1/6
プロローグ
この世に存在するものには、少なからず役割が存在する。
雨は大地を潤し、風は種を運ぶ。
列車は物を運び、武器は敵を殲滅する。
(なら私は…私の役割は、生きる理由は何なんだろう)
月明りだけが差し込む部屋で、鏡の前で少女が座っている。
銀色の髪を結い終わり、白い軍服を羽織ると同時に部屋にノックが響いた。
扉を開けるとブロンズの髪を短く揃えている女性が全身黒い軍服を纏い立っている。
「隊長、全員待機しております。いつでも出発可能です」
「そう、分かったわ。行きましょうか」
誰もいなくなった部屋には、少女の問いだけが残っていた。