心晴れ、雨上がり
これは以前3DSのRPGツクールフェスで
やった話をリメイクしたものです、
拙いと思いますが
とりあえず読んでみてください。
一章:不可解な呼び出し
「これヤバくね?」
「う~んそうだね」
「確かにヤバいな」
外は雨、予報では今週ずっと雨
とある高校の教室の一角
仲良しの三人組の男子が
おしゃべり中、
『タカダアキラクン、
マスダタカヒロクン、
サカシタリョウクン、
今すぐ保健室に来なさい』
「俺達なにかやったか?」
そう言ったのは
グループリーダー格のアキラ、
「ん~特に心当たり無いな」
そう言ったのがタカヒロ
「でもなんで保健室に?」
リョウが首をかしげた、
『いいから早く来なさい』
「どっかで見てる?!」
「おい、早く行こうぜ」
放送に追いたてられるように
三人は保健室に向かった、
二章:ハルカ先生の頼み
「さっきのハルカ先生だよな?」
ハルカ先生は保険医で
スクールカウンセラー
しかも若くてスタイルが良く、
もう一人のスクールカウンセラーが
特定の曜日と時間しかいないのもあり
何かと理由をつけて会いに来る
男子が多い、
(そういう連中は
簡単に追い返されるが)
ー保健室前ー
「なんか緊張するな」
「いいから早く入りなさい」
アキラの声に答えるかのように
中からさっきの放送と同じ声、
「失礼しま~す」
カラカラ…
「待ってたわ」
そう言ったのは保険医なのに
科学者にも見える女性、
いきなり巨大ロボに乗って戦え
と言われてもおかしくない
たたずまいだ。
「ハルカ先生何の用すか?」
「あなたたちに
やって欲しいことがあるの」
「雑用ですか」
「そんなことじゃないわ」
そう言うと先生は
部屋の中にある扉の前に立ち、
「こっちよ、ついてきて」
三章:保健室の秘密
先生の後に続き扉をくぐると
すぐ下り階段になっていた。、
足元が見える程度の
薄暗い照明の中を降りていく。
「何でこんな地下室が?」
リョウがたずねると、
「ここはかつて物置で上は資料室、
物置を別の所に作って、
資料室も別の所に移したから
利便性が低い保健室を
ここに移したそうよ」
「へ~」
「で・使わなくなった地下室を
使わせてもらってるの」
そう言い終わると
ちょうど下についていた
そこにあった扉の先にあったのは
「これって…」
「すごい…」
「まるでSFの世界だ」
目の前に巨大なモニターのついた
コンピューター、
そこに繋がった4つのカプセル、
先生はその前に立ち
こっちに向きなおった、
「これは他人の精神世界に
入る装置よまだ名前はないけどね」
「精神世界?夢の中みたいなものか?」
「そう考えてもらっていいわ」
先生の説明によると
ゲストカプセルに入ると
ホストカプセルに入った人の
夢の中に入れるそうだ。
四章:君達にしか出来無いこと
「で・俺達はここでなにするんすか?」
「ホストカプセルを覗いてみて」
言われて初めて一番左のカプセルの側に
自分達と同じ上着がかかった
椅子があるのに気付いた、
「あ…こいつは…」
「ああ…」
「なんで…」
「見おぼえあるよね?オケガワシンヤ、あなたたちがいじめていた相手だもの」
「………………」
「それは…そうだけど」
「あれはもう終わった事だろ⁉」
そう言うと
「いじめるのをやめただけでしょ、
まだいじめは終わって無い、
オケガワ君はまだあなたたちに
負わされた心の傷で苦しんでるのよ‼」
先生はさっきまでと違う
激しい口調でまくし立てた。
「でもそういうのは先生の仕事だろ」
「僕達に出来ることなんて…」
コクコク(うなづくタカヒロ)
「その治療にあなたたちの
協力が必要なのよ」
「そう言われても…」
「どうしてもやらないって言うなら
考えがあるわよ」
「考え?」
「もうじき修学旅行よね?
やらないって言うなら
修学旅行の間あなたたちだけ
学校に残って補修三昧よ」
「!?」
「なんだよそりゃ!」
「横暴だ!」
「オケガワ君はあなたたちのせいで
授業どころか何も手につかなくなった、
そしてついには頭が
おかしくなってしまったのよ、
なのにあなたたちは何もせず
のほほんと楽しく生きようなんて
そんなの許されると思う?」
(三人)「……………………」
先生の言葉に言葉の出ない三人
先生はさらに続けた
「償いをしないと言うなら
別の形で代償を支払って貰うだけ
すでに教師の協力も取り付けたし
親御さんも説得済み
積立金も返すし問題はない」
「わかったやるよ」
「アキラがやるなら」
「確かに先生のいう通りだ、
補修が嫌なのもあるけど、
このまま帰るのも後味悪いし」
三人の言葉を聞いて
先生の表情が柔らかくなった。
「じゃあ早速始めましょ、
ゲストカプセルに入って」
五章:精神世界
「そういえば僕達は何をすれば
いいんですか先生?」
「そうだ、まだ聞いてねぇ」
コンピューターを操作していた先生は、
[あっ]という表情を見せ
「言い忘れてたわ、
あなたたちには精神世界で
オケガワ君にあるものを
渡してほしいの」
「あるもの?」
「渡すのはある情報と言葉
あなたたちだけが知る
彼の治療に非常に効果的な情報よ」
「それって?」
「それは自分達で考えないと
意味無いの」
「でもそれって直接言えば良いんじゃ…」
「これを使うのにも理由があるのよ」
三人がそれぞれのカプセルに入り
カタカタカタカタ……
キーボードを操作する音だけが響く、
「目を閉じて気持ちを楽にしててね」
そういわれ三人は目を閉じた。
カタカタカタカタ…
「システムオールグリーン、
カプセル接続完了、
ダイブポイント設定完了、
ダイブスタート!」
その声と共に三人は眠りについた
………………………
「ここは?」
「成功したのか?」
「これがオケガワの夢の世界…」
そこはよく知った自分達の教室、
しかし外は青空なのに
室内は暗い、
そしてソレに気付いたのはタカヒロ
「な・何アレ」
教室に居たのは人型の何か
顔も性別もわからない
くすんだ色のマネキンのような物が
部屋中にいた。
『あれはあなた達のクラスメイトよ』
「うぉっ!…え?小さい先生?」
気がつくと足元に
ディフォルメされたハルカ先生がいた。
『私もこちらからアバターを操作して
一緒に行くわね』
「先生、これがクラスメイトって
どういうことですか?」
『これはオケガワ君から見た教室
これは彼が孤立していることを
意味するの』
「確かに、あいつが誰かと
一緒にいるとこなんて見たことねぇな」
『元々お互いに関わろうとしない上に
いじめのせいで更に孤立したの
関わったら自分が
標的にされかねないものね』
「でも、自分から話しかければ…」
『一度他人に対して恐怖を覚えた人間が
自分から他人に
話しかけるのは
全裸でライオンをなでるくらい
怖いことなのよ』
「……あれ?あそこにいる
三体だけ違う」
「‼…あそこ俺の席だ!」
「じゃあアレは僕達?
まるで悪魔みたいじゃないか」
後ろの方の席に集まっている
三体は確かに
RPGに出てくる悪魔みたいな
姿をしていた。
『理由も言わず長きに渡って
辛い目に合わせてきたあなたたちが
悪魔じゃなくてなんなの?』
「悪魔…」
「俺達が悪魔…」
先生は教室をグルッと見回して。
『ここにオケガワ君は居ないわ
家に行きましょ』
六章:バットバディ
「お!いたじゃねぇかオケガワ」
昇降口を出てすぐのところに
そいつはいた。
「よぉクズども、
わざわざこんなとこまで来るとは
ご苦労なこったなwwwww」
「ク・クズだとぉ!
てめぇのためにこんなことしてんのに
調子のってんじゃねぇぞ!」
「なあオケガワって
あんなやつだっけ?」
「いやもっとおとなしいやつ
だったはずだが」
そんなことを言ってる間に
アキラはそいつに
殴りかかろうとしていた
「え?あ…れ…?」
そいつがみるみる大きくなっていく
いや、そうではなかった
「ア・アキラが子供になった!」
「そうか、ここはあいつの夢の中、
あいつの思い通りになるのか!」
そいつはニヤリと笑った、
「そういうこと…だ!」
ドゴッ‼
「ガッ!」アキラの体は
サッカーボールのように宙を舞い
後ろの三人の前に落ち
元の姿に戻った。
「だ・大丈夫か?」
『ここでの死はリアルの死と同じ、
逆に言えば死ななきゃ大丈夫よ』
さらっと言い放つ先生。
「お前らは俺の生みの親も
同然だから今帰れば見逃してやる
だが追ってきたら容赦しない」
「生みの親!?」
「何言ってんだ?」
そいつの言葉を聞いた先生
(そうか、アイツは!)
そいつは煙のように姿を消した。
『あれはオケガワ君本人じゃない、
彼が生み出した自分をいじめる自分
長いからバットバディと呼ぶわね』
「バットバディ、悪い相棒?
なんでそんなものを」
「自分で自分をいじめるって
どういうことだよ」
『人は理由のわからない苦痛に
長くは耐えられない、だから
自分が悪い、自分のせいだ、と
無意識に理由を作って思い込むの、
たとえそれが間違った
思い込みだとしてもね』
「それがバットバディになった」
「つまりアイツを倒せば
オケガワを助けられるんだな!」
「いや、無理だろ
さっきの事忘れたのか、
あんなチートキャラ倒せるかよ」
『バットバディを倒せるのは
本人だけ、でも今のオケガワ君は
アイツに対抗できる力が無いの』
「神が偽の神に好き勝手されてんのか」
「つまり僕達が渡すのはアイツに
対抗するための 力って訳か」
『あなたたちをこの世界に送ったのは
オケガワ君の心の中の惨状を見て
真面目に考えて貰うためなの、
さ・行きましょ』
七章:オケガワ君の家へ
町に入るとそこも教室で見たのと
同じ光景だった、違うのは、
外か中かぐらいだ。
「うっ!」
「なんだ!急に霧が!」
いきなり黒い霧が辺りを包み込む
「バットバディのしわざか?!」
『ただの足止めとは思えない
気をつけて!』
霧はすぐ晴れた。
うぅぅぅぅ…
霧が晴れるのと同時に
辺りからうなり声が聞こえ始め
周囲を見ると
さっきまで思い思いに
歩き回っていた何か達が
一斉にこっちに向かってきた
まるでゾンビ映画だ
「急に何で!?」
「そうか今の霧は
バットバディがこいつらを
操るためのものだったんだ!」
『オケガワ君の家に行くには
ここを抜けるしかない、
行くわよ!』
言うなり先生は駆け出した、
三人も慌てて後を追う
幸い何か達の動きは遅い、
捕まる前に間をすり抜けていく、
しかし数が多い、
先に行くにつれ前方が狭くなっていく。
「このままじゃ囲まれちまう!」
『たぁっ!』ドゴッ!バコッ!ズガッ!
先生が目の前にいた何か達を
片っ端から蹴り飛ばし道を開いていく。
「せ・先生…?!」
『本当の人間じゃないから大丈夫よ
邪魔なやつらは遠慮なく押しのけて!』
その時何か達がリョウの
至近距離に迫った。
「!?」
「ふん!」ドコォ!
タカヒロにき飛ばされた何か達は
まるでボウリングのピンみたいに
一気にひっくり返った。
「大丈夫か?」
「ああ助かったよありがとう」
四人は 何か達の間をすり抜け
先をふさぐやつらをつき倒しながら
先へどんどん進んだ。
八章:危険地帯
「はあはあ」
「どうやら逃げ切れたみたいだ」
四人が辿り着いた先は
さっきとはうってかわって
誰もいないエリア。
『オケガワ君の家はもうすぐ、
こっちよ』ボンッ!………ドサッ
突然の爆発音と煙その煙の中から
先生がまるで黒ひげのように飛び出し、その体は地面に激しく叩きつけられた。
「先生!」
『大丈夫よ、そもそも私は
ダイブしてないし、』
「そういやそうだったな」
『でもこの威力、アバターでも
何発も食らえないわ』
「ここって…まさか…」
『地雷地帯ね道理で無人のはずよ』
見えない爆弾を踏まないように
ここを突破する………?
「いや!こんなん抜けられるかよ!」
「でも戻るわけにも行かないだろ」
『大丈夫、このアバターには
レーダー付のドローンを持たせてある、
これで地雷を見えるようにするから、
そこの青い屋根の家に駆け込んで!』
「わ・わかった」
「怖いけどやってみるよ」
『ドローンのエネルギーは
少ないから急いでね』
先生のアバターから射出された
ドローンは空高く上昇し
辺りを青い光で照らす、
すると地雷の姿が浮かび上がった。
『今よ!』先生の合図と共に
三人は一斉に駆け出した!
地雷をハードルのように飛び越え
青い家に一直線。
『後5秒!…4…3…2…1…0!』
カウントダウンが終わると同時に
ゴールに飛び込んだ。
「ま・間に合ったぁ…」
「ヤバかったな」
「そういえば先生は?」
見ると地雷地帯をピョンピョン
跳びはねながらノンストップで
こっちに向かう先生の姿、
そしてあっさりとゴール。
「地雷が見えて無いのに何で…?」
『さっき見えた地雷の位置を
記憶しただけよ』
「すげぇ」
九章:再会
家の中は広々としたワンルーム、
その一番奥に檻が見える
その近くと中に見えたのは。
「オケガワが二人!?」
「檻に入ってるのが本物か」
「しつこい奴等だ」
「助けに行かねぇと」
「でもまだ肝心の情報が何かが
わかってないぞ」
「そうだった」
「全くわかんねぇよ!」
『ヒントなら今まで出してきたわよ』
「ヒント?」
「もしかして今まで先生が言ったことが
ヒントになってたのか?」
十章:答えに辿り着け
‐いじめるのをやめただけでしょ‐
‐あなたたちは何もせず
のほほんと楽しく生きようなんて
そんなの許されると思う?‐
「確かに僕達はいじめるのを
やめただけ」
「俺達は頭ひとつ下げなかった
本当は謝罪して当然なんだよな」
‐理由も言わず長きに渡って
辛い目に合わせてきたあなたたちが
悪魔じゃなくてなんなの?‐
‐人は理由のわからない苦痛に
長くは耐えられない、だから
自分が悪い、自分のせいだ、と
無意識に理由を作って思い込むの、
たとえそれが間違った
思い込みだとしてもね‐
「俺達、結構長い間いじめてたんだな
今日言われて初めて気がついた」
「それも理由も言わずに、
それがバットバディを生み出した」
ーお前らは俺の生みの親も
同然だからー
「あれはそういう意味だったのか」
‐今のオケガワ君は
アイツに対抗できる力が無いの‐
「あいつの力が強いからオケガワは
対抗出来ないんじゃないか?」
「たぶん」 ここでようやく
タカヒロが口を開いた
「あいつのカの源は間違った思い込み
それを奪うには…」
……………………
……………………
「わかった気がする」
「俺達がやるべき事
伝えるべき事は…」
「確かにそれは僕らしか
知らない事だよね」
十一章:最終決戦
「わかったぜ先生
俺達がやるべき事は」
「オケガワ君にいじめた理由を
伝えて謝ること」
コクコク(うなづくタカヒロ)
『ようやく百点の答えに
辿り着いたわね』
先生が笑顔を浮かべた
『行動認知療法と言ってね
間違った思い込みを正すことで
心を癒すの』
「だから僕達か必要だった」
「後はオケガワの所に行くだけだ」
「俺がそれをさせると思ってるのか?」
「お前こそいいかげん
オケガワを解放しろ!」
「この寄生虫が!」
「お前の世界はもう終わりだ」
『オケガワ君に力が戻れば
バットバディを切り離して
神の座から引きずり下ろせる
行きなさい!』
「おう!」
「だったらこちらも
とっておきを使わせてもらう」
「…………!」
「こいつがかつてお前らに抱いた
怒り・憎しみ・そして殺意
お前ら用の最強の武器だ」
三人はまっすぐに檻へ向かう
「怒りの炎」ぼうっ!
「うわっ!」タカヒロのすぐ後ろに
火柱が立ち上る。
「憎しみの岩塊」ドドドッ!
「ひいっ!」リョウは
とっさに身を屈め
飛んできた多数の岩をかわした。
「殺意の雷」ピシャーン!
「痛っ!」アキラは転んだ
おかげで直撃は避けられたが
鼓膜が破れそうな轟音の
直撃を受ける。
そして三人はかろうじて
檻まであと少しの所まで近づいた。
「しぶとい奴等だ、ならば
怒り・憎しみ・殺意の三連撃!」
ぼうっ!「ぎゃっ!」
リョウが火柱の直撃を受ける
ドドドッ!「がっ!」
岩の1つがアキラに直撃した。
ピシャーン!「ぎゃあっ!」落雷が
タカヒロを撃ち抜く!、
「くくく…やったか…?」
「それ、言っちゃダメなやつだぜ」
土煙の中から声がして、
3つの人影が立ち上がった。
「体が無いのに痛い、でも生きてる…」
「こんなあっさりやられたら
ここまで来た意味無いよな」
幸い三人共致命傷には至らなかった
そしてふらつきながら檻に辿り着いた。
「オケガワ!」
オケガワは少しこっちを見たが
動こうとしない
「俺達はお前に酷いことをした、
謝って許してもらえるとは
思わないけど、本当にすまなかった!」
90度の角度で頭を下げる、
「………本気でやめてって言ったのに
君らはふざけてまともに
聞いてくれなかったよね
あれでどれだけ絶望したかわかる?」
「………言い訳にしかならないけど、
あのときは僕達は自分達の事しか
見えていなくて、相手の気持ちなんて
考えもしなかった」
「でも、今は僕らが全面的に悪いと
思っているそれは本当だ」
リョウとタカヒロもアキラと同じ
角度で頭を下げながら、
「「本当にごめんなさい!」」
二人同時に謝罪した
しかしそれを見ていた
バットバディが口を挟んだ
「こんなこと言ってるのも今だけだ
こいつらにされたことを思い出せ、
舌の根も乾かないうちに
また同じことを始めるぞ」
「そんなことはしねぇ!」
「僕達は本当に反省したんだ」
「今オケガワに
酷いことをしてるのはお前だろ!」
「なんとでも言え、
俺の力は全く衰えてない、
お前らを信じてない証拠だ」
「信じてくれオケガワ!」
「こいつらは敵、
助けてくれなかった奴等もみんな敵、
お前に味方なんていないんだよ!」
アキラは意を決して言い放つ
「どうしても信用できないなら
俺達を攻撃しろ!オケガワ」
「ここはお前の夢の世界
ならそこからでも僕達を
攻撃できるだろ?」
「殺したいほど僕らが憎いなら
それを全部ぶつけてこいよ!」
それを聞いたバットバディが
驚愕の表情を浮かべ、
「馬鹿な!死んでもいいってのか!?」
「今ならオケガワに
そうされても構わねぇ!」
『ムチャ言ってんじゃ無いわよ』
「先生…いつの間に」
『殺意を持ったのは
頭がおかしくなってた時の話
今はそんなこと考えてないわ』
そういうと先生は檻に近付いた、
『オケガワ君、聞いたでしょ?
あなたは悪くなかったのよ、
彼等が命懸けで
ここまで辿り着いたのを
みていたでしょ?
それでも信用できない?』
「…………………」
『自分は悪くないと思い込むの、
思い込みを上書きして!』
「オケガワ…」
「茶番は終わりだ
お前がやらないなら
俺が代わりにやってやるよ」
「!?」
「………やめろ!」
オケガワがそう言った途端
バットバディが膝をついた。
「力が…お前、そいつらのこと
信じると言うのか」
檻が消えオケガワが
バットバディの前に進み出る、
『バットバディを切り離して!』
「やめろ……やめてくれ…」
「…………消えろ!」
「ぎゃあぁぁぁっ!」
バットバディは
空間に飲まれるように消えていった
終章:心晴れて、雨上がり
「倒せた…のか」
『ええ、でも消えたわけじゃない
過去の記憶の一部として
封印されただけ』
「じゃあまた復活するかも
知れないって事?」
『それはオケガワ君次第ね』
「………!オケガワ」
「あの…あ…り…がと」
さっきまで薄暗かった世界が
明るくなっていく
といっても曇りの日程度の明るさだが
『どうやら少し前向きに
なって来たみたいねオケガワ君』
「よかったな」
「うん」
皆が顔を見合せ笑い会う
『さあ用も済んだ今
この世界に長居するわけには
行かないし帰りましょ』
「そうだなじゃあなオケガワ」
「またなだろ」
「あ・そっか、またなオケガワ」
『じゃあ戻すわね』
目の前が真っ白になり三人は
現実世界に帰って行った。
「帰ってこれたのか?」
辺りを見ると他のみんなも
カプセルから出てきていた。
「オケガワ…」
オケガワはこちらを見ることもなく
部屋から出ていった。
「体の傷も心の傷も、
薬を使ったからって
すぐには治らないものよ」
「俺達に出来ることは
もう無いのか?」
「ここから先は私の仕事、
君達に出来ることは
1つだけね」
「それって?」
ー数日後ー
修学旅行の班決めの日
それぞれ仲のいい人同士で
集まる中で…
「オケガワの回り誰もいないな」
「よし!行くぞ」
三人はオケガワの席に向かった
「オケガワ、俺達の班に入らないか?」
しかしそれに気づいた周囲の生徒が
「ちょっと!またオケガワ君に
ちょっかい出す気?」
「お前らいいかげんにしろよな」
「じゃあなんで誰も
オケガワを誘わないんだ?」
ハルカ先生が言った三人にやれること
それはオケガワとコミュニケーション
すること、孤立させないことだった
「俺達はオケガワが他の班に行くなら
それでいいと思ってる」
「このままだとオケガワは先生に
適当な班に入れられて
あ互い嫌な思いをするかも
知れないんだぞ」
「誰も誘わないなら僕らが
誘うしか無いだろ」
みんなはそれっきり
誰も三人に反論しなかった、
「何がしたいんだ?あいつら」
「で・どうだ?やっぱ俺達とは
行きたくないか?」
「…別にいいけど」
「そうかよかった」
その頃の保健室
「雨、上がったみたいね」
空には虹がかかっていた。【完】
自分は小中高といじめの
ターゲットにされた
経験があります、
当時は止めさせればそれでいい
それが当たり前でカウンセラーなんて
いませんでした、
自分自身もいじめから解放されれば
それでいいと思ってた、しかし
今考えると
「頭の1つでも下げるべきじゃね!?」
と考えるようになりました
ターゲットにされてなければ
今と全く違う人生を歩めたかもしれない
そんな思いから出来た作品です
いじめの最中だけではなく
その後も考えてほしい
これがそのきっかけになれば幸いです