レベル4 夢
森を抜けるとそこには立派な宿屋があった。
2階建てで窓がたくさんあり、少なくとも全部で10部屋はありそうだ。
木らしさを活かしながら所々金属の装飾があり、全体的に明るい印象だ。
ゼルト「ふう・・・。何とかたどり着いたな。今日はここに一泊しよう。」
ヴァンク「分かりました。部屋は別々がいいですよね?僕が手続してきますよ。」
ゼルト「いや、部屋は一緒でも・・・。」
ゼルトが言い終える前にヴァンクは宿屋の中に入ってしまった。
追いかけようとすると、外にいた40代くらいの傭兵に話しかけられた。
傭兵グラム「あんたたち森を抜けてきたようだな?ポトラ村の人間か?」
ゼルト「(ヴァンクのことは隠した方がいいな)・・・あぁ。その通りです。魔王討伐の旅に出たばっかりで。名前はゼルトです。一晩よろしく頼みます。」
グラム「任せときな!魔物が来ようと返り討ちにしてやるよ。それよりもう1人の奴も一緒に旅してるのか?子供のようだが。」
ゼルト「森で出会って、何となく行動を共にするようになったんです。」
グラム「森で・・・。なるほどな。まぁゆっくりしていきな。」
ゼルトはグラムと話し終えると宿屋の中に入った。
中もこれまた外観同様、ものすごく明るい印象だ。
疲れた冒険者を癒す場所としては最適かもしれない。
ヴァンク「ゼルトさんすみません。部屋が1部屋しか空いていなくて・・・。僕は野宿でも構いませんので・・・!」
ゼルト「構わないよ。一緒の部屋にしよう。」
ヴァンク「そんな・・・。ありがとうございます。」
2人は夕食を取り、風呂に入って寝支度を整えた。そして寝付いたゼルトは夢を見ていた。
(何だ・・・?あれはヴァンクか?姿が少し違うようだが。誰かと戦っているのか?ヴァンク・・・?泣いているのか? ・・・・。)
・・・トさん・・・ルトさん・・・ゼルトさん!
もう朝になっていた。ヴァンクに起こされていたようだ。
ゼルト「ヴァンク・・・。夢か。」
ヴァンク「なかなか起きないからビックリしましたよ。昨日は色々ありましたから無理もないですけど・・・。」
ゼルト「すまない。朝食をとって一息ついたら出発しよう。」
2人は朝食をとってから出発の手続きを済ませ、グラムに挨拶して宿屋を後にした。
少し行けばエルラーザだ。