に次いで強かったらしいわ」


 ふむ、それは面白いな。

 流石にシテンノウの名前を使うわけにはいかないが、部下を待つときは特別な名前を持つ役職を用意するのは悪くない。


「あら?

 開けた場所に出たわね」


 通路を進み続けると広間に行き着いた。

 まるで教会のような奥行きと天井の高さがありしかし、謁見の間のような奥が一段高くそして、そこにつづく絨毯が敷かれている。

 奥には王座は無く。

 寧ろ何処かで見たことがあるカプセルのような物が鎮座していた。

 カプセルの後ろからは線やらパイプやらが伸びている。

 顔に当たるであろう部分に窓があり中に人が居るのが分かる。

 僕の感覚からすれば誰かの寝床のようにも見える。


「何よあれ」


 レイリアナからすれば得体の知れない物体に見えたようだ。


『あれは、恐らくコールドスリープカプセルだ』


 何所から出て来たか分からない知識を引き出す。


「こーるどすりーぷ何?」

『コールドスリープカプセル、言うなれば寝床のような物だ』

「寝床?

 にはに見えないけど……、誰か寝てるって事だよね?」

『ああ、どんな人が寝ているかは分からないがそう言うことになる』

「起こさない方が良いかな?」

『分からないな。

 だが、一旦調べてみようか』


 コールドスリープカプセルに近づいていくと窓から顔が見えた。


「え!?」


 レイリアナは何かに気付き急いでカプセルに近く。


「師匠!」

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