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魔触機装 ep10 王国最後の町

盗賊の襲撃の後は特に問題もなく馬車を進めて行く。

 そして、盗賊達ももう来ないという事は確信できていた。

 意思のない体を動かすことは簡単だ。

 問題点は、その体の前知識がないことぐらいだ。

 まあ、今回は、生きている者から記憶が取れたようで多少の誤魔化しは効くと判断している。

 もしうまくいったら敵対者の手下にこちらの手駒を紛れ込ませることが出来る。

 うまくいかなかったとしてもこちら側のやることは変わらない。

 そして、レイリアナと今後のやることをやり取りしている間に町についた。


『この町を出れば帝国まではもうすぐよ』

『なら、襲撃があるとすればここが一番狙われるかもしれない』

『そうね。

 今日は起きておいた方がいいかな』

『いや、寝ていてくれた方が対応がしやすい』

『そう?

 ならお言葉に甘えてしっかり眠らせて貰うわ』


 向こうでも似たような会話があったようだ。

 シオンが、こちらに確認してくる。


「レイリアナ、宿を取るのだけど貴方一人でいい?」

「ええ、問題ありません。

 シショウほどでは無いですが寝ていても侵入者があれば対応出来ますから」

「そう、それなら良かった」


 レイリアナの体温が著しく上昇する。


『レイリアナ、大丈夫か?』

『……』

『レイリアナ?

 おい、レイリアナ!』

『はっ、な、なに!?』

『急激な体温変化があったからな。

 体調に問題は無いか?』

『も、問題ないわ。

 それよりもまずは、宿よ。

 出来るだけいいところをとらないと』

『今から金をかけるのは良くないと思うが?』

『いいの!』

『まあ、レイリアナがそう言うのであればそうなのだろう』


 非効率的で非合理的だが、何かしら考えがあっての事なんだろう。

 僕たちは、比較的良さそうな宿を見つけそこに泊まることにした。

 その日の夜、僕たちは、部屋は隣り合うようにとりシショウとシオン、レイリアナとなるように部屋は別れた。


「ふ」


 隣からくぐもった女性の声が聞こえたかと思うとレイリアナが息を漏らした。

 血流速度の上昇、それに伴い体温の上昇。

 心臓が早鐘のように鳴り響いているのが伝わってくる。


『体調が悪いんだったら直ぐに言うんだぞ?』

『分かったから黙ってて』


 レイリアナは、声を潜めつつそう言って壁に耳を当てる。

 念話の中まで声を潜めなくてもと思ったがそれは伝えなかった。

 レイリアナの呼吸が荒くなり始める。

 そして、隣の部屋から尋常じゃないほどの騒音が聞こえてきた。

 まるで何かが暴れているような……。


『レイリアナ!

 敵襲だ!』

『ほへ!?』


 間の抜けた返事をするレイリアナの後ろから振り下ろされた刃を受け止める。


「どんな間接をしてやがる」


 ボソリと呟かれたその言葉に返す言葉はなく。

 肘の部分から手をはやし捕まえようとしたが襲撃者は、咄嗟に武器を手放しこちらから距離をとる。


「化け物か!?」


 随分とお喋りな襲撃者だな。


『出来れば生け捕りにしたいな』

『うん、邪魔したことを後悔させてやる』


 珍しく怒りを燃やして立ち上がるレイリアナ。


『やる気十分だな』

『当然よ。

 折角の盗み……ゴホン、休息を邪魔されたんだから』

「くっ」


襲撃者は、黒装束を身に纏い、顔を見えないようにマスクとフードをしていた。

こちらから見えるのは目元ぐらいか。


『もう追いついてきたのか?』

「優秀な猟犬ね」

「ふん、死ね」


 襲撃者が騒がしかったのは少しだけで、後は静かに迅速に動く。


「くそ」


 悪態を吐いたのは襲撃者の方だ。

 逃げられるように立ち回って深く踏み込んで来ない。

 そのお陰で楽々と対処出来ている。

 相手も分かっているのだろう。

 唐突に窓から飛び出した。

 逃げようとしたのだろうが、それは詰みだ。


 窓辺に足を掛けるのと同時にこっそりと忍ばせていた触手で足を掴み部屋の中へ引きずり込む。


「きゃっ、ひっ!?」

『さあ、さっさと乗っ取りなさい』

『いや、今回はちょっとだけ工夫をしよう』

『どうするつもりなの?』

『まあ、取り敢えず軽く尋問だな』

『分かったわ。

 まあ、口は割らないだろうけど』

「あなた、誰に頼まれてここに来たの?」

「くっ殺せ」

『やっぱりね』

『まあ、大丈夫だ』


僕がそう呟くと部屋の扉が開きシショウがもう三人の襲撃者を投げ込む。


「後は頼んだ」

「え?」

『まあ、見てろ』


 そう言って僕は、三人に入り込む。


触手で縛った襲撃者は、その様子を見て「ヒイッ」と聞こえるぐらい息を飲む。

乗っ取り終えると三人同時に立ち上がる。


「ああ、なるほどね」

「公爵が絡んでいるのなら少しややこしいな」

「だが、手駒を乗っ取れたのは大きいな」

「さて、そいつだが、」

「三人でしゃべらないでややこしい」

「じゃあこいつで話そうか」


 一番年上の男性で話し始める。

 一番情報を持っていると言うのが理由だ。


「何か分かったみたいね」

「ああ、まずこいつらだが、公爵の子飼いの暗部の者達だ。

 どうやら本気で殺しに来ているらしい」

「で、どうするつもり?」

「勿論、潜入する。

 幸いな事にその者が、全てやってくれるさ」

「ゲフッ」


 男は血を吐いて倒れる。


「ふむ、死んでしまったか」

「死んでしまったかじゃ無いでしょ!

 何か目的があって、この男を生かして捕らえたんでしょ!?」

「まだ間に合う。

 それとこれは、男ではない」

「え?」

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